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【特集】老朽化進む「木の電柱」が心配...使われず放置され続けるのはなぜ?

2019年08月19日(月)放送

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滋賀県大津市の住宅街に、使われなくなった電柱が1164本あるといいます。中には木製の電柱もあり、老朽化も進んでいるため、住民は倒れてくるのではないかと困惑しています。一体、何のために立てられたものなのでしょうか。

傾いたり、へこんだり、木が継ぎ足されたり、切断されたり、ツタが生えたり…

滋賀県大津市。瀬田や田上など市の南部に位置する地域です。新しい住宅と古い家が立ち並び、狭い道路が入り組んでいますが、この住宅街のあちこちに木製の電柱が立っています。太いものから細いものまで様々で、高さは約5~10m。しかしこれらの電柱は全て、今は全く使われていないといいます。大津市瀬田学区自治連合会長の内田一豊さん(79)に案内してもらいました。

「この木製の電柱もそう。」(大津市瀬田学区自治連合会 内田一豊会長)

電柱は古くなったせいか、かなり道路側に傾いてしまっています。

「間伐材を使っているから曲がっているものもある。木製だけにやっぱり弱いですね。」(内田会長)

コンクリート製の電柱と並ぶように立つ木製の電柱。何かがぶつかったのでしょうか、へこんでしまっている電柱もありました。さらに…

「車がよく当たるのでしょうか、電柱に貼られた標識にこすった跡が多数見られます。」(記者リポート)

他にも木が継ぎ足されているものや、途中でばっさりと切断されているものもあります。電柱に絡みついたツタは、立てられてから長い歳月が経っていることを物語っています。

半径400mに34本の木の電柱

使われなくなった電柱は一体どれだけあるのか、取材班が調べてみると半径400mほどの狭い範囲の中に34本もの木製の電柱が立っていました。ある電柱はかつて小学校の通学路に立っていて、児童たちはいつも電柱を避けて車道にはみだしながら通学していました。その電柱は住民の要望を受けて今年4月にようやく撤去されたといいます。住民たちは長年、放置され続けている電柱に困惑しています。

「いつかはこの電柱の地中に入っている際が朽ちてくるということになった時にどうなるかやな。事故が起きてからでは遅い。」(内田会長)

木製の電柱は老朽化が進んでいるため、内田さんはそのうち根元が腐って倒れてしまうのではないかと心配しています。

かつては「電話や地域情報の伝達手段」だった

そもそも何のために立てられた電柱なのかというと、実はこれらの電柱は、かつてこの辺りで放送されていた「湖南有線放送」に使われていたものでした。「湖南有線放送農業協同組合」が運営していた有線放送は今から46年前に放送が始まり、当時電電公社(現在のNTT)がまだ普及していなかった大津市南部の電話や地域情報の伝達手段を長年にわたって担ってきました。

「電話機に放送設備が付いていて、朝昼晩に情報が流れる。『修学旅行に行きましたよ』とか、『無事何人がどこどこに着きましたよ』ってことも放送してくれた。生活上の利便性はかなりメリットとしてはあった。」(内田会長)

大津市によりますと、有線放送は2001年に終了し湖南有線放送農業協同組合は2011年に解散しました。しかし組合が解散する際に清算手続きをしなかったため、電柱は処分されることなく放置されたままになってしまったといいます。

不要電柱は1164本…そのうち677本は私有地に

「現在使われていない木製の電柱があちら、その手前、そしてこちらにもあります。電柱をよく見ますと、真ん中の方が割れているようにも見えます。」(記者リポート)

大津市が2011年に調査したところ、電柱は木製が724本、コンクリート製が410本、鉄製が30本であわせて1164本も放置されていることがわかりました。またこのうち677本は私有地に立っているといいます。

「これなんか、もうここのおうちの私有地やからね。その時『ここに建てるから頼むで』って感じでやった。」(内田会長)

敷地内に電柱がある住民は…

「もし道路側に倒れてしまったりすると危ないので、本当は撤去した方がいいんやろなと思っています。公共の場所じゃないので、もう仕方ないのかなと思っていて。(行政が)個人の土地に入ってきて撤去するってできないのかなと思っている。」(敷地内に電柱がある住民)

撤去費は1本10~20万円 “市も県も手が付けられない”わけ

私有地に立てられた電柱を撤去する場合、費用は地権者の負担となりますが1本あたり10~20万円かかるため、撤去する人はほとんどいないといいます。しかし、木でできた電柱を朽ち行くまま放置するわけにはいきません。市や県に撤去してもらうことはできないのでしょうか。

「電柱は当時の湖南有線放送の所有物であるため、市は撤去する立場ではない。」(大津市)

では有線放送を認可してきた滋賀県はというと…

「実際に管理や業務指導をしていたのは電波を管轄する総務省の近畿総合通信局です。私有地の電柱はあくまで民間の組合と地権者の『民民』の問題なので、県は取材に答える立場ではありません。」(滋賀県)

市も県も手が付けられないと話す「負の遺産」。自治連合会長の内田さんは、一刻も早い後始末を望んでいます。

「理想は、ある時期に(行政が)きちんと予算化して意識的に撤去してということをやらないことにはいけないと思う。朽ち果てるのを待つとかね、そんなことしか今のところしょうがないかなと思う。こっちが撤去してくれと言ってもお金の問題があるので、誰がどうしてくれるんやっていうのがね、これからの課題やね。」(内田会長)

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