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「クジラ肉」高たんぱく・低脂肪・疲労回復もあるけど...どう食べる? おいしく進化するクジラ料理

2019年08月27日(火)放送

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かつて、学校給食にもたびたび登場し、日本の食文化として愛されてきたクジラ肉。今年7月の商業捕鯨の再開をきっかけに身近な食材になるかと思いきや、「若い世代には伝わっていない」と危機感を抱く男性がいます。食べたことのない世代にいかに食べてもらうのか…外食産業で動き出した取り組みを取材しました。

商業捕鯨再開で「鮮度が違う」クジラ肉が食べられるように

今年7月、再開された「商業捕鯨」。各地から出航した捕鯨船が、日本の沖合で31年ぶりに漁を行いました。捕獲するのは、国際的に十分な数が確認されているミンククジラ・ニタリクジラ・イワシクジラの3種類です。商業捕鯨の再開で、調査捕鯨の時との一番の違いは、冷凍していない生のクジラ肉が店に並ぶことです。

「商業捕鯨なので鮮度が全く違います。仕入れたものが生でそのまま届く。」(阪急うめだ本店・販売促進部 米田進悟さん)

7月に阪急百貨店うめだ本店を訪ねると、販売されていたのは4日前に北海道の釧路沖で水揚げされたミンククジラの刺身や竜田揚げでした。売場では試食も行われ「懐かしい味」と話すお客さんもいました。

戦後、牛肉や豚肉の入手が難しい中、たんぱく源として学校給食にもたびたび登場したクジラ肉。しかし1987年に調査捕鯨が始まると出荷は激減し、23万トン以上あった消費量は最近では3000トンにまで落ち込んでいました。

様々な部位が購入でき、調理方法もわかるサイトも

商業捕鯨解禁の流れを受け、日本初のクジラ肉原料販売サイト『くじらにく.com』がオープンしました。「赤身」や「皮」、「さえずり」などクジラの様々な部位が購入できるこのサイト。クジラ料理の初心者向けに調理方法の動画なども充実しています。

「味付けまで全部わかる。クジラってこれまでほとんど流通していなかったので、料理の仕方自体を知らない人がほとんど。これを見れば、どうやってクジラを使った料理を作ればいいのか一目瞭然ですね。美味しそう。」(辻憲太郎解説委員)

30年ぶりに商業捕鯨再開…しかし若い人には”伝わっていない”

このサイトを立ち上げたのは、ノルウェーの捕鯨会社で日本法人の代表を務める「ミクロブストジャパン」社長の志水浩彦さんです。

「手に入りにくいということもあって、食材としてのクジラ肉が若い人たちに伝わるということがされていなかった。30年経った今、商業捕鯨が再開されましたけど、いざ誰が食べるのか?となった時に、若い人たちに(クジラ肉を)届けないと。20年後40年後の日本、クジラを食べる人がいなくなっちゃう。」(ミクロブストジャパン社長 志水浩彦さん)

高たんぱくで低脂肪、疲労回復しやすい「クジラ肉」

生態研究や調査捕鯨で、20年以上クジラに携わってきた志水さん。毎年、乗船するというノルウェーの捕鯨船の貴重な映像を見せてもらいました。

「(船の)高いところからクジラが息継ぎするのを見つける。捕鯨船を近づけて行って、出てきたところを捕鯨砲で仕留める。」(志水浩彦さん)

ノルウェーには日本同様「鯨食文化」があり夏の間、商業捕鯨をしています。捕鯨船が捕捉するのはクジラが息継ぎをしに海面に出てくる瞬間で、船の監視塔から姿を見つけると捕鯨砲を放って捕獲します。その命中率は90%だといいます。

約3週間漁を続ける船員たちのパワーの源はもちろんクジラ肉。高たんぱくで低脂肪な上、疲労が回復しやすいという「バレニン」という成分が豊富に含まれているそうです。

「ノルウェーはクジラをステーキにして食べる。3、4週間熟成させた赤身の肉。熟成させていますから旨味が増えて、肉自体を生で食べると甘い。クジラのカルパッチョだとオリーブオイルと粉チーズで…。」(志水浩彦さん)
Q食べるクジラか、生き物としてのクジラなのか…クジラのどこに愛情を感じる?
「両方ですね。生き物としての魅力もある。食べてもおいしい、体にもいい。全てに魅力を感じます。」(志水浩彦さん)

部位の呼称や調理法も…飲食店で丁寧に説明

『美味しくて栄養のあるクジラ料理を若い世代に伝えたい』その思いで志水さんは行動を起こしました。この日、志水さんがいたのは東京・三鷹市にあるもつ鍋を始めとする肉料理が人気の居酒屋「エビス三鷹」です。この店では新メニューに「くじらの刺身」を検討しているそうです。

「解凍方法を間違うとドリップ(肉汁)がたくさん出てしまって、おいしくない肉になる。クジラ肉も脂身と(赤身と)一緒に紅白にして食べる食べ方があって、これおすすめです。使う部分は赤身。あと皮下脂肪ですね。クジラは体を覆うように皮下脂肪がある。」(志水さん)
「それ(皮下脂肪)は何ていう名前ですか?」(エビス三鷹 鈴木健司さん)
「原料でいうと、白皮、皮小切。何が違うかというと、皮の厚さだったり、皮の大きさ。」(志水さん)
「薬味はニンニク?」(鈴木さん)
「すりおろしたニンニクと生姜がベースですね。」(志水さん)

「リアルな不安としてはロットが大きいので、保存とか品質保持。前よりはちゃんと(扱い方の)イメージができたので、(サイトを)見るだけだと想像できないものもあるので、お話を聞けて良かった。」(エビス三鷹 鈴木健司さん)

クジラ肉はホームページ上で簡単に購入できますが、志水さんは初めてクジラ肉を扱う店舗からの相談には時間を惜しみません。その理由は…

「スーパーでクジラが並んでいても(若い世代が)買うか?というと、買わないと思う。なぜなら(クジラ肉を)知らないから、食べたことがないから。若い人たちがどこで食べるか?というと、飲食店で初めて食べる体験になる。鈴木さんのような若い経営者がクジラを扱ってくれると大変嬉しい。」(志水浩彦さん)

クジラ肉を使ったイタリアンも!そのお味は?

商業捕鯨再開を受けて、クジラ肉に興味を持つ飲食店は増えてきています。東京・新宿区にあるイタリア料理店「オステリア クロチェッタ」では、7月からイワシクジラを使ったメニューを始めました。辻解説委員、さっそく試食させていただきました。

「ナイフとフォークで(クジラ肉を)頂くのは初めて。一番興味がありますのが…イワシクジラの黄金焼きです。パルミジャーノチーズが(クジラ肉に)コーテイングしてある。(味が)想像もできないですが、いただきます。」(辻解説委員)

そして一口…お味は?

「むちゃくちゃ美味しいですね!チーズの香りとクジラの旨味がうまくミックスされまして、口の中に上品に美味しさが広がる。新感覚ですね。ほとんどの日本人はまだ気づいていないと思いますけど、クジラ肉とイタリアン合います!!」(辻解説委員)

メニューにはスモークしたクジラ肉を使ったパスタも。シェフにお話をうかがいました。

Qイタリア料理にクジラを使ったメニューはある?
「ないです。イタリア人はクジラを食べない。7月になってから(イタリア人が)来客して食べました。」(オステリア・クロチェッタ 門脇稔さん)
Q反応は?
「ばっちり!ボーノ!と」(オステリア・クロチェッタ 門脇稔さん)

志水さんは、オーソドックスなクジラ料理に加えて、和・洋・中、様々なメニューを飲食店に提案し、普及を進めたい考えです。ちょっと先の未来、日本の食卓にクジラ肉は戻ってくるのでしょうか。

「今はきちんと資源管理をしながら、持続的に利用可能な範囲で捕鯨を行っている。昔のように(大量に)供給できるようになるわけではない。私が期待しているのは、30年経った今の技術でクジラ肉を料理したら、どんなに美味しい料理ができるんだろうと。美味しいクジラ料理を我々は食べられるようになる、ということを期待しています。」(志水浩彦さん)

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