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【特集】神社も寺も"キャッシュレス決済"の時代に!? 京都仏教会は「宗教にはそぐわない」と否定的

2019年07月25日(木)放送

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「キャッシュレス決済」について日本は韓国や中国より普及率が低く、政府は2025年までに比率を4割にし、将来的には80%を目指すという目標を掲げている。その波は神社や寺にも押し寄せていて、お賽銭やお守りを購入する際の支払いに電子決済を導入すべきかどうか揺れている。

世界遺産の神社で電子マネーが使用可能に

京都市左京区にある世界遺産・下鴨神社。お守りやお札などを授けてくれる授与所には最近、あるものが導入された。
 
「決済の機器でございまして、電子マネーとクレジットカードの対応機器です。」(下鴨神社・権禰宜 大塚高史さん)

現金を使わずICカードなどで買い物が出来る「電子決済」だ。カードの他、中国最大手の電子マネー決済アプリ『支付宝(アリペイ)』などが使用可能だという。

Q.お守りを電子マネーで授与されたのは?
「初めてです、ここで初めて使いました。」(電子マネーを使用した参拝者)
Q.普通の買い物とは違う?
「ちょっとどうかなと思うが、やはりスムーズに買えるっていうので、手法としては全然悪いことじゃないと思うので、いいかなと思いました。」(電子マネーを使用した参拝者)

下鴨神社では、現金を持ち歩かない外国人観光客から「電子決済で支払いできないか」という問い合わせが目立ってきたことから、今年の春、導入に踏み切った。

「どうしようかというところがあったが、時代の流れということもありますので。外国の方にも出来るだけ日本の神社を知っていただこうということで、電子マネーを導入しました。」(下鴨神社・権禰宜 大塚高史さん)

お遍路でも…賽銭箱の横にタブレット

もちろん、キャッシュレス決済を取り入れているのは神社だけではない。徳島県阿南市にある四国八十八ヶ所霊場の第22番札所「平等寺」は、まだ実験的ではあるものの、お賽銭を現金ではなく、「スマホ決済アプリ」でも納められるようにした。本堂の賽銭箱の上にはろうそくや護摩木が置かれているが、片隅に何となく“場違いな”タブレットが設置されている。これで賽銭を納めることが出来るというのだ。記者も実際にタブレットを操作してみた。

「まず、金額を入力します。次に、決済方法の選択画面から今回は『amazon pay(アマゾンペイ)』を選び、自身のスマートフォンのamazonアプリでQRコードを表示させ、タブレットに読み込ませると…『お支払いが完了しました』と表示されました。」(記者リポート)

割り切れない違和感が拭えないが、見つけた参拝客は興味津々といった様子だ。

Q.賽銭の電子マネー決済ってどう思う?
「わからないですけど、賽銭ドロボーの予防にはなりますよね。」(参拝客)

さっそく試してみる人も…

「2人で5円ずつで、10円で。まさかこんな場面でもキャッシュレスが進んでいるなんて。」(2人組の参拝客)

しかし、中には意見が対立する家族も…

「ずっと(お遍路で)回っていたら100円玉しかなくなってきて、5円とか10円を入れたいので、こういうのあったら両替しなくていいので便利だと思う。」(息子)
「便利さだけでなく、ここに回ってくるのに、お金を準備するところから気持ちが入っているように思うので。私はどちらかと言うと自分で手で(賽銭箱に)入れてしっかり拝みたいです。息子たちには違和感がないということにびっくりしました。」(母親)

キャッシュレス決済の導入を決断した大きな理由は、やはり外国人観光客の増加だという。賽銭箱に入っていた硬貨を見せてもらうと…

「こちらは韓国の硬貨かな。それからこれはシューベルトが描かれているのでオーストリア(の硬貨)かなと思います。あと、スイス(の硬貨)かな。」(平等寺 谷口真梁副住職)

観光客が外貨の賽銭を納めてくれるのはありがたいことなのだが、外国のコインは「円」に両替することができないため、キャッシュレス決済を導入したという。

「硬貨をずっと貯めていって、それを気持ちを込めて(賽銭箱に)入れる、その行為が良いのであってキャッシュレス決済にされると『味気ない』という方が結構おられます。お賽銭箱を取ったわけではなく、もちろん置いたままなので、賽銭箱もあるしキャッシュレス決済という選択肢もあるんだよっていうのを、ひとつ増やさせてもらっているだけなので。もし自分で合わないなと思ったら、もちろん使わなくてもいい、強制しているものでもないですし。」(谷口真梁副住職)

宗教とキャッシュレスをどう考える?

一方で、京都仏教会は「宗教にはそぐわない」とキャッシュレス決済には否定的だ。

「やはりキャッシュレス決済というのはなじまない。反対していくということで訴えかけていきたいと思っています。」(京都仏教会 佐分宗順常務理事)

京都仏教会は「布施は財物に託して信者の心・魂を仏様に捧げるもので、キャッシュレスによる布施は対面的である宗教行為の本旨に反するものであり不適切である」として、6月末、傘下の約650の寺院などに対してキャッシュレス決済を導入しないよう求める声明文を発表した。

「ビックデータが取得されれば当然利用されると。私どもが特に宗教者として危惧を感じるという所以であります。」(宗教と社会研究実践センター 櫻井圀郎副所長)

誰が、どこの寺で、いくら賽銭やお布施を納めたかなど、個人の信教に関する情報が他の人へ筒抜けになってしまうことへの不安も大きいと話す。

更に、お布施という宗教行為と商行為との線引きがあいまいになってしまうことへの強い懸念もあるという。

「(キャッシュレス化により)手数料が発生することによって、取り引きと理解されて消費税が課され、消費税が課されるのだから法人税も課されて、法人税を課しているのだから固定資産税も課されると。そうすると全ての税金が課されることになってしまう。それを危惧するということです。」(宗教と社会研究実践センター 櫻井圀郎副所長)

宗教法人の場合、賽銭などのお布施やお守りなど、宗教活動に関わるものは原則、非課税となる。しかし、キャッシュレス決済を導入すると、決済業者への手数料などが生じるため、国税庁が収益事業とみなす可能性があるというのだ。収益事業だとみなされた場合、これまで非課税だったものが課税対象となってしまうため、宗教団体への影響は大きいと指摘する。これについて、宗教に詳しい専門家は…

「収入状況が第三者(決済業者)にかなり明らかになってしまうことが当然ありますね。まさに宗教界というのは、財政的にも“聖域”のように扱われてきた傾向がありますので、それがあらゆるところで丸裸になっていくことは、必ずしも良しとしない風潮がたぶんあるんだろうと思います。」(帝塚山大学・文化創造学科 岩井洋教授)

利便性の向上を目指す肯定派と、伝統的な宗教にはそぐわないと主張する否定派。宗教界で今、尽きない問答が続いている。

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