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【特集】丸亀製麺「V字回復」 舞台裏にUSJの立役者

2019年07月31日(水)放送

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一時は破綻寸前にあった大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた立役者が今、新たな企業のブランド再生に乗り出しています。うどんチェーン店として全国展開している「丸亀製麺」です。お客の数が前の年を割り込むなど経営不振に陥っていたブランドをどう復活させるのか。その意外な戦略を取材しました。

「丸亀製麺」業績回復の立役者は…

6月25日、東京で行われた記者発表会。うどんチェーンの「丸亀製麺」が深刻な客離れから一転、急速な業績回復を遂げているというのです。

「かなり力強い結果となってきていて、確実にお客様が戻ってきてくれた。それ以上に新しいお客さんが増えたんじゃないかなと。」(トリドールホールディングス 粟田貴也社長)

「丸亀製麺」は2000年に1号店を開店以降、今では全国に824店舗を展開するまでに成長しました。しかし去年から客足が鈍り、毎月、前年割れが続く状態に。

「我々としては一生懸命やってきたことが、少しお客様の思いとかけ離れたところが出てきたのではないかと。」(トリドールホールディングス 粟田貴也社長)

打つ手が見いだせない中で助けを求めたのが、マーケティング支援会社「刀」の代表で、凄腕のマーケターとして知られる森岡毅さん(46)でした。

「同じことをずーっとやり続けて言い続けないと、ブランドってできないんですよね。」(刀・CEO 森岡毅さん)

USJ時代は、後ろ向きのジェットコースターの発案やパークを大人だけでなく家族で楽しめる場所に転換するなどして、破綻寸前と言われていたUSJをたった数年でV字回復させた立役者です。

天ぷらを並べることは“作業” アツアツの天ぷらを提供することが“仕事”

丸亀製麺の再生を任された森岡さん。この日は部下と大阪市住之江区にある店を訪れました。

「冷しぶっかけ、並みで。」(森岡さん)

週に1度はどこかの店に足を運び、客目線での気付きを探ります。森岡さん、今はダイエット中だといいますが、好物のうどんをほおばります。

「めっちゃ、うまいやん!」(森岡さん)

しかし、その眼光は鋭く…

「お客さんを見るように徹底しましょう。」(森岡さん)
「はい。」(部下の男性)

オーダーする客の様子や接客する従業員の動きをつぶさに観察します。気になったのは天ぷらの提供の仕方です。

「空いたスペースに揚げた天ぷらを埋めていくのが仕事ではない。それは仕事ではなく作業なんです。作業をしたらだめで、本当はアツアツの天ぷらを消費者の口に放り込むという情熱をもって仕事をすると、『揚げたてですよ!』と、”先に揚げたものがあっても、今揚げたてのものをお客様のお皿に入れる”くらいのつもりでお客さんを見てほしい。」(森岡さん)

「ただいまかしわ天揚げたてです。いかがでしょうか。」(丸亀製麺の店員)

気付きは800の全ての店で共有され、お客の満足度の向上に繋げられました。

「我々なりに分析してみると、実はまだまだトップラインが伸びるのに、ブランドは強くなるのに、まだまだいけていないと気づいたので(社長に)伸びしろありますよ、と伝えた。」(森岡さん)

2年前、「マーケティングで日本を元気にしたい」とマーケティング支援会社「刀」を立ち上げた森岡毅さん。様々なデータを分析し、得意のマーケティングを駆使して複数の企業支援を行っています。スタッフは30人いて、数学マーケティングをとことん吸収する頭脳を持っている人や、消費者が何を欲しがっているかについて鋭いセンサーを持っている人などがいるそうです。

“非効率”がブランド価値

そして、チーム丸亀の調査から見えてきたのは、こだわりゆえの“非効率”でした。

丸亀製麺は香川県の小さな製麺所に倣い、打ちたての味を届けようとスタートしました。材料は、国産小麦と塩、水だけ。その配分は厳密に管理されていて、温度も大切な要素です。全ての店に製麺機があり、全国に3000人いる麺打ちができるスタッフが毎日、手間暇をかけてうどんを作っています。

(客)「コシがあるので、いくらでもいける。」
(客)「この食感。うどんのシコシコしたのが、ここが一番おいしい。」

打ちたての味を支えていたのは合理化とは程遠い効率の悪さでした。

「実はこういうお店は、店舗を拡大すると“規模の経済”と言って、まとめて作った方が原価を抑えられ、安く出せるから利益率が上がる。これを『チェーンストア理論』と言うんですが。」(森岡さん)

多くのチェーンで採用されているのは、拠点となる工場を造りそこから各店舗に配送するシステム。個々の店で作るより経費が圧縮でき、丸亀製麺のように店の数が多ければ多いほどスケールメリットがあります。

すぐにでも工場を造って効率化を図り利益を出すしくみを提案するのかと思いきや、森岡さんは違いました。

「小麦粉だけでこれだけのコシを出すことにこだわっている820店舗あるような店はここ(丸亀製麺)しかない。これはすごいこと。」(森岡さん)

『どの店でも手作り』という“非効率”こそブランドの価値であり、優位性だと考えたのです。

“うどんそのものの魅力”訴えV字回復

さらにチーム丸亀が調べると、こだわっている「手作り」さえ知っている人が全体の3割程度にしか満たないことがわかりました。ここ数年、力を入れてきたのはいわゆる「トッピング」のフェア。丸亀製麺をよく利用する人には効果的ですが、数ある外食の中から「うどん」を選んでもらう決定打にはならない。つまり新規の顧客開拓には繋がらなかったというのです。

そして制作された丸亀製麺のCMでは“すべての店で粉からうどんを作っている”という、うどんそのものの魅力を訴えました。その効果はてき面。16か月連続で前年割れを続けていた客数がV字回復し、売上も着実に伸び続けているといいます。

森岡さんとタッグを組んでわずか9か月のスピード再生。粟田社長は、短期間の取り組みをこう振り返ります。

「こういう点が欠けている、見失っているよというところがあって。その見失っている点は何なのかというと、創業の原点である業態力。それを調査結果として教えていただいて、まさに客数がじわ~と伸びてきている。」(トリドールホールディングス 粟田貴也社長)

原点回帰。緻密な分析とマーケティングが、さらなるブランドの成長に繋がったようです。

(「Newsミント!」内『特集』より)

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