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本の魅力を再発見!「小さな図書館」「本が作れる本屋さん」とは

2019年07月18日(木)放送

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本の魅力を再発見できるスポットが各地で増えています。その中で今、注目を集めているのが「小さな図書館」です。世界各地で自発的に広がる活動で、誰でも何冊からでも始められるものです。さらに京都では“本が作れる本屋さん”ができたということで、いったいどのような取り組みなのか取材しました。

お寺にある“木箱の小さな図書館”

奈良県大和高田市にある「大和大谷別院」。400年以上前に建てられた真宗大谷派の別院です。そのお寺の山門に置かれている小さな木箱が、このお寺の「図書館」です。木箱は僧侶たちの手作り。中には仏教の本だけでなく、児童書やワインの本など56冊が並びます。この小さな図書館を管理するのはお寺の代表役員・外川哲さんです。

「一番にはこの地域の方々とこのお寺とのつながり。それを持たせていただくことを一番に考えました。」(大和大谷別院・輪番 外川哲さん)

「図書館」ですが、本を借りるのに手続きなどは一切ありません。何冊借りても、いつまで借りてもいいんです。

「減るのかなと思っておりましたら、どんどん今増えている状態でありがたいお話でございます。」(外川哲さん)

はじめは僧侶や職員がおすすめの本を選んで入れていたそうですが、今では町の人たちが知らないうちに寄贈してくれています。

「この本は最後のページにここのライブラリーのスタンプが押してあります。これは一番最初に私どもが入れた本。一方、こちらの本はそのロゴ印がありませんので、その後に誰かが寄付してくださったという本になります。」(外川哲さん)

近所の人や地元の子どもたちが訪れるように

今年5月に設置したところ、早速、散歩途中の近所の人や地元の子どもたちがお寺を訪れるようになりました。

「楽しい。(Qどんなところが楽しい?)学校の図書館にはない本がここにあるから。まだ自分が知らない本があるから、楽しい本とかでてきたら楽しみ。」(男の子ら)

かつて国語教師だったという外川さん。時には、本を勧めることも…

(外川さん)「こんなんいらん?ちょっと古いか…よかったら読んで、ずっと続きもんになってるらしいから。」
(男の子ら)「はい」

ほぼ毎日来ているという女性は…

(女性)「ここやったら安心して読めるから、散歩よりここの本の方に重きに置いてるんです。」
(外川さん)「ありがとうございます。どうぞ利用してください。一番望んでることですので。」

地域の人たちをつなぐ56冊の本。実はこの小さな図書館は、世界中の小さな図書館ともつながっています。外川さんたちはこの図書館を設置する際に、アメリカ発祥の「リトルフリーライブラリー」という団体に登録。公式サイトでは、同じ志で始まった世界中の図書館が検索できるようになっています。

持ち寄られた本は8000冊

アメリカ発祥のこの活動に刺激を受け、小さな図書館活動を始めた人がいます。大阪市中央区出身の礒井純充さんです。生まれ育ったこの場所で、最初の小さな図書館「まちライブラリー」を始めたそうです。市川いずみリポーターが訪ねました。

(礒井さん)「全部で8000冊ぐらいあるんです。」
(市川リポーター)「8000冊!?」
(礒井さん)「全部皆さんが持ち寄ってきた本なんです。」
(市川リポーター)「購入したわけではなくて。」

小説や料理、旅の本など様々なジャンルの本が並びます。さらに…

(礒井さん)「本にメッセージカードが入ってるんです。(この本を)持ってきた人のメッセージなんです。」

本を寄贈した人が短い書評を書き、読んだ人がメッセージを残していきます。

(市川リポーター)「素敵ー!」
(礒井さん)「自分が気になった本を開けてみて、誰が持ってきたのかなとかどんな思いで持ってきたのかなと思って、自分が普段取らない本をここで選んでいく。」

一番多い地域は大阪 理由に「おばちゃんのアメ」?!

礒井さんが11年前の始めた「まちライブラリー」。たったひとりで始めた活動が、今では全国702か所に広がっています。

(市川リポーター)「特に多い地域とかってあるんですか?」
(礒井さん)「実は大阪に多いんです。」
(市川リポーター)「そうなんですか?ちょっと意外ですね。大阪だけで何か所ぐらい?」
(礒井さん)「実は150ぐらい。」
(市川リポーター)「どうして多いんでしょう?」
(礒井さん)「これはね、正直よくわかんないところがあって。非常に大阪の人は相手との境界距離が近い気がするんです。“大阪のおばちゃんのアメ”みたいなのが、本を通じてできているんじゃないかというふうに思っていて。」
(市川リポーター)「『アメちゃんあげようか』というのが『本貸そうか』という、その距離感なんですね。」

週1回利用しているという人は「まちライブラリー」をどう感じているのでしょうか。

(利用者)「面白いなと思って。自分がなかなか出会わない本に出会うことが多いですね。」

ビルの1階にも本箱があり、ここに寄贈していく人もいるそうです。この日も5冊の本が入れられていました。最後に今後どういったまちライブラリーにしていくのか、展開などを聞きました。

「私自身が考えるというより、この仕組みを皆さんに知ってもらって、“自分がやりたいことをここでやってもらいたい”と思ってるんですね。『今までわたしなんか何もやれなかった』『力もないかな』と思う人が、このまちライブラリーをやることによって、『なんかできるじゃん』というふうに思ってもらえる、そういう人たちが増えるのが一番私の夢ですね、これからの。」(礒井純充さん)

“本が作れる本屋さん”

役割が見直される本。その魅力を別の角度から知ってもらおうという試みが京都・上京区にある「堀川AC Lab」で始まりました。市川リポーターを出迎えてくれたのは、大垣書店の大垣守可さんと印刷会社・修美社の山下昌毅さんです。

(市川リポーター)「ちょっと変わった取り組みをしていると伺ったんですけど…」
(大垣さん)「ここはコンセプトが“本が作れる本屋さん”ということで、印刷の相談に来ていただいたりとか実際に活版印刷体験していただいたりとかするような場所になってます。」
(市川リポーター)「ここで本が作れるということですか?」
(大垣さん)「そうです」

店の半分は本屋さん、残りの半分は活版印刷所というのが特徴です。なぜこのような取り組みをしようと思われたのでしょうか。

(大垣さん)「出版不況とかいろいろ言われてますけど、どうやったら本の良さが伝わるのかなと。いろいろ構想していて、山下さんに出会ったんです。」
(山下さん)「僕も印刷会社やりながら今後印刷業界としても、どういった方向に進むのか悩んでることもありましたので。それはすごくおもしろい可能性があるなと思いました。」

活版印刷通じて「紙の本により親しんで」

来年からは利用客が原稿を持ち込んで、世界でたった1冊の本を自分で作れるようになるというこのラボ。この日は、短時間でできる名刺作りに挑戦させていただきました。どのように作るのかというと…

(市川リポーター)「(壁に)たくさん細かいものがあるんですけど、これは何になるんですか?」
(山下さん)「これが活字ですね。」
(市川リポーター)「こんなに細かいんですか?しかもたくさんある…これを組み合わせて文字を作っていくんですか?」
(山下さん)「はい、そうです」

今回は名前を印刷してみることに。膨大な活字の中から「市川」の「市」を探しますが、文字の小ささに驚かされます。ほどなくして「市」の字を発見、次に「川」も見つけますが、その後の字がなかなか見つけられず…大垣さんと山下さんにも手伝っていただき、なんとか名前を集めることができました。小さな文字を一列にセットし、印刷の位置など何度も調整を重ねます。

(市川リポーター)「たった10文字ぐらいでこんなに調整するの大変だったら本とか大変ですよね。」
(山下さん)「そうなんですよ。昔の人たちはすごいんです。」
(大垣さん)「新聞まで作ってましたからね、昔は。」

最後は自分の手で仕上げます。

(市川リポーター)「きょうこのたった10文字ですけど、自分でこういうもの作らせてもらって一文字一文字選ぶことの大変さとか、文字が形として手に残るっていう温かみが感じられました。」
(大垣さん)「やっぱりこういった手ざわりであったりとか自分が言葉を選んだという経験だったりとかが、これからも活きてきて紙の本というのに、より親しんでもらえるんじゃないかなと思います。」

(『特命取材班・チームF』より)
※このコーナーは女性スタッフが企画を出し合い、調査・取材をするコーナーです。

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