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脱プラスチックで注目の「経木」 "日本伝統の包装材"がエコの切り札に!?

2019年07月16日(火)放送

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6月に行われたG20大阪サミットで大きな議題になった「プラスチックごみの削減」。実はいま、「日本伝統の包装材=経木(きょうぎ)」が、この地球規模の課題の切り札になるのではと注目されています。

"料理好き"に根強い人気

JR大阪駅の駅ビルにある中川政七商店(ルクアイーレ店)では、10年前から経木(きょうぎ)を販売しています。値段は、横50cm・縦15cmの経木が20枚で540円(税込み)。料理好きの女性を中心に根強い人気があるといいます。

Q時代劇等でおにぎりを包んでいるようなイメージですね。他に用途は?
「蒸し物の下に敷いたりとか、揚げ物の下に敷いたりとか。」(中川政七商店・ルクアイーレ店 石井万紀店長)

通気性・吸湿性・抗菌性など優れた機能はもちろん、食品を置くだけで見栄えが良くなることが人気を後押ししているそうです。

Q木は何を使っている?
「国産の赤松です。」
Qビニール袋とは違って“贅沢な香り”がしますが…売れている?
「コンスタントに売れています。」

“貴重な機械”で木をスライス

もともとは、仏教の「経文」を書いたのが由来とされている経木。どんな木でも削れば経木になるのでしょうか。辻憲太郎解説委員が訪れたのは、一大生産地の群馬県にある老舗「阿部経木店」。4代目の阿部晋也さん(32)には強いこだわりがありました。

Q使用する木の種類は赤松?
「(赤松などの)針葉樹には抗菌効果がある。」(阿部経木店 阿部晋也さん)

経木の原料は樹齢40年前後の赤松で、長野県で森を守るため切り出された間伐材が使われています。まず、50cmほどの長さに切り、皮を剥いで丸太にします。さらに丸太を角材に加工。1本の丸太から2つの角材ができました。

「(Q次は?)ここからは父の仕事なんです。」(阿部晋也さん)

晋也さんの父で3代目の阿部初雄さんが、加工した角材の長さや幅を慎重に調整します。最後に表面を磨けば下準備は完了です。

工場の中では、息子の晋也さんがスタンバイ。親子の連携プレーで経木が作られるのです。

「(Q削る機械は昔から使っている?)昭和37年(1962年)ぐらいからです。」(阿部晋也さん)

角材を機械にセットすると…ドンドン削られていき、紙のような経木が作られていきます。

Q(削られた木は)まだちょっと湿ってますね。新鮮な木をそのまま薄くスライスした…これで厚さは何mmぐらいですか?
「0.19mmぐらい。本当はもう少し薄い方が理想かな。」(阿部晋也さん)

1分間に約90枚の経木を削りだすこのマシンは、実は61年前に発売されたものです。残念ながらメーカーは廃業してしまったので、いま新しい機械を買うことはできません。

Q機械の側面には『自動式経木機』の記載があります。売ってるんですね、経木の機械が?
「当時は売っていたんでしょうけど、いまはもう機械を作れる方はいない。自分たちで考えながらメンテナンスしてますね。」(阿部晋也さん)
Qこの機械は相当貴重なもの?
「そうですね。」

家族総出の作業で生産

晋也さんは削りたての経木を隣の部屋へ運びます。そこで待っていたのは…晋也さんの母・美代子さんです

Q家族総出で?
「そうですね、あとパートさんの4人でやっています。」(阿部美代子さん)
Q次の工程は?
「水分を含んでいますから、脱水かけます。」

遠心分離型の脱水機にかけて水分を飛ばすこと30分。これで完成ではありません。エレベーターで運ばれた工場の2階には驚きの光景が…

「うわぁ!干物を干しているような。木の匂いがすごいですね。」(辻解説委員)

余った木材を燃やして温風を送り、丸2日、カラカラに乾燥させるのです。最後は、美代子さんとパートさんが100枚ずつ束にしてやっと完成です。ここで作られた経木は主に群馬県の納豆メーカー「下仁田納豆」に出荷されます。納豆を経木でくるむとうま味が増すというこだわりから、このメーカーでは創業当初から経木を使い続けているそうです。

“経木の時代は終わりだから”と言われたが…再注目

間伐材を使う「エコ」と、世界的な課題「プラごみ削減」によって再注目され始めた経木。しかし、3代目の初雄さんは子どものころの“苦い思い出”が忘れられないそうです。

Q初雄さんは昔から経木を使っていた?
「嫌でしたけど、使わされましたね。昭和35年(1960年)前後にラップとかアルミホイルが出てきて、おにぎりをそういうもので包んで同級生は遠足に行ってましたけど、うちは経木でおにぎりを包んで、開けるの嫌でね。今は(経木が)見直されてますけど、当時は、(ラップやアルミホイルが)時代の先端をいっているような感じで。」(阿部初雄さん)

1960年以降、ラップや発泡スチロールなどの登場とともに、経木の需要は急速に低下。群馬県にあった60店以上の経木店は次々と廃業し、いまは2店舗しか残っていません。

「私が勤めに出るとき、父が『経木の時代は終わりだから』と、いま問題になっている発泡スチロールの成型工場に就職したんですよ私。」(阿部初雄さん)
Q経木のライバルじゃないですか?
「そうですね。」

しかし、経木作りは貴重な文化だと思い直し、家業を継いだ初雄さん。そのあと息子の晋也さんも別の仕事をやめて合流し、毎朝7時から経木を作ってきました。それが徐々に実を結び、受注量は増えてきているそうです。

Q最近の(プラごみ削減の)風潮を見ていかがですか?
「ゴミ、ゴミというけど、ゴミにしたのは我々。これからもずっと(プラスチックは)使い続けると思うけど、処理を考えながら上手に使っていく方向になる。」(阿部初雄さん)
Q経木が注目されていることは?
「うれしい、自分たちの手で一生懸命作ったものが注目されるのは。どうにか(経木)を守っていければと思っています。」(阿部晋也さん)

(7月16日放送 MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のちょいサキ!』より)

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