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ノーベル化学賞受賞決定・吉野彰氏 成功の秘訣は「失敗」とサラリーマンゆえの「嗅覚」

2019年11月05日(火)放送

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2019年のノーベル化学賞の受賞が決まった吉野彰さん。12月に行われる授賞式の準備に追われる中、MBSの単独取材に応じて下さいました。吉野さんが語った成功の秘訣は「失敗」とサラリーマンゆえの「嗅覚」でした。

まもなく授賞式!ノーベル化学賞の受賞決定の吉野彰さん語る

ノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成名誉フェロー・吉野彰さん(71)。10月30日、吉野さんが9年前に立ち上げた、大阪・池田市にあるリチウムイオン電池の研究所「リチウムイオン電池材料評価研究センター」でMBSの西靖アナウンサーが話を伺いました。

 (西アナ)「授賞式まであとどのくらいですか?」
(吉野さん)「もうひと月ちょいですね。」
 (西アナ)「今からどう過ごしますか?」
(吉野さん)「特に大事なのはノーベルレクチャーなんですよ。通りいっぺんのレクチャーはいつでもできるんだけど、やっぱり世界に対してメッセージを送らんといかんでしょ。特に環境問題と絡んでいるわけだから。これをうまく説明したいんだが、そのシナリオを作っていく。」
 (西アナ)「会見の時にも『失敗』というのが非常に大事だとおっしゃっていました。」
(吉野さん)「失敗ね。」
 (西アナ)「それをひとつのテーマに伺います。」
(吉野さん)「はいはい。どうぞどうぞ。」

研究が“3連続失敗”…「失敗の原因を自分に問い詰めろ」

吉野さんは1981年にリチウムイオン電池の研究を始め、人並み以上の執着心をもって1992年に商品化に至りました。しかしそれまで関わった3つの研究では、結果を出すことができませんでした。

(吉野さん)「リチウム電池の研究は『4番目』なんですよ。ということは“1番、2番、3番は失敗しましたね”ということですよね。失敗の中で『ああ、これを学びましたね』というのは残りますよね、失敗は失敗でもね。蓋をしちゃったら終わっちゃうじゃないですか。そこから学ぶことは何もないことになっちゃう。失敗したときこそ『失敗の原因を自分に問い詰めろ』と。」
 (西アナ)「嫌な作業じゃないですか?」
(吉野さん)「嫌な作業ですよ!」

そうはいっても、研究に見切りをつけるのはなかなか勇気のいる決断に思えますが…

(吉野さん)「そこはやり方でね。いわゆるアンダーザテーブル(密かな研究)というのかなあ。失敗した時点で、それに代わるようなもんは探さんといかんわけですよね。ペケになってから探し出しても間に合わない。」
 (西アナ)「ある意味変な言い方もしれませんが、したたかというか。」
(吉野さん)「したたかですよ、そりゃ。そのとおり。」

サラリーマンゆえの「嗅覚」

旭化成という民間企業でサラリーマンとして培った感覚も、失敗から脱却できた理由の一つのようです。

 (西アナ)「『ユーザーが何を求めているか』という目線はありますか?」
(吉野さん)「これが一番大事なんですよね、特に企業の研究の場合ね。これは難しいですよ。もう未来予測みたいな話になるからね。でもまあ、まさに“匂い”でしょうね。『嗅覚』。理路整然と『こうでこうで、従って、こうであります…』って、そんなものじゃない。世間で言われている5年予想はだいたい間違っていますよ。」
 (西アナ)「そうなんですか。」
(吉野さん)「ノイズの中に隠れてね、本当の信号は必ず来ているんですよ。それをちゃんと検知できるかどうか、それが“匂い”だと思いますよね。」

吉野さんの場合「小型ビデオカメラ」のため小さく軽い電池の研究を始めた時、ある「匂い」を感じ取ったといいます。

(吉野さん)「そこで終わったら『ビデオカメラのマーケットに入りましたね』というのだけで終わる。世界を変える話ではない。そこまで皆さん困ってるのか?というようなことを感じるのがまさに『嗅覚』。さらになんか、その奥に潜んどるぞと。」

最後に「子どもが失敗したら」をテーマに質問しました。

 (西アナ)「若いとき、幼いときに『失敗は成長』とはなかなか思えない気がするのですが?」
(吉野さん)「いっぱいいっぱい失敗するだろうけどね。失敗したことを叱るんじゃなくてね、『なぜ失敗したの』とそういう叱り方をすると、自然と子ども心にわかるんじゃないかなあ。」

(11月5日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『令和をよむ』より)

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