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【特集】世界の「トヨタ」に和歌山のスーパーが挑む!「社会人野球日本選手権大会」で悲願の一勝を!

2019年11月05日(火)放送

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社会人野球の日本一を決める大会に和歌山県の老舗スーパーマーケット「マツゲン」が出場しました。初戦の相手は世界的な自動車メーカーの「トヨタ」です。優勝候補とも目される強豪に、悲願の一勝を目指して、地元一体となって立ち向かう野球チームに密着しました。

野球部員は老舗スーパーマーケットの正社員

10月25日~11月4日に行われた社会人野球の日本一を決める大会「社会人野球日本選手権」。注目を集めたのは「トヨタ」と和歌山県のスーパーマーケット「マツゲン」の戦いです。

和歌山県有田市。みかんの産地として有名なこの街で、マツゲンの野球部、「マツゲン箕島」は活動しています。スーパーマーケットのマツゲンは創業59年で和歌山を中心に展開しています。
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野球部の全員がスーパーの正社員として働いています。鮮魚コーナーを担当するのはチームの4番の岸翔太選手(27)です。岸選手は高校卒業後、社会人野球の大阪ガスでプレーしていましたが22歳で戦力外に。引退して社員として残る道もありましたが、5年前に和歌山へ移住し、マツゲンに転職しました。

「野球もしながらこれ(仕事)も覚えて、結構頭パンパンになって。」(岸翔太選手)

取材をした日は他にも、品出し・発注担当の池淵智和内野手(23)や総菜コーナー担当の平林怜内野手(20)、野菜コーナー担当の松尾大輝投手(22)が働いていました。

「スポーツマンなので元気も良いですし、動きもシャキシャキっと。ハツラツに仕事をしてくれている。」(マツゲン箕島店 石本圭史店長)

30人いるマツゲン野球部の選手の多くは、全国から移住し有田市で生活をしています。スーパーの現場では週5日、1日平均8時間働きます。勤務後と週2日の休みは野球の練習にあてるため、完全なオフはほとんどありません。

高校野球の古豪「箕島高校」のOBらが立ち上げたチームが母体

しかし、なぜ和歌山のスーパーにこれだけの野球部員が集まるのでしょうか。有田市で有名なのが、高校野球の古豪「箕島高校」です。1979年に甲子園で春夏連覇をするなど、その名を全国に轟かせました。マツゲン野球部は箕島高校OBらが23年前に立ち上げたチームが母体となっていて、クラブチームとしてのレベルはトップクラスです。

「野球も人一倍し仕事も人一倍働く、そして初めて人は認めてもらえる。仕事もきちっと働いて野球もやらしてもらうという感覚を持つ、というのは(チームが)出来たときから徹底してやっています。」(マツゲン箕島・硬式野球部 西川忠宏監督・58歳)
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野球を続けたい一心でマツゲンに集まった部員たち。しかし、岸選手は野球だけに専念できた大阪ガス時代と比べ、最初はギャップに戸惑ったと話します。

「仕事やって夕方から練習というのは最初はしんどい部分もあったんですけど、野球が出来る喜びや嬉しさがあったので仕事が苦にはならなかった。企業に行けなかった選手や大学や高校の時にけがをした選手が集まっているので、そういう面でハングリー精神という部分はやっぱり強いと感じました。」(岸翔太選手)

社会人野球日本選手権大会に懸けるそれぞれの思い

2019年、マツゲンの野球部はクラブチームの全国大会「全日本クラブ選手権大会」で優勝。アマチュア野球の最高峰「社会人野球日本選手権大会」に出場することになりました。
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名だたる一流企業を相手に目指しているのは「初勝利」。実は過去5回出場するも、いまだに勝ったことがありません。
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大会に臨むチームの中でひときわ強い思いを抱いているのが岸選手でした。実は岸選手、この大会を最後に引退することを決めているのです。

「厳しいのかなというのがだんだん少しずつ思ってきた。プロに行きたいという気持ちですよね、それがどうしても小さくなってしまった。自分の集大成、野球人生最後の大会なので、このチームで歴史的1勝を。」(岸翔太選手)

監督は今年のチームをこのように評価します。

「今年のチームは強い。歴代の中でも。足もあるし、投手力もある。打つ方も確実に打てる打者というのが揃っていますので。『これだけ練習しているから僕たちは負けられない』という気持ちを持って戦えば勝機は見出せられるんじゃないかな。」(マツゲン箕島・硬式野球部 西川忠宏監督)

試合前日、野球部の矢野主将がチームの前に立ちました。

「明日はトヨタ相手に良い試合しようとか、良い勝負出来たらええわっていう思い出作りに行くんじゃないと思うから。明日しっかり勝って歴史塗り替える、このチームにとって第一歩踏み出せるような。トヨタに勝ってもう一回ここに帰ってきて、全員で練習出来るようにしよう。」(矢野雅章主将・25歳)

初戦の相手は世界的な自動車メーカー「トヨタ」。チームの思いは一つです。

悲願の初勝利を願うのは選手だけでありません。有田市の職員や市民たちが公民館に集まっていました。私設応援団を結成し、練習を重ねてきました。しかし即席の応援団、なかなか足並みがそろいません。それでもマツゲンの初勝利を願う思いはみな一緒です。

「有田市の代表ということで、マツゲン箕島硬式野球部の方は戦ってくれているので、日頃の感謝を込めて全力で応援したいと思います。」(有田市職員)

トヨタvs.マツゲン 試合の結果は?

そして『社会人野球日本選手権大会』当日の10月29日。会場は京セラドーム大阪です。有田市から続々とバスが到着し、市民が応援に駆けつけました。いよいよ試合開始。
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先にチャンスをつくったのはマツゲン。1アウト・ランナー1、2塁。バッターは4番、岸選手。しかし、ここは空振り三振。先制とはなりませんでした。
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2回裏。強豪トヨタがタイムリー2ベースで1点を先制。トヨタの応援団は一流企業らしく統率の取れた吹奏楽とチアリーディングでチームを盛り上げます。
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一方のマツゲンスタンド。ボランティアの応援団ですが、有田市民が一丸となって選手たちを後押しします。

その後は、緊迫した投手戦になりました。トヨタのピッチャーの球速は時速149kmをマーク。マツゲンのエース和田投手も負けてはいません。トヨタの強力打線を封じ込めます。

試合は9回表でトヨタの1点リード。後がないマツゲン。しかし、ヒットで出塁しトヨタに食らいつきます。2アウトランナー1塁、バッターボックスには4番、岸選手。スイング…するとライト方向へ大飛球…!
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しかし…惜しくも高く上がったフライは外野手のグラブの中へ。そして…試合終了。結果はトヨタ1-0マツゲン。
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この瞬間 岸選手の野球人生が終わりました。

「試合で活躍する嬉しさや責任感を改めて感じさせてもらった5年間。このチームで主軸で打たせてもらって責任感と充実感の多かった毎日でした。(Qやっぱり野球は好きですか?)大好きですね、大好きみたいですね。」(岸翔太選手)

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