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【特集】マンション地下から"汚染水"...浄化装置も突然打ち切りに...マンションオーナー困惑

2019年10月14日(月)放送

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今から20年以上前に、大阪府吹田市にある賃貸マンションの地下から地下水が溢れ、基準値の100倍以上の発がん性物質などが検出されました。近くの金属加工会社はこの地下水を浄化するための装置をマンションの地下に設置してきましたが、2018年9月に突然、装置の稼動を打ち切るとの方針を示したことから、オーナーは困惑しています。

地下から突然溢れた汚染地下水…発がん性物質は基準の100倍以上

大阪府吹田市にある5階建ての賃貸マンション。このマンションのオーナーである村瀬婦美子さんによりますと、異変は今から22年前、この建物の地下で起きました。

「突然、地下水が溢れてしまって。(コンクリートの壁が)赤く色が変わっているんですけど、この(腰の高さ)くらいまで水が溜まってしまったんです。」(マンションオーナー 村瀬婦美子さん)

吹田市に調査を依頼したところ、地下水からは基準を大幅に超えるジクロロエチレンなどの発がん性物質が検出されました。

「えーっていう感じでした。発がん性物質が基準の100倍以上という水質やったみたいです。」(村瀬婦美子さん)

吹田市の調査によりますと、原因は村瀬さんのマンションから約120mほど離れた場所にある金属加工会社の工場から流れ出た汚染物質が地下に染み込み、地下水へと広がった可能性が高いというものでした。

会社側が“社会貢献”で設置していた浄化装置…しかし突然「稼働打ち切り」通告

その後、市と金属加工会社が協議を行い、18年前にマンションの地下に巨大な装置が設置されました。会社側は「地下水の汚染と工場との因果関係は確認できない」としていますが、“社会貢献”としてこの巨大な装置を設置したといいます。

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この装置ではまず、汚染された地下水をフィルターに通して鉄分などを除去します。その後、地下水をポンプで吸い上げて100m以上離れた場所にある会社へと送り、会社側で水の浄化を行うという仕組みです。

これまで、フィルターの交換や装置の稼働にかかる費用などは全て会社側が負担してきました。ところが、2018年9月になって突然、会社が市を通じて「装置の稼働を打ち切る」と一方的に通告してきたのです。

「うちとしても南吹田の地下水汚染の浄化のために協力させてもらって18年間(装置を)置かせてもらっていた。『維持管理ができないので機械を止めます』と。その時は何事か理解できなくて。」(村瀬婦美子さん)

一体なぜ突然、装置の稼働をやめることになったのか。その理由を市の担当者に尋ねてみると…

「作業員が1人で入って定期的にろ過装置のフィルターの交換などを行っていた。労務安全面で何か事故があったときに問題があると(会社側から)聞いています。」(吹田市環境保全課 信川泰秀課長)

金属加工会社は、これまで18年にわたって定期的に続けてきた装置のフィルター交換作業に「安全面で問題があるため」と説明したと言います。しかし、汚染された地下水の浄化は周辺住民の健康にも関わる問題です。会社側がやめた後は市が引き継ぐのか、と聞いてみると…

「市役所が汚染原因ではない。地下水汚染が広がっているからといって、市には市街地の地下水を浄化する義務というのもない。市がお金を負担して継続していくのは難しい。」(吹田市環境保全課 高木義弘主幹)

市の試算によりますと、装置の稼働を継続させるためには月額で約450万円の費用がかかるということです。

吹田市は地下水浄化のための装置を3か所に設置

しかし、吹田市はこの汚染水問題について知らん顔をしているわけではありません。村瀬さんのマンションがある南吹田エリアの地下水を浄化するため、3年前から約1億5000万円をかけて周辺に3か所井戸を掘り、汚染水を企業に送るための同様の装置を設置して2019年7月から稼働を始めています。

装置の稼働には3台合わせて月額約2400万円の費用がかかるということですが、会社に汚染水が送られた後の処理にかかる費用については会社が負担しているといいます。この新たな装置の設置と今回の打ち切り問題に関係があるのかどうかについて市は…

「市は企業に正確には確認をしていないのが現状です。」(吹田市環境保全課 信川泰秀課長)

大阪府に公害調停を申し入れ

会社から告げられた打ち切りの時期が迫る中、村瀬さんは2019年9月、会社と市に対して装置の稼働の継続などを求めて大阪府に公害調停を申し入れました。取材班が会社に取材を申し込むと…

【金属加工会社側からの回答書面(一部抜粋)】
『事実関係について、調停当事者の方々との認識の相違も見られることから、詳細につきましては調停の場においてのご説明とさせていただきたく、何卒ご理解下さいますようお願いいたします。今後につきましても、吹田市と協力して可能な限り南吹田地区における地下水浄化を継続していきたいと考えております。』

今回の問題について環境問題に詳しい専門家は。

「市としては汚染状況がある限りそれに対応して、必要な調査と是正措置や対応を排出企業に求めないといけない。(村瀬さんと)吹田市と相手方企業との関係性からいけば、そう簡単に一方的に廃止できるものではない。」(環境問題などに詳しい 藤原猛爾弁護士)

会社側は態度を一転…地下室にある装置を継続

ところが、公害調停の申請から約1か月後、会社側は態度を一転させて地下室にある装置を継続させることを決めました。今の所、その理由はよくわかりませんが村瀬さんは一安心です。

「地下水がきれいになるまで下の機械を動かしてもらって、うちも協力させてもらって、とにかくきれいな水に戻して下さいということだけですね。」(マンションオーナー 村瀬婦美子さん)

会社側と村瀬さんによる公害調停の話し合いはこれから本格化します。

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