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【特集】「ネイルでみんなを笑顔に」車いすの女性が挑んだ"大きな第一歩"に密着

2019年11月19日(火)放送

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障がいのある方が専門技術を競う全国大会「アビリンピック」に兵庫県のある女性が出場しました。右半身にまひがある中、ネイル施術を本格的に習い始め、試行錯誤を重ねた初めての挑戦を取材しました。

ネイルで「アビリンピック」に出場する24歳の女性

爪を磨き丁寧にマニキュアを塗っていく藤本侑奈さん(24)。

「きょう結構いい感じに塗れています。きのうの夜から実感が湧いてきて、急に緊張し始めて。」(藤本侑奈さん 11月16日)

この日、障がい者が専門の技術を競う全国大会「アビリンピック」に出場します。種目は「ネイル」。ぎりぎりまで宿泊先にこもって追い込みの練習です。
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藤本さんは脳性まひの影響で、生まれつき右半身にまひがあります。30分以上歩くことは難しいので、13歳から自宅以外は車いすで生活しています。現在は神戸・中央区にあるリフォーム会社「新生ホームサービス」の本社で事務の仕事をしています。

『ネイルってこんなに笑顔になれるんですね』をパワーに

もともとおしゃれが大好きな藤本さん、高校生の頃は自己流で楽しんでいたネイルですが、社会人になってネイルサロンと出会い、その魅力にはまるようになりました。

「(プロにしてもらう)ネイルをみなさんがしていて、私もネイルサロンに行ってみようかなと。すごく明るい気持ちになったというか。爪を見るたびに『がんばろう』という気になっていました。」(藤本侑奈さん)

「自分もプロのようにネイルができるようになりたい」次第にそう思うようになり、2019年7月から本格的にレッスンに通うようになりました。大学の学園祭などでネイルのボランティアとして参加したときに、思いがけない言葉に喜びを感じたといいます。

「『ネイルってこんなに笑顔になれるんですね』と言ってくださった方がいて、笑顔と感謝の言葉が自分の中でのパワーになっています。」(藤本侑奈さん)

3~4時間練習する日も 細かい作業は「試行錯誤」の連続

職場での昼休み。会議室でネイルの道具を広げ始めました。大会出場が決まってから長い時で1日3~4時間は練習に費やします。しかし、本格的なレッスンを受けてまだ4か月。技術を覚えるだけでも必死です。

右手に麻痺があるため指をうまく動かすことができず、細かい作業では試行錯誤の連続でした。

「どうしても(まひで)右手が動かしづらい時があるので、教えてもらった持ち方では持ちにくい時があって、自分なりに工夫しています。」(藤本侑奈さん)

上司の松川倫子さん(47)は、会社が藤本さんの挑戦をバックアップする中、藤本さんのサポートを担当しています。

「激変していますね 最初は道具の持ち方も、人の手を触るところで緊張感があったけれど、今(藤本さんにネイルを)やってもらっている段階で、変わったなと思っています。」(新生ホームサービス 松川倫子さん)

「アビリンピック」藤本さんの挑戦

11月16日の「全国アビリンピック(全国障がい者技能競技大会)」当日。藤本さんは松川さんとともに、愛知県常滑市の会場入りしました。「アビリンピック」は障がい者が木工や洋裁などの専門技術を競う大会で、2019年は23種目の競技に各都道府県から選ばれた選手たちが出場します。
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「ネイル施術」の競技は藤本さんを含め6人が出場。課題は2つ。爪を整えて色を塗る「ベーシックマニキュア」と、自由にデザインする「ネイルチップアート」です。

まずは「ベーシックマニキュア」の課題。『制限時間50分以内に爪を整えカラーネイルを塗る』というもの。ネイルの基本的な技術力が問われます。藤本さん、練習の成果を出し順調に進んでいるかのように見えましたが、見守っていた松川さんの顔色が変わりました。

「最後の工程で使う(道具)を出し忘れてしまったと思うんですけど。すごく動揺していた。」(松川倫子さん)

藤本さんは作業に必要なブラシを準備で出し忘れてしまったようです。なんとか最後までやり切りましたが、悔しさが募ります。
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松川さんのところへ向かうと…思わず涙がこみ上げます。

(藤本さん)「いろいろ工程を間違えちゃって。」

しかし、すぐに次の課題のスタートが迫ります。

(競技担当者)「あと10分でスタートしますので。」
 (藤本さん)「はい、すいません。」

気持ちを切り替えて挽回できるか。

2つ目はプラスチック製ネイルの上に自由にデザインする課題。創作力が問われます。テーマは『花』。気持ちを立て直し、集中して色を乗せていきます。2時間半の競技を終えることができました。

(藤本さん)「やりきった感は出せたかな。いろいろあったんですけど。」
(松川さん)「本当にやりきったね。」
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藤本さんの作品。爪の上に、色とりどりの花を咲かせました。

「自分にとっても大きな第一歩」

そして結果の発表。4か月間、努力の結果は…

(司会者)「栄えある金賞は…北海道・山下加代選手です。」

はじめての挑戦。残念ながら、表彰台にのぼることはできませんでした。

しかし、次の目標への一歩になったと藤本さんは感じています。

「自分に自信が持てた。あまり前に出るタイプではないので。何かあっても人にやってもらおうということが多かったけど、最近はチャレンジしてみようかなということが多くなった。(アビリンピックは)自分にとっても大きな第一歩と感じました。」(藤本侑奈さん)

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