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【特集】沖縄球児に届け「ハイサイおじさん」 沖縄と兵庫をつなぐ友情応援

2019年08月21日(水)放送

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8月22日に決勝を迎えた全国高校野球選手権大会。夏の甲子園は球児だけでなく、スタンドで演奏する吹奏楽部にも熱い想いがあります。地元・兵庫県のある高校は沖縄の代表校を毎年応援しているのですが、そこには23年続く「友情応援」の伝統がありました。

沖縄代表校の応援を23年前から続ける市立尼崎高校

今にも踊り出したくなるような沖縄の民謡「ハイサイおじさん」の陽気なメロディー。演奏をしているのは兵庫県の市立尼崎高校の吹奏楽部で、甲子園に出場する沖縄代表校の応援は23年前からこの高校が担当しています。厳しく指導する顧問の羽地靖隆さん(71)は沖縄出身です。

「もう1回。下向きすぎ、トロンボーン。ラッパもや。真っ直ぐ吹く練習。」(市立尼崎高校吹奏楽部顧問 羽地靖隆さん)

沖縄の代表校は、遠く離れた甲子園に応援団を送り込むのは難しく、楽器の運搬にも膨大な費用がかかります。こうした事情で県人会から依頼を受けて沖縄代表校の応援演奏をするようになりました。

「140試合は超えていると思う。全部だから、春夏。ちょっとでも沖縄の生徒の力になったら良いんかな。」(羽地靖隆顧問)

甲子園への憧れが入部のきっかけ

そんな中、甲子園での応援に憧れて吹奏楽部に入部した1年生がいます。榊原こころさん。担当はトロンボーンです。

「中学時代に野球部に入りたいなと思ったんですけど、男子部員しかいなくて女子部員がいないという時に、吹奏楽部で応援できるかなと思ったのが吹奏楽部に入ったきっかけです。」(市立尼崎高校吹奏楽部1年生 榊原こころさん)

地元・尼崎で育ち甲子園を身近に感じてきた榊原さん。毎年、沖縄の応援をしている市立尼崎高校なら甲子園に行けると思い入学しました。

「音を通して選手を勇気づけられることはすごく良いことだと思います。私たちも演奏をさせてもらっているという気持ちで私はいるので、お互い支えあってやっていけたらなと思います。」(榊原こころさん)

両校が力を合わせて応援を作り上げる

この日、市立尼崎高校にやってきたのは真っ黒に日焼けをした沖縄の代表校・沖縄尚学の生徒です。両校の生徒たちだけで曲順や歌のタイミングを決めていきます。市立尼崎高校の演奏に合わせて、沖縄尚学の生徒が歌うのです。

「チャンステーマは『ハイサイおじさん』と『沖尚サンバ』でやります。みんなが分かる曲といえば、この2曲が1番なので。」(沖縄尚学の生徒)

曲目は決まりましたが、試合まであと3日。それまでに17曲全てを覚えなければなりません。

「最初、音を聴いた時は迫力が凄くて正直びっくりしました。当日は是非、沖縄尚学野球部に力を貸してください。」(沖縄尚学の生徒)

試合前日、沖縄から応援グッズが届きました。沖縄尚学の帽子とTシャツそしてタオル。本番は全員が同じ衣装で応援に臨みます。

対戦相手は「美爆音」の強豪

準備が進み、テンションが上がる生徒たちですが心配事が…

(市立尼崎高校吹奏楽部の部員ら)
「怖いです。」
「あっち170人も来るよ。」
「多すぎひん?」
「そんなんガチすぎひん。」

沖縄尚学の対戦相手は春のセンバツ準優勝の強豪習志野高校。実は、野球だけではなく吹奏楽部も全国屈指の名門。高校野球ファンには「美爆音」と呼ばれていて対戦相手の脅威にもなっています。

「YouTubeとかで見ても上手いので。機械で聴いていて上手いってことは、直接聴いたらもっと上手いと思うので。(対戦相手が習志野と聞いて)本当にびっくりしました。」(榊原こころさん)

最後の全体合奏。沖縄尚学からチアも駆け付け、本番さながらの練習を行います。しかし、なかなかヒットが出た時の曲の切り替えが上手くいきません。

「曲をいつ止めるかはわからん。曲の途中でも切り替え。もう一回。」(羽地靖隆顧問)

習志野の美爆音に対抗するため、練習はギリギリまで行われました。

「私たちは人数少ないですけど、頑張って選手たちに届けられるサウンドで精いっぱい応援したいと思います。」(榊原こころさん)

沖縄球児に届け 「ハイサイおじさん」

そしていよいよ当日。榊原さんは憧れの甲子園アルプススタンドに立ちました。

「うわー。あっつ。(Qどういった気持ちですか?)楽しみでしかないです。」(榊原こころさん)

そして試合が始まりました。先攻は習志野高校。応援の迫力は想像以上です。

「あれはやばい。あの威圧やばいな。(Q習志野の音すごい?)やばいです。」(榊原こころさん)

しかし、沖縄尚学のアルプスの応援も負けてはいません。市立尼崎高校の演奏に乗せて、沖縄ならではの指笛や踊りでボルテージはどんどん上がっていきます。そして、2点を先制され迎えた4回、沖縄尚学の反撃が始まります。1アウト、ランナー1・3塁、タイムリースリーベースで同点に追いつきます。その時、吹奏楽部は練習してきたヒット時の曲への切り替えも…上手くいきました。さらにスクイズで見事逆転に成功。この回、一挙3点を追加します。

「(Q応援届いたと思う?」絶対届いています。」(榊原こころさん)

その後、9回表、強豪習志野は土壇場で粘りをみせ同点に追いつき試合は延長戦に。さらに10回表に逆転され、後が無い沖縄尚学の10回裏の攻撃。アルプススタンドではあの曲が流れます。市立尼崎高校が懸命に演奏する「ハイサイおじさん」です。アルプスが一体となって選手に思いを届けます。

しかし。沖縄尚学は得点することができず、接戦の末に沖縄尚学は5対4で惜しくも敗れ、榊原さんの初めての甲子園も終わりました。

「最後に『ありがとうございました』と選手の方々には言われましたが、私は“こんな良い試合の応援をさせてくれてありがとうございました”という感じ。プレーはしていないですけど、楽器を通じて応援できたのは本当に嬉しいことだなと思います。」(榊原こころさん)

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