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【特集】山を守って儲かる!?注目集める"新しい林業"『自伐型林業』

2019年11月06日(水)放送

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林業は従事者が高齢化などで年々減っていて、ピーク時の1955年の50万人から今や10分の1という状況です。このままだと存続が危ぶまれている仕事の1つですが、実は今、新しい形の林業が注目を集めています。

「家族の時間を大切にしたい」と故郷の福井で林業

福井県福井市で林業を営む松平成史さん(46)。職場は実家が所有する100haの山です。松平さんが林業を始めたのは1年前で、成長の悪い木や枯れてしまった木などを見極めて間引きする「間伐」が今の主な仕事です。1本あたりの売値は約1万円、1日に切るのは数本程度だといいます。
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松平さんは去年まで東京で酒の輸出などの仕事をしていました。全く畑違いの世界に飛び込んだのは、息子が保育園に入園したことがきっかけでした。

「第10希望の保育園、それも半年待って入れた。(保育園が)遠いから毎朝早く起こして朝ごはんを無理やり食べさせて…。でも大事な時間は子どもと居られずに。こんな生活をしていて人生あっているのかなというのがあった。」(松平成史さん)

「家族の時間を大切にしたい」そう思った松平さんは、故郷・福井県への移住を決めました。実家は広大な山を所有していましたが、手つかずで放置したまま。これを仕事に結び付けられないかと松平さんは考えたのです。

「先祖代々の山があったぞと。でも二束三文やしな…というところで調べてみたら『自伐型林業』にぶつかった。」(松平成史さん)

一気に切らない!継続的に出荷し収益を

『自伐型林業』とは、少人数で小型の機械を使って木を間引く「間伐林業」のことです。一般的な林業では、約50年を目途に大型の機械を使って一定範囲の木を一気に切ってしまいます。これだと木を植え直しても成長するのに50年以上かかってしまい、継続的な収益が見込めません。一方、自伐型林業では、間伐することで残った木の成長を促し、木材の価値を高めて継続的に出荷できるようにします。

会社員から主婦まで参加…脱サラの講師がノウハウを伝授

今年9月に大阪市北区で開かれた自伐型林業のセミナーには、ほぼ満席の70人が詰めかけました。
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「ちょろちょろした間伐をずっと繰り返すほうが長期スパンでみたら生産量が増える。(一般的な林業より)生産量は3~5倍、収入は100倍以上になるのではないか。」(自伐型林業推進協会 代表・中嶋健造さん)

講師の中嶋健造さん(57)は、11年前にサラリーマンを辞めて自伐型林業を始めました。自らの経験を通して、今は林業で収益を上げるために必要なノウハウを教えています。長年自伐型林業を続ける人の中には、最高で年収1000万円を超える人もいるといいます。
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セミナー以外にも、初心者でも林業を始められるように間伐する木の見極め方や道具の使い方などを4か月間にわたって研修。これまで1500人に自伐型林業を伝授してきました。日本国土の3分の2を占める山林。それをまだ充分に生かしきれていないと中嶋さんは言います。

「(日本の山林は)とにかく広い、面積がある。間伐を繰り返しながら持続できたらこの広い面積は日本の武器になる。日本の木材は将来大きな武器になる。」(中嶋健造さん)

【セミナーの参加者】
「自分の親が森林を相続して、いずれ自分にくるのでなんとかしたいなと。」(建築会社勤務の32歳男性)
「祖父母から受け継いだ山林があり、息子たちと一緒に山の手入れができたらすごくうれしいなって思う。(自伐型林業は)すごく希望がわきました。」(主婦の40歳女性)
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福井で自伐型林業を営む松平さんも中嶋さんの教え子の1人です。卒業後1年かけて育てた山の様子を中嶋さんが見に来てくれました。

「スタートとしては上々。来年からホップ、ジャンプといければ。」(中嶋健造さん)

小型重機は災害防止に!?

中嶋さんが自伐型林業を推し進める背景には、もう1つ大きな理由があります。それが災害です。一般的な林業では、効率的に木を伐採するために山を大きく削って大型の重機が通るための道幅を広くとります。しかし、山を削る幅が大きければ大きいほど、地面が滑り落ちるリスクが高まると言います。

「土というのは引力に引っ張られて下へ落ちようとするから、(山を)削ることによって上からの土圧の力が強くなると落ちる。道は大きければ大きいほど崩れやすい。」(中嶋健造さん)

自伐型林業ではこうした地滑りを防ぐため、小型の重機がギリギリ通れる分だけ山を削ります。その幅2.5m。小規模で行う自伐型林業ならではの特徴です。

Qギリギリの幅?
「そうですね…それはわざとです。たとえば、もう50cm広げると山の切り取りを増やさないといけない。道幅が広がったら、その分切り取りが高くなちゃう。そうすると、その分だけ山を削らないといけない。」(松平成史さん)

30年後も「いい山残ってるやん」と…

自伐型林業が目指すのは、過剰な伐採をせず、山が持つ本来の姿に育てていくことだと中嶋健造さんは言います。

「ちゃんとした山にすると、災害はたぶん半分には減るのではないか。全部切ってしまわないで、何とかなるかもしれないと可能性を追い続けながら山を正常な方向へ持っていってほしい。」(中嶋健造さん)

先祖代々受け継ぐ山を守りたいと林業を始めた松平さんは、過疎が進む故郷にも林業を通じて活気を取り戻したいと話します。

「どんどん過疎化しているこの地区でこんなこともできるんだよと、林業もやりながら何か…。その中でこの地区のためになったらいいなと。30年後、息子が山を見たときに、『父ちゃん山で遊んでばっかりやったけど、いい山残ってるやん』というのが目標というか、目指すところだと思う。」(松平成史さん)

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