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【特集】「詐欺では?」"無料"求人広告掲載のはずが...トラブル急増中!会社に迫る。

2019年09月12日(木)放送

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中小企業や町工場では人手不足が大きな課題だ。その中、「料金は一切かかりません」と言う説明を受けてインターネットに求人広告を出した会社などが後日、高額の料金を請求されるというトラブルが全国で相次いでいるという。求人広告を出した会社に迫った。

“3週間無料の求人広告”のはずが…1か月後「32万円」の請求

滋賀県内で飲食店を経営するAさん。今年3月、長年勤めていた従業員が退職したため人手不足に悩んでいた。

「ハローワークに求人を出したのが3月末くらいだった。その後、4月はじめに電話がありました。」(Aさん)

電話をかけてきたのは横浜に本社がある、インターネット求人サイト会社S。「アンケートに協力すれば3週間無料で求人サイトに求人広告を掲載できる」と持ちかけてきたという。

「『お金はかからないですよね?』って聞きました。『本当にかからないですよね?一切かからないですよね?』って聞き方を何回も変えて、10回は聞いたと思いますね。」(Aさん)

AさんはそのままFAXで送られてきた申込用紙に記入した。ところが…

「1か月後、請求書だけがポンと届きました。『32万4000円』。なんやこれと思いましたね。すぐに電話で問い合わせをしました。」(Aさん)

「無料だ」と言われたから契約したにもかかわらず、突然高額な料金を請求されたというのだ。その後、S社に問い合わせても担当者は「申込用紙に書いてある通りだ」の一点張りだったという。

“3週間後に解約しないと有料に”説明はなし

そこで改めて申込用紙を確認すると『解約申し入れがない限り、自動的に有料掲載へと移行となります。』と、名前や住所の記入欄のすぐ下に、確かに自動に有料に移行することが小さく書かれている。

Q契約前に有料に切り替わることの説明は?
「もちろんないです。その3週間だけのプランだということ。そこで3週間経ったら終わりだという話。あなたが悪いんだから払えよ、というような。」(Aさん)

Aさんの元には「法的手続きをとる」などと書かれた督促状が届いたが、支払いを拒否し続けている。

「詐欺ですね。相手は確実にだますつもり。そんなに利益が高いような仕事じゃないので、とても大きい金額ですね。特に個人店で、すごく大きい金額だと思います。」(Aさん)

障がい者支援施設でも“トラブル”

同様のトラブルを抱えているのはAさんだけではない。大阪府内の障がい者支援施設でも…

「昨年度末からうちの事業所は職員が欠員状態になっていて、現場が本当にしんどい状況の中では、わらにもすがる思いもあって。」(施設長)

この施設にも今年5月下旬、S社から電話がかかってきた。Aさんと同じように「3週間無料」という説明を受け、生活支援員、作業療法士、バスの運転手の求人を載せると、約3週間後に48万円余りの請求を受けた。

「こういうことは本当にやめていただきたい、と思います。利用者に還元するお金が詐欺行為に奪われてしまう。」(施設長)

料金を支払わなければいけないのか…弁護士の見解は?

Aさんも施設長もS社からの事前の説明では『3週間無料としか聞いていない』と主張する。しかし、申込用紙には確かに『自動で有料に移行』と書かれている。果たしてAさんたちは料金を支払わなければならないのだろうか。今回の問題に取り組んでいる中西基弁護士は…

「契約書の内容に気が付かなったり、そういうつもりじゃなかったのにサインしてしまったという場合、『錯誤による意思表示ということで契約は無効だ』ということになります。」(今回の問題に取り組む 中西基弁護士)

つまり、Aさんらは「無料の3週間だけ」と思って契約書にサインしていてその後、有料になるとは思っていなかったため「錯誤」による契約にあたり、無効になるというのだ。さらに…

「求人に困っている企業をターゲットにして、その企業が(契約書に書かれた内容を)うっかり見過ごすことをはなから狙った商法。だましてお金を払わせるというのは刑法上は『詐欺罪』。」(中西基弁護士)

このような無料での求人広告を謳うトラブルは去年の秋から今年にかけて急激に増えている。また、同様の求人サイト運営会社が20社以上確認されていて、被害者は2000人以上にも上る可能性があるという。

「運営会社名は違いますけれど、用いている手法はほぼ同じ、用いている契約書自体もほとんど一緒です。同じグループというか、あえて詐欺グループと言いますが、詐欺グループのようなところがもしかしたら背後にいるのかもしれない。」(中西基弁護士)

「詐欺か?」S社に直撃!しかしそこには…

取材班はS社に真意をただすべく、本社がある横浜へと向かった。会社の“所在地”は駅の近くにある雑居ビル。記者はその1室のインターフォンを押した。すると女性が出てきた。

(記者)「関西でS社に詐欺まがいの被害があったという訴えがありまして、その件お話聞けいないかと。」
(女性)「ちょっと待ってください。」

すると中から責任者を名乗る男性が出てきた。

(男性)「S社宛に来ているんですよね?(S社は)移転しているんですよ。」
(記者)「そうなんですか」
(男性)「はい」
(記者)「今は?」
(男性)「別会社です。」
(記者)「全く別の会社ですか?」
(男性)「はい。」
(記者)「ここは何という会社?」
(男性)「今はB社です。」
(記者)「(B社さんは)求人広告の会社ではないですか?」
(男性)「そうです。」
(記者)「求人広告の会社ですか?」
(男性)「はい。」
(記者)「S社の系列ではない?」
(男性)「ではないです。」

驚いたことに男性は「S社は2日前に移転し、同じ場所に別の求人サイト運営会社が入居した」と話した。

「詐欺なのでは?」S社に電話

取材班はS社のホームページに書かれていた番号に電話をかけてみた。

(S社従業員)「お電話ありがとうございます、株式会社S社です。」
(記者)「S社の求人広告のサービスについて伺いたいことがあるのですが。」
(S社従業員)「すみません、そういうのはちょっとお断りしていて。」
(記者)「今はどちらで営業している?」
(S社従業員)「業務の方は止めているので。」
(記者)「業務は止めているんですか?」
(S社従業員)「はい。」
(記者)「求人広告のサービスはやっていないのですか?」
(S社従業員)「そうですね、新規では受け付けていないです。」

今はもう、新規の求人広告の申し込みは受け付けていないという。そこで「最初からだますつもりだったのではないか?」と切り出すと…

(記者)「詐欺じゃないか?という指摘については?」
(S社従業員)「すみません、支払う…あの……すみません、今忙しくて、切ってもいいですかね。」
(記者)「詐欺の意図はあったのか?なかったのか?そこだけ聞いたら電話を切って結構なので。」
(S社従業員)「すみません、ちょっと忙しいので切りますね。」
(記者)「ちょっと待ってください、待ってください。」
(S社従業員)「(電話が切れる)」

S社の代表取締役「詐欺の意図はない」「会社を譲ったので、今は私は関係ない」

結局、S社が取材に応じることはなかったが、その後、S社の代表取締役に接触することができた。

【S社代表取締役・記者取材メモより】
「有料に移行することは説明していたはずだ。詐欺の意図はない。8月いっぱいで知人に会社を譲ったので、今は私は関係ない。」

多くの企業や飲食店は日々、人手不足に頭を抱えている。その悩みに付け込んで金をだまし取ろうとするような行為は決して許されない。

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