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子どもにどう伝える?見直されはじめる「性教育」の今

2019年07月25日(木)放送

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さまざまな情報があふれる今、子どもたちへの「性教育」が見直されつつあります。秋田県では、産婦人科医らの熱意で始まった性教育が成果を上げ、10代の人工妊娠中絶率が下がりました。また大阪では、“3歳から”の性のお話も保護者の間で話題になっています。変わりつつある「性教育」の今を取材しました。

きっかけは産婦人科医たちの危機意識…中学から始まる「性教育」

7月4日、秋田県内の公立中学校で中学3年の男女合わせて39人が特別授業を受けていました。タイトルは「ここでしか聞けない性の話」。講師は泌尿器科のドクターです。

「無秩序にセックスをすれば、1回だけでも簡単に子どもができてしまう。」(藤原記念病院・泌尿器科 福田歴視医師)

中学生の教育指導要領には含まれていない、セックス・避妊・中絶という言葉。この授業にタブーはありません。

「大事になってくるのは避妊という話です。不必要な妊娠、あとは望まない妊娠、それを避けるために重要な手段です。日本では避妊の方法としてコンドームが最も一般的で入手も簡単です。コンビニでもスーパーでもどこでも売っています。性感染症、いわゆる病気の予防になる、これにおいては抜群の性能を発揮します。ですので男性諸君は後々『つけて』と言われたら、嫌がらずにつけましょう。いきなりやると失敗する可能性があるので、あらかじめつける練習をするのも大事なことです。」(福田歴視医師)

秋田県では、外部講師を招いての「性教育」の授業を約20年前から行っています。きっかけは、地元の産婦人科医たちの危機意識でした。

「自分を大切にしてほしい」性教育は成果に

学校の教員に性教育の仕方を指導する産婦人科医の池上俊哉さん。中高生への性教育の必要性を訴えた医師の一人です。

「非常に日常臨床で生々しい事例を診ています。本来は扱いたくない中学生・高校生の妊娠中絶とか。知識があれば避けられるようなことが、知識がないために不幸な出来事になってしまう。」(いけがみレディースクリニック 池上俊哉医師)

授業開始前の2000年、秋田県の10代の人工妊娠中絶の実施率は女子1000人あたり17.7人と、全国平均の約1.5倍でした。そこで産婦人科医らは、このままでは多くの子どもたちが傷ついてしまうと、一歩踏み込んだ性教育の必要性を訴えたのです。当初は高校生が対象でしたが、高校入学直前に初体験をする人が多いことがわかり、15年前からは中学3年まで年齢を引き下げました。

「自分を大切にしてほしい」、そう語り掛けられた生徒たちは、素直に耳を傾けていました。

「家族とか友達とかもそういう話をしないので。正しい知識を身に着けることができてよかったです。」(中学3年生・女子生徒)
「最初は軽く思っていたこともあったんですけれども、一つ一つの物事が大事だと思いました。」(中学3年生・男子生徒)
「そういうことをする前の年齢で知識をいっぱい覚えておいて、大人になったときにその知識を利用してうまくやっていきたい。」(中学3年生・男子生徒)

この取り組みは次第に成果をもたらしました。全国平均の1.5倍だった10代の人工中絶率はこの20年で全国平均の半数以下に。件数も568件(2000年)から40件(2017年)にまで減少しました。(厚生労働省 衛生行政報告例)

簡単に情報を得てしまう時代だからこそ

タブーなき性教育は、時に「寝た子を起こす」と批判を受けることもあります。しかし、池上医師は子どもたちがインターネットで簡単に情報を得てしまう時代だからこそ、しっかり顔を見て語りかけることが大事だと感じています。

「『寝ているまま』はないでしょう、起きる時がある。起きた時に戸惑うような状態、悲しい状態は困る。いずれは起きるのであれば健やかに起きてほしい。『もう健やかに起きる時間なんだよ』という意味のものが、今の性教育じゃないかと思います。」(いけがみレディースクリニック 池上俊哉医師)

毎日子どもたちと向き合っている教師たちは、ドクターたちの熱意に感謝しているといいます。

Q教師から同じ内容を伝えるのは?
「難しいと思います。普段そういう話はしないので。ドクターとかが来てくれ方が助かる。」(高校教師)
「私たちの口から言うのとお医者さんから言うのとでは言葉の重さが生徒にとっては違うので、外部の先生を呼ぶのはいい機会なのかなと思います。」(高校教師)

「性教育は3歳から10歳までに」のわけ

ひとくちに「性教育」と言っても、その内容は様々です。最近、子どもを持つ保護者の間で話題になっている講座が大阪で開かれていました。子どもと保護者のための性教育講座を主宰する、のじまなみさん。元看護師です。

「未就学児から小学生のお母さんにむけて、子どもたちに命や性をどう伝えるかというのを初級講座として伝えています。(Q未就学児ですか?)驚かれる方も多いけれど、(家庭での)性教育は3歳から10歳までにやるのがいいと私たちは考えています。早いと思うかもしれないけれど、性の話は10歳以降になるとどうしても子どもとするのは恥ずかしがったり、子ども自身がこういうことは親に聞きたくないと思ってしまったりしがちなんです。」(のじまなみさん)

この日、集まったのは0歳から15歳の子どもがいる26人のお母さんです。

「(1年生の)息子が寝る時に私の胸を触りながらじゃないと眠られない。いつまで許したらいいのか。」(3児の母)
「ここは触ってはいけない場所と伝えてあげて、ハグをしてあげるや手を握るだとか、今日からそれにしようともうあなたは1年生だよねと。」(のじまなみさん)

講座では子どもたちが学校で受けている教育を知ることから始めます。

「国公立では4年生で性教育の授業を習います。教科書が大体1ページぐらい。『精子があります、精通がきます、卵子があります、生理がきます、一つ飛ばして、赤ちゃん』と書かれています。『え?』と教室中がざわざわするそうです。教育現場で『知らなくていい』と言われた子どもたちはどうしますか?さぁ“ググり”ますよね。皆さんも検索してみてください」(講座で話すのじまなみさん)

実際に『いちゃいちゃ 動画』で検索してみると…

「多種多様なエッチな動画が山ほど出てきます。」(講座で話すのじまなみさん)

例えば「レントゲン」など一見、性産業とは関係のなさそうな言葉でも、子どもに見せたくない画像が出てくる現状です。

「自分の体は大切」と思うことが「身を守る」ことに

のじまさんがこの講座を始めたのは3人の娘と“わいせつ目的の誘拐事件”について話をしたことがきっかけでした。

「娘に『どうしてついて行ったんだと思う?もしあなただったらどう思う?』と聞くと、娘は『私もついて行ってしまうかもしれない。』と言われた時、私はドキリとした。ついて行った先に何があるのかイメージさせてあげないと、簡単について行ってしまうと身にしみて感じた。」(のじまなみさん)

しかし、実際に自分の子どもと「性」の話をするのはそう簡単ではありません。そこで講座では、『水着を着たときに隠れている部分は人に触られてはいけないし相手の許可なく触ってはいけない』ことや、『赤ちゃんがどこから来たのかを教える時は嘘やごまかすことはせずに子どもの疑問に向き合う』こと、などを伝えています。

「なかなかそういう相談ができるところがなくて、今日はすごくもやもやが晴れた感じ。」(7歳の女の子と5歳の男の子の母)
「明るく楽しく先生に教えてもらったしすぐに実践できることばかり。帰って早速できることから1個ずつ始めていって、後々深い話ができるいい関係を子どもと築いていけたら。」(1歳の女の子の母)

「子ども自身がいろんな悩みを打ち明けてくれる。恋の悩みから学校の悩み、成績の悩み、友達のトラブルだったり、というのは一番言いづらいタブーな性の話をしているからこそ、というのがありますね。(Q3歳からというのは早いかと思っていたが、そんなことはない?)『自分の体が大好き』だと思うのに年齢はない。自分の身体は大切なものだということから、性犯罪の方でも『触られてはいけない』ということにも繋がる。まずは自分の身体を大切に思うところからスタートするのが大事。」(講座を主宰する のじまなみさん)

(『特命取材班・チームF』より)
※このコーナーは女性スタッフが企画を出し合い、調査・取材をするコーナーです。

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