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【特集】「浪曲」人気復活の兆し 新風吹き込む若手浪曲師に密着

2019年10月08日(火)放送

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大衆演芸「浪曲」が今、人気復活の兆しをみせています。関西の浪曲界を引っ張る若手浪曲師の一人が新たなファンを呼び込もうと、浪曲の概念を打ち破る新作を披露。その独演会を取材しました。

「浪曲」人気を引っ張る若手の京山幸太さん

関西を中心に活躍する若手浪曲師・京山幸太さん(25)。芸歴7年、情感たっぷりに演じる任侠ものが得意です。浪曲は落語・講談と並ぶ庶民の演芸です。三味線を伴奏に浪曲師の歌と登場人物のセリフで物語が進みます。

明治時代に始まったと言われる浪曲の人気は昭和30年代頃にピークを迎えますが、寄席が減少したことなどから低迷。後継者不足が続きました。しかし、平成に入り浪曲の魅力を見直そうと若手が登場し、ここ数年人気復活の兆しを見せています。幸太さんも最近の浪曲人気を引っ張る若手の一人です。

中学ではバンド活動に没頭し、ヘヴィメタルを演奏していた幸太さん。なんとなく音楽の道に進みたいと思っていた18歳の時にインターネットで浪曲の動画と出会いました。すぐに二代目・京山幸枝若(こうしわか)さんの稽古場を訪れ、弟子入りを申し込みます。大学に通いながら修行し、22歳でひとり立ち。今は関西を中心に年間100回以上の舞台に出演し常連のファンもいます。

「自分の国にこんなかっこいい芸があったんだ。音楽だけじゃなく物語性もある、言葉のいいまわしも素敵だし、鍛え上げた声も素晴らしいし、こぶしも気持ちいいし、こんなものを見逃していたんだと思って。目標はアイコンじゃないですけど、(浪曲の)一つの入り口になりたい。全く世間が知らない状況は変えていかないといけないと思っています。」(京山幸太さん)

新作浪曲のタイトルは「ギャルサー」

幸太さんの次の独演会では、古典ではなく初めて自分で書いた作品を披露することになっています。

「古典の難しい話ばっかりだったら『浪曲は難しい』と離れてしまうかもしれないので、初めて観に来てくれた人でも楽しめるものがほしいと思ったので。」(京山幸太さん)

新作のタイトルは「ギャルサー」。浪曲の概念を覆す幸太さんならではの独創的な世界観です。

性別が流動的になる性的マイノリティ―を公言「芸人としての個性や武器に」

この独演会の情報や近況報告をSNSで発信する幸太さん。その中に気になる写真が…幸太さんはSNSで女装の写真を度々公開していました。幸太さんは時期によって女性的だったり男性的な気分になったりと、性別が流動的になる性的マイノリティ―を公言しています。これまでそれが当たり前だと思って過ごしてきましたが、浪曲と出会ってこのジェンダーが芸人としての個性になっていると幸太さんは言います。

「時期によって男っぽくいたい時もあるし男っぽくはしたくない時もある。でも女性になりたいわけではないし恋愛対象はずっと女性だし。完全に女性じゃないから完全にはなれないけど(女役に)照れることもない、男役の時はもちろん男なんで照れることはないし、武器になっているところもある。」(京山幸太さん)

幸太さんを7年間見守ってきた師匠の二代目・京山幸枝若さんは…

「人生そのものが面白い。男でもあり女でもあり中性でもあり、“自分が思ったとおりにいこう”というのが(芸にも)表れている。」(二代目・京山幸枝若さん)

新作を披露!まさかのパラパラ!お客さんの反応は

本番当日、独演会の場所は神戸・兵庫区にある「喜楽館」です。

「新作は全部自分に責任あるから怖いといえば怖い。」(京山幸太さん)

直前まで入念にリハーサルします。果たして幸太さんの新作は観客に受け入れられるのでしょうか。いよいよ本番です。幸太さん舞台に上がります。

【独演会の浪曲「ギャルサー」より】
『♪チョベリバ チョベリグ MK5 マジハンパないんですけど ギャルと呼ばれる若者たち』

新作で描いたのは平成時代。サークルに所属するギャルたちが対立しながらもダンス大会で1位を目指すというストーリーです。型破りな作品ですが、往年のファンならわかる古典の常套句と「男泣き」のパロディも忍ばせました。

【独演会の浪曲「ギャルサー」より】
『♪聞いてギャルたち 女泣き』

物語は古典でおなじみ義理人情で幕を閉じるかと思いきや…。ここからが幸太節!

【独演会の浪曲「ギャルサー」より】
『いくわよみんな!ミュージックスタート!』

照明は変わりパラパラの音楽が流れてきます。舞台のそでからはルーズソックスを履いた制服のギャル風の女性とショートパンツをはいた女性が出てきて、幸太さんと一緒に“パラパラ”を踊りだしました。これまでの浪曲ではありえないまさかの展開に、大喜びの人や…何が起きたかわからないというような観客も。思う存分暴れまわった幸太さん、最後の口上は…?

【独演会の浪曲「ギャルサー」より】
『♪いつの時代も 節目には 新人類が現れる 令和の主役は 誰じゃやら』

大盛況で幕を下ろしました。独演会に来ていた人の感想は…

「ずっと笑いっぱなしで楽しかったです!もっと観てみたいと思いました。」(観客)
「時代にあった浪曲。変えていったほうがいいと思う。勇気がいるけどね。」(観客)

「まだまだ(浪曲の)間口は狭いかなと思うので、古典をちゃんと磨きつつ仕掛けていくことはしていくべきかなと思っています。『この人が出るなら観に行きたい』という看板になりたいと思います。」(京山幸太さん)

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