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【特集】LCC「エアアジア」 業界をリードする強みとは...本社に日本のメディアが初潜入

2019年09月06日(金)放送

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2007年に初めて関西空港に就航したLCC(=格安航空会社)は目覚ましい成長を遂げてきました。そんな中、関空に熱い視線を送るのがアジア最大のLCCでもある「エアアジア」です。本拠地マレーシアの本社を訪れ、関空の未来を考えます。

11年連続で“世界一のLCC”

2001年にマレーシアで誕生した「エアアジア」。世界22の国と地域、150都市以上を結ぶ世界最大規模のLCC(=格安航空会社)です。エアアジアが力を入れている関西空港で、国際線は最多の5路線を運航しています。初就航は2011年で、2017年にはホノルル便をあっと驚く価格(1万2900円~)で売り出し、話題となりました。

「めちゃくちゃ安い。お得にハワイに行けるからありがたいです。」(当時の利用客)
「大体半額くらいですからね、普通のフルキャリアの。」(当時の利用客)

世界一のLCCを決める番付(ワールド・ベスト・ローコスト・エアライン2019)では、日本の「ピーチ」は14位でしたが、エアアジアは11年連続の1位となり、ダントツの人気を誇っています。

世界最大級のLCC専用ターミナルはマレーシアに

LCC業界をリードするエアアジアの秘密を探りにマレーシアへ向かいました。飛行機で約6時間半、やってきたのは首都クアラルンプールです。人口3200万人、近年は新しいビルが次々に建ち、著しい経済発展を遂げています。そんなマレーシアの玄関口となっているのが、クアラルンプール国際空港の世界最大級のLCC専用ターミナルです。年間利用者数は、関西空港が2つのターミナルを合わせて約2900万人なのに対し、クアラルンプール国際空港はLCCターミナルだけで約3200万人に上ります。このターミナルで97%のシェアを誇るのがエアアジアです。

「(エアアジアは)マレーシアでは有名です。国を代表する航空会社ですね。」(利用客)
「旅行に行こうと思ったときにチケット代も安いし、機内で出る料理もおいしいです。」(利用客)

遊び心が満載の本社

そんな彼らの本拠地オフィス、通称「RedQ」を記者が訪れました。実は今回が日本のメディア初潜入です。社員は約2000人、地上6階建ての開放感のある社屋は遊び心が満載で、エアアジアの勢いを感じさせます。社内をブランディング部の小川真世さんに案内していただきました。特に記者の目を引いたのが、筒状の“すべり台”です。

Qこれは一体?
「6階から4階まで楽しんでコーヒーでも買いに行けるようにっていう遊び心で作られたスライダーです。」(エアアジア・ブランディング部 小川真世さん)

社内にはほかにもユニークな施設がたくさんあります。社員専用のトレーニングジムや、会議室は日本のアニメのようなイラストが描かれた部屋があるなど、世界中の都市をモチーフにデザインされているといいます。実際に会議の様子をのぞいてみると、話題に上がっていたのは…

「関空が開港25周年なので、お世話になっている人などにお祝いで2500円キャンペーンなどできないかな。」(エアアジア社員・会議より)

「エアアジアでは毎週毎週いろんなキャンペーンを行っておりますので、それでいろんな部署から人が集まって話し合う機会を設けています。」(エアアジア・ブランディング部 小川真世さん)

売り上げはこの5年で倍増と絶好調のエアアジア。今回、グループで長距離路線を担う「エアアジアX」のベンヤミン・イスマイルCEO(42)が取材に応じ、急成長を遂げた秘密を教えてくれました。

「以前はLCCと言えば短距離路線というイメージがありました。しかし私たちはエアアジアグループとして連携することで長距離路線の確立に成功したのです。今後はますます長距離路線の需要は増えると思います。」(エアアジアX ベンヤミン・イスマイルCEO)

長距離LCCの確立・座席の質向上・機体の稼働率

エアアジアの強みは、グループの中に短距離専門の「エアアジア」と中長距離を担う「エアアジアX」という2つのブランドがあることです。これまでLCCと言えばコストを抑えるため最長でも4時間程度で行ける短距離路線が主流でした。しかし近年、大型機体の燃費が良くなるなど性能が格段に向上し、長距離路線市場への注目が高まっているのです。そんな中、エアアジアXはそのブランド力の強さを見せます。おととし、エアアジアXに対抗してホノルル便を就航させたのがシンガポールのLCC「スクート」。運賃も片道1万3800円~と脅威となるとみられていました。しかし今年5月、わずか1年半で撤退となったのです。

「正直、喜ばしいことです。良かったのは私たちが先にホノルル便を就航したことでした。スクートは私たちを真似しようとしましたが、うまくいきませんでした。彼らが就航したとき、私たちは1日1便毎日運航しようと考えました。それが成功した要因だと思います。」(エアアジアX ベンヤミン・イスマイルCEO)

5時間以上のフライトに使われる機体の最大の売りは、12席だけ設けられた特別仕様の座席です。フルフラットになるシートは他のLCCにはありません。クアラルンプール便だと片道料金に2万円程度追加すれば乗ることができ、「狭い」「サービスが悪い」などのイメージを払拭しました。また、エアアジアの運賃の安さの秘密は機体の稼働率にありました。着陸してから関空に滞在するのは大型の機体でもわずか70分。到着と同時に乗務員自ら清掃業務を行い次の出発に備えます。

「私たちはコスト削減のため機体を1日16時間動かします。その点で24時間運航可能な関空は素晴らしいです。」(エアアジアX ベンヤミン・イスマイルCEO)

「施設使用料」が呼びこむカギに?

勢いのあるエアアジアグループですが、今“ある課題”に直面しています。それが空港の「施設使用料」です。施設使用料とは、航空会社が空港に対して支払う空港のメンテナンス費などのことで、通常チケット代に上乗せされています。以前のクアラルンプール国際空港のLCCターミナルは質素な作りで施設使用料もメインターミナルと比べて低価格でした(※大人1人あたり〈国際線〉 メインターミナル:約1900円 LCCターミナル:約1300円)。しかし、利用者が急増したことで2014年に大幅リニューアル。その結果、設備機能は向上しましたが、低運賃を支えていた施設使用料が値上がりしてしまったのです(※大人1人あたり〈国際線〉 LCCターミナル:約1900円)。これがエアアジアの魅力である低価格の維持を難しくさせています。

「私たちにとって重要なことは空港が手頃な施設使用料であること。その分チケット代も安くなり旅行する機会が増えますからね。」(エアアジアX ベンヤミン・イスマイルCEO)

関空にはおととし、LCC専用ターミナルが完成。簡素な造りで施設使用料はターミナル1と比較するといまは半額程度に抑えられています(※大人1人あたり〈国際線〉 ターミナル1:3040円 LCC専用のターミナル2:1540円)。しかし、今受け入れているのは短距離LCCが中心。26年目を迎えた関空が今後、長距離LCCをどこまで受け入れ、LCCターミナルをどう生かしていくかがさらなる成長の鍵と言えそうです。

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