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【特集】寺を買う!?檀家離れや後継者不足で..."宗教法人の売買"その実態とは

2019年10月03日(木)放送

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今、寺などの宗教法人が売買されているケースが後を絶たないという。檀家減少によるお寺の住職の後継者不足、墓じまいなど、さまざまな要因で衰退する宗教法人が高額で売り買いされている現場を取材した。

700万円で購入して住職に

今年9月、取材班は住宅街にある宗教法人を訪ねた。訪問先は一見普通の民家だが、れっきとした「寺」だ。中に入ると、床の間に仏像が安置されていた。

「とりあえずは仮。仮のお堂みたいな感じです。」(宗教法人格を買った住職の男性)

住職の男性は2年前にこの寺の購入を持ち掛けられ、宗教法人格と寺の土地を700万円で購入したという。

「お寺を買わないかという話がございまして、合法的に買えるのであれば買わせていただこうかなと思いまして。」(住職の男性)

男性によると、この寺は2年前までは80代の男性住職が代表を務めていたが、後継者がおらず売りに出されたため、男性が間に入った不動産業者に700万円を支払ってこの寺を買ったという。寺を購入した際に受け取った領収書には、確かに代表役員の地位継承と寺の財産を引き渡す対価として700万円を受領したと記されている。

男性はもともと僧侶の資格は有していたのだが、一体何のために寺を買ったのだろうか?

「住職と僧侶では雲泥の差があります。戒名をつけるのも住職にならないとつけられない。賛否ありますけど、自分の長年の夢である住職になることを叶えるために(宗教法人を)私費で買わせてもらいました。」(住職の男性)

関わった業者は取材に…

売買に関わった不動産業者とのやりとり(住職の男性が録音)には…

【録音された音声】
(住職の男性)「どういう流れ?」
(不動産業者)「700万円入るでしょ、私100万円、(前の住職に)100万円。僕らも商売やから。」

業者や元住職への金の配分に関する会話のように聞こえる。取材班は寺の売買に関わった業者を訪ね、話を聞いた。

(記者)「法人を仲介した?」
(業者の男性)「中に入った。仲介じゃなくて、(前の)住職が体の調子が悪かったからね。」

男性は、決して宗教法人を売買したわけではないと主張した。

(業者の男性)「(前の住職に)500万円くらい渡したんちゃうかな。退職金みたいなもんやな。」
(記者)「売買する直前に100万円はあなたがもらうと?」
(業者の男性)「仲介手数料じゃないわけ。結局経費がいっとるからな。全部うちが立て替えている。これで儲けたというのではない。」

仲介手数料は受け取っていないと話す男性。元住職に退職金として500万円を渡した後の残りは手続きにかかった経費だと話した。

(記者)「結果として宗教法人をお金で売買したことについて?」
(業者の男性)「住職を変更する、そのためにはいくらかの費用がいる。お寺を手放すし、代表権を買えるんだから、そこで檀家を集めて商売いうたらおかしいけど、事業をしたらいい。」
(記者)「後ろめたいことをしたとは?」
(業者の男性)「全然ない。」

所管する文化庁も横行する宗教法人の売買について苦々しい思いを抱いている。

「法の趣旨を鑑みると、非常に遺憾な話だというふうには考えておりますけれども…いかんともしがたい。信教の自由というのは非常に強固に認められているものでございまして、(宗教法人の)管理監督をというものを所轄庁がしているわけではない状態。」(文化庁・宗教法人室 郡英男室長補佐 ※取材当時)

所属寺院の3分の1が住職不在…進む「寺じまい」

寺の売買に歯止めをかけようと自ら動き始めた宗派もある。京都に本山がある臨済宗妙心寺派は、所属する約3400の寺のうち、3分の1が住職不在というかつてない困難な事態に直面している。妙心寺派は現在、衰退した寺がブローカーなどにつけこまれて脱税などに悪用される前に宗教法人を解散させる「寺じまい」を進めている。

「あまりひどくおかしな形にならないうちに、ちゃんとした形のうちにお寺にしっかりと終いをつける。万が一にも社会的な批判を受けることがないように、ちゃんとしっかりと最後の終いまで面倒を見させていただくことが大事。」(臨済宗妙心寺派・宗門活性化推進局 久司宗浩顧問)

岐阜県関市にある寺も、やはり檀家の高齢化が進み住職の後継ぎもいないため、寺じまいを決めた。

「親までずっとやっていて、それを跡を継いで。この寺がなくなるとなるとかなりさみしいですね、負い目はあります。けども体も悪いし年もくってきたし、このままずっとほっておくわけにはいかない。」(寺じまいが決まった寺の檀家)

売買に法規制が必要か

臨済宗妙心寺派の最高責任者は、宗派独自の努力に頼るのではなく法規制などの検討が必要だと訴える。

「荒れていき活動ができないお寺とは名ばかりになってしまっていく。(宗教法人が)売買されてしまうことが怖いですが、その前に粛々と整理していかなければならない。現状、全寺院が生き残っていくのは難しいこと。今の制度上の中で、何か歯止めがきくようなことを法律上の中でもしてもらえたらうれしい。」(臨済宗妙心寺派 栗原正雄宗務総長)

実質、野放し状態となっている宗教法人の売買。そろそろ何らかの方策を考えるときが来ているのかもしれない。

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