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【特集】「出張プロレス」の仕掛け人に密着!居酒屋でもお花見でも家でも...マット1枚でどこでも行きます!

2019年09月10日(火)放送

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出張サービスまたはデリバリーするものといえば、ピザや蕎麦、最近ではバーベキューなども対象です。しかし、今回取り上げるのはそんなありふれたものではありません。「出張プロレス」です。場所さえあればレスラーがその場でプロレスを披露してくれるというサービス。始めたのはこの道20年のあのレスラーでした。

居酒屋が会場に!?良さは「距離感」

力と技とがぶつかり合うスポーツ、プロレス。8月29日、そのプロレスが行われていたのは…なんと居酒屋の中でした。

大阪・西区にある「Bistro de Ramekin」。広さは約9畳、床に敷かれたマットで所狭しと暴れているのは…プロレスラーの「アルティメット・スパイダーJr」、「タコヤキーダー」、「菅沼修」!そして、個性豊かな彼らを率いるのはプロレスラーの「くいしんぼう仮面」です。彼らは5年前から全国各地に出張してマットプロレスを行っています。

「マットプロレスの良さは距離感ですね。(客は)リングだったら上を見上げて距離もある。マットプロレスならお客様がリング上にいる感覚で見られるので、チョップ1発でも迫力が伝わる。」(くいしんぼう仮面)

マットプロレスならではの工夫もたくさんあります。店内のカウンターに目を付けたレスラーたちは…敵の頭を角に打ち付け、なんと上から1回転ダイブまで!また客に倒れ込むなど、プレー中もできるだけ客を巻き込みます。実際にマットプロレスを見たお客さんも…

「チョップですね、逆水平とか。生の音が間近で聞こえるのが醍醐味。」(客)
「選手に手を伸ばせば触ることができる。ロープがないので、観客がロープ代わりでロープブレイクする。おもしろいですね。」(客)

38歳で突如“契約解除”…出会った「マットプロレス」

なぜプロレスを出張するのか…くいしんぼう仮面にはある思いがありました。1999年、プロレスブームの中「大阪プロレス」が立ち上がりました。当時の旗揚げメンバーの1人がくいしんぼう仮面です。得意技は「関空トルネード」、豪快な空中技やコミカルな動きなどでファンを魅了しました。

しかし2014年、観客動員の伸び悩みなどを理由に大阪プロレスは常設会場を全て閉鎖。選手も契約を解消され、くいしんぼう仮面は突如フリーランスに。38歳で行き場を失いました。大阪・北区、くいしんぼう仮面に思い出の場所を案内してもらいました。

「ここが最後の常設会場『ナスキーホール(2014年閉館)』です。5年ぶりぐらいに来ました。(当時)仕事がなかった、上がるリングがなかったから、その時点でどうしようかと。試合しないとお金稼げないから。プロレスラーって人前で試合をするからこそ存在する意味があると思う。」(くいしんぼう仮面)

もう一度リングに立ちファンの歓声を浴びたい。そんな中出会ったのがマットプロレスでした。

「偶然、近くにある地下の格闘技道場があるんですよ。そこで『プロレスをしてくれ』と言われた。地下の道場はリングも何もない狭い所です。そこから、ちょくちょく依頼が2、3個あって、こなしているうちに『じゃあ自分で企画したらおもしろいんじゃない』って。」(くいしんぼう仮面)

こうして、大阪プロレス時代の仲間とともに「出張プロレス」がスタートしました。

選手がマットの設営も 出張プロレスの“裏側”

できる限りコストを抑えるため、マットの設営も選手自らが行います。
「マット2枚いけるかな。」(プロレスラー)
「イスをどけたら。」(プロレスラー)

会場もしっかりチェックしますがマットプロレスならではの失敗もあるそうで…

「(マットとマットの)隙間で受け身を取ると非常に危険ですね。床に頭打ちつけるような状態。」(くいしんぼう仮面)
「(お店の壁に頭を)“コン”っていったときに、壁に大穴空いたことあります。」(菅沼修選手)

始めた当初のギャラは1試合5万円(現在1試合10万円~)。赤字を免れるため物販には特に力を入れています。さらに…居酒屋が会場なら特別なファンサービスも。試合後は酒を酌み交わし交流を深めます。

“どんな場所でもプロレスをしてくれる”そんな噂がまた噂を呼び、居酒屋はもちろん個人のお宅にお邪魔することもあれば、春には花見客のすぐそばでも出張プロレスをすることも。生活費を稼ぐため月に10試合以上行うこともありました。しかし当時のプロレス界はリングが主流。白い目で見られることもあったと言います。

「始めて、しばらくしてから“そういう声”が間接的に耳に入ってきた。(Qどういう声?)『あんなんプロレスじゃねえよ』とか。世間から見たら『こいつバカなことやってるな』とか『落ちぶれたな』とか悪い感情を抱く人もいる。やってる僕はおもしろくて仕方ないですね。」(くいしんぼう仮面)

試合前の控え室も取材しました。ここがレスラーたちの憩いの場だと言います。

「控え室が一番楽しい。プロレス辞めても控え室行きたいって人もいる。」(くいしんぼう仮面)

つらい時、いつも支えあってきた大阪プロレス時代からの仲間たちも平均年齢は41歳になりました。

「さすがに40歳回ったから身体がきつくなってきた。『マットだからどうせ大したことしないだろう』、そういう先入観を壊すっていうかね、それが自分の中で楽しみのひとつ。」(くいしんぼう仮面)

幼稚園にも出張!園児たちは?

8月30日、くいしんぼう仮面たちがやってきたのは…堺市・西区の幼稚園です!生活が苦しい時に絵本も描いていたくいしんぼう仮面。幼稚園や介護施設などで読み聞かせイベントを定期的に行っています。

もちろん終わった後はマットプロレスです!初めて見るプロレスに園児たちは…ちょっと引いていました。

でも、最後はみんな笑顔いっぱいになりました。

(園児)「おもしろかった。」
(園児)「かっこよかった。」

「マットプロレスは食べていくための手段のひとつとして始めたんですけど、人に芸を見せて喜んでもらえる、こういう生き方もあるんだと、新たな発見してもらったらいいかなと。」(くいしんぼう仮面)

プロレスで笑顔になってもらうため、今日も彼らはどこかで戦い続けています。

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