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"真珠"育むアコヤガイ「各地で大量死」の謎 真珠流通量が激減...深刻被害に業界から悲鳴

2019年11月12日(火)放送

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今、真珠の養殖に欠かせない「アコヤガイ」が各地で“大量死”しているといいます。原因は何なのか、現場を取材しました。

世界で流通する真珠の7割が集まる「神戸」

神戸市中央区にある真珠の卸売会社「水木真珠」。真珠を磨いた後、選別作業を行うなどし、百貨店などに出荷しています。世界的な貿易港を抱える神戸は、古くから真珠取引が盛んで、世界で流通する真珠の約7割が集まるといわれます。ところが…。

「収穫する玉を入れた真珠貝と(玉入れの前の)赤ちゃんの貝、両方が死滅している。頭の中が真っ白になりました。これはえらいことだなと。」(水木真珠 尾川議顕社長)

真珠の養殖に使われるアコヤガイが大量死しているというのです。

真珠を生む『アコヤガイ』半分以上が死ぬ…被害総額は2000万円

実態を確認するため、真珠の養殖地として知られる三重県志摩市の英虞湾を訪れました。真珠の養殖業を営む田辺伴一さん(73)。本来、12月に採取シーズンを迎えるはずでした。取材した11月に、実際に引き上げてみると…

「これが今年の貝です。死んでるでしょ。口が開いていて、ほとんどが死ぬというのが(2019年の)6~7月に起こった。」(真珠養殖業を営む 田辺伴一さん)

殻を開いて死んでいたアコヤガイ。本来、中にはびっしりと身が付いているはずですが、中身が見当たりません。
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中には、開くと真珠ができているように見えるアコヤガイもありましたが…

「これ真珠なんですけど、死んでカルシウムが溶け始めて、真珠の綺麗な輝きがない。こういう状態になる。」(田辺伴一さん)

真珠ができる仕組みはこうです。生まれて2年ほど経ったアコヤガイに核と呼ばれる真珠の元となる貝殻片を移植します。その後、定期的に貝の掃除を行うなどし、1年半~2年ほどかけてやっと美しい真珠ができあがるのです。

育つまでに時間がかかる真珠ですが、田辺さんの養殖場では核を入れる前の小さなアコヤガイも含めて半分以上が10月までに死んでしまいました。被害額は2000万円以上だといいます。

「手の施しようがない。ここからここに移したとしても、海はずっと続いているので。来年どうなるのか。少しでも真珠養殖ができるのか、もうやめざるを得ないのか。廃業とまでいかなくても休業せざるを得ないと思う。」(田辺伴一さん)

大量死の要因は「黒潮大蛇行」と「プランクトンの減少」か

原因は何なのでしょうか。貝類の生態を研究する三重県水産研究所の栗山功主幹研究員。県内で飼育されているアコヤガイの被害は約200万個(2019年8月時点)に上るといいますが、大量死の原因について聞くと…

「見ていく中で明らかになっているのは、昨年の冬の水温が非常に高かった。その原因としては『黒潮大蛇行』。それが長期間続いていて、三重県の志摩半島の海水温が上がる。」(三重県水産研究所 栗山功主幹研究員)
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通常、暖かい「黒潮」は日本列島の沿岸沿いを東へと流れるため、英虞湾には入ってきません。
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ところが、2017年の夏から黒潮は大きく蛇行をはじめ、2018年12月頃、一部が英虞湾へと流れ込んできたといいます。その結果、英虞湾の海水温が冬場に平年に比べ約2.5℃上昇するなどしたことで、アコヤガイの大量死に繋がった可能性もあるといいます。

また、アコヤガイのエサになるプランクトンが減少したことも要因の1つと考えられています。

相場が上がっても「販売単価」変わらず…業者は不安な日々続く

今年の大量死で、真珠の流通量は激減した上、新たな真珠ができるまで数年かかります。神戸の卸売会社・水木真珠の社長は不安の日々を送っています。

「加工業者の一番の課題は、相場が上がっても売る単価はあまり変わらない。相場が上がるということは原価率が上がる。2020年~2021年にかけて減産が見込まれるんじゃないかと心配している。」(水木真珠 尾川議顕社長)

アコヤガイの突然の大量死は我々に何を伝えているのでしょうか。


■真珠の3大産地でアコヤガイ大量死が発生
三重県(伊勢・志摩)…約200万個
愛媛県(宇和島)…約2230万個
長崎県(壱岐・対馬)…約3割が死ぬ

■大量死の原因として考えられること
三重県(伊勢・志摩) ・海水温上昇でアコヤガイが弱ったか ・エサのプランクトンも減少
愛媛県(宇和島)   ・原因不明
長崎県(壱岐・対馬) ・原因不明

(MBSテレビ「Newsミント!」内『知っておきたい異変ファイル』より)

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