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【特集】「選ばれる学校」に 過疎化が進む公立小中学校の取り組み

2019年07月17日(水)放送

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過疎化が進む地方の小中学校が変わりつつあります。“特色ある授業”など条件を満たせば校区外からの通学を認める「小規模特認校」制度。この制度を使って廃統合の危機を乗り越えようとする2つの学校を取材しました。

英語教育に力を入れる「小規模特認校」

パソコンにネットを繋いで、画面に映る外国人と1対1で英語で話す子どもたち。

(先生)「How are you today? Are you great,good or so-so?」
(児童)「Great!」
(先生)「Wow great!」

実はこれ、兵庫県養父市立建屋小学校の授業の風景です。

(児童)「What TV program do you like?」
(先生)「I like “Slumdog”. How about you?」
(児童)「I like Anime.」

この日、5年生8人が1人1台パソコンを使って、月2、3回のオンライン英会話の授業を受けていました。

山々に囲まれた全校生徒41人のこの学校はちょっと変わっています。朝、登校するとまず流れてくるのは、「英語の朝の放送」です。

『Good morning everyone.Today is June 18.It’s Tuesday.』

この小学校では、特に英語教育に力を入れていて、校内の掲示物は英語ばかり。教室のプレートはもちろん、保健室も「Nurse’s Office」と英語で書かれています。現在、公立の小学校では、1・2年生は英語の授業はありません。しかし、ここでは、朝や昼の会、学活の授業を使って、英語に触れ合っています。その様子はさながらインターナショナルスクールのようです、英語教育に力を入れるようになったきっかけは児童数の減少でした。

「過疎化が進んでいる中で、この学校が地域を盛り上げて、活性化につなげていくんだってことで、『特認校』になった。」(養父市立建屋小学校 池田哲郎校長)

危機感を感じた学校は英語に力を入れるなどの特色を打ち出し、去年「小規模特認校」となりました。「小規模特認校」とは文部科学省が定めている学校選択性の1つで、生徒数の少ない小中学校で通学区域の制限をなくし、自由な通学を認めた学校です。

「外国語指導助手」が常駐

この小学校で英語の授業を担っているのは、アメリカ人のローレン先生。外国語指導助手です。この日は給食も児童たちと一緒に食べていました。

(児童)「日本語難しい?」
(ローレン先生)「Yes.だから英語で話しましょう。」
(児童)「英語難しいー」
(ローレン先生)「日本語難しい」

ローレン先生は給食や休み時間はもちろん、時には習字の授業まで、児童と一緒に過ごします。小学校に常駐する外国語の指導助手は珍しく、養父市ではこの学校だけだと言います。他にもオープンキャンパスを開いて、お笑いコンビのパックンマックンの講演会を行うなど、魅力ある学校を猛アピールしています。特認校になって2年目。今年の挑戦は…

「今年から初めて6年生の子ども達がオーストラリアのパースに1週間行ってきます。すべてが英語でしゃべられている中に触れてみるという経験を1回させたいなと。」(養父市立建屋小学校 池田哲郎校長)

現在、校区外から通う児童はまだ2人。「選ばれる学校」になるため奮闘中です。

大津市立の小中学校 最大の魅力は「豊かな自然」

小規模特認校になり、統廃合の危機を脱した学校があります。滋賀県大津市立葛川小学校と中学校で、現在、合わせて40人の生徒が通っています。

「もしかしたら、葛川小・中学校がなくなってしまうのではないかなと。子ども達が減ってなくなってしまうのではないかという危機だった。平成30年度に小規模特認定校の指定を受け、子ども達の数が倍増した。」(大津市立葛川小・中学校 澤村幸夫校長)

最大の魅力は自然豊かな環境での授業です。学校が所有する林で杉の木を保護する活動などで農林水産大臣賞を受賞。農業や伝統工芸の体験授業などもあり、自然を生かした四季折々の取り組みが好評です。

「家族留学」地元住民らが積極的に協力

そしてこの学校が今、力を入れているのが「家族留学」です。葛川中学校に通う中学3年生の小谷朝日君は5年前、京都市内から大津市葛川へ「家族留学」してきました。いわゆる移住です。

「囲炉裏です。あまり使ってないですが。(Q何に使うの?)虫が多くなったらたまにつけています。」(朝日君)

築約80年の家を借りて家族5人暮らし。もともと空き家でしたが、地元住民らが修繕し用意してくれたと言います。

「ここの床はぼこぼこになっていて、張り替えないといけない状況。大工さんがほとんど無料でやってくれたんですよ。」(朝日君の父親)
「地元の大工さんで、床も張ってくださった。子どもに来てほしいっていうのがあるみたいで、地域で子どもがいる世帯は家賃一律3万円みたいな感じで貸してくれる。」(朝日君の母親)

この「家族留学」には地元住民らが積極的に協力し、今までに10件ほどの空き家を修繕して、家族で格安で住める家を用意しました。

移住を決めたのは“子どもの反応”

自然豊かな学校の雰囲気や取り組みに魅力を感じたという朝日君の両親ですが、「家族留学」に抵抗はなかったのでしょうか?

「山科とは違って自然がいっぱいあって、いつも遊びに来ては木に登ったりして遊んでいたので。こんな暮らしがあるんやなーって思って。(朝日君が)友だちと山へ遊びに行って、戻って来たくらいに『ここに住む?』って聞いたら『住む住む』みたいな感じで。」(朝日君の母親)

もともと田舎暮らしに興味を持っていた両親は子どもの反応に後押しされ、移住を決めました。今では京都まで通っていた仕事も近くに移しています。

「ここに来て、学校に行っている様子を見ていると、すごく良く思いますし、来て良かったなと思います。」(朝日君の父親)

以前は、全校生徒800人規模の学校に通っていた朝日君も。

「学校にいるみんなのこと知っていて、すぐに話したりできて楽しいです。(Qどっちの方が楽しい?)こっちの方が倍くらい楽しい。」(朝日君)

生徒が考えた「家族留学」してもらうための取り組み

そんな朝日君は今、学校の授業で起業を学んでいます。担当は「家族留学」してもらうための広報。自分たちで写真を撮り、デザインやキャッチコピーを手掛けたポスターでこの街の魅力を発信します。

「田舎とか普通遠いイメージがあるけど、ここは近くて、いっぱい人に来てもらって、気に入ってもらえたらなと思って。」(朝日君)

生徒らが出来上がったポスターを手に向かった先は隣町の道の駅「妹子の郷」。自らで、人目にたくさん触れる場所を探し出して許可も取りました。制作期間約1年です。

「なんかすごいここまできたなって感じがします。」(女子生徒)
「みんな見てくれそうで嬉しいです」(朝日君)

少子化の波をまともに受ける過疎地の学校。地域の宝である子ども達から選ばれるため、特色のある学校を目指した奮闘が続いています。

(「Newsミント!」内『特集』より)

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