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読書が変わる!?利用者増加の「オーディオブック」 本は"聞く時代"に?

2019年07月09日(火)放送

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書籍の販売はピークだった1996年以降、ずっと下落傾向。出版不況といわれるいま、本を読まずに「聞く」システムが人気を集めていて、サービスの契約数を1年で2.6倍に増やしている企業もあります。

声を吹き込むのはプロの声優

主にスマートフォン向けに配信されているオーディオブック。辻憲太郎解説委員が東京・文京区にある制作現場、オトバンクのスタジオを訪れました。

「部屋の中に小部屋があります。レコーディングスタジオですね」(辻解説員)

この日、収録していた本は、知念実希人さんが書いた恋愛ミステリー小説「崩れる脳を抱きしめて」。去年、「本屋大賞」にノミネートされた人気作品です。演じているのは、アニメ「七つの大罪」などで活躍しているプロの声優・金本涼輔さんで、もともと本が持っている「読者が場面を想像する」余地を残しながら声を入れているといいます。

『はじめまして、研修医の碓氷蒼馬といいます』(声優 金本涼輔さん)
「いい声ですね~」(辻解説委員)

うっとりしそうな美声ですが、とても時間がかかりそうです。

Q.この本(『崩れる脳を抱きしめて』)290ページありますが、オーディオブックの時間はどれくらいですか?
「11時間くらいが完成尺になります」(オトバンク・オーディオブック事業部 佐伯帆乃香さん)

…ということは、声を入れていく声優の負担はもっと大きいようです。

Q.この作品で収録時間はどれくらいですか?
「1回あたり4~5時間くらい録るのを8回だと思います。声優の仕事の中では分量があると思います。かなり長いですね」(声優 金本涼輔さん)

登場人物に合わせて複数の声優が吹き込むため、この本を作るのにかかった時間はなんと50時間。でも、志望者が多く飽和状態といわれる声優にとってチャンスの到来ともいえます。

Q.皆さんのお仕事は増えている?
「オーディオブックをやらせていただいた人(声優)は周りにも増えています」(金本涼輔さん)
Q.“新たな鉱脈”が見つかったという感じ?
「かもしれないですね」

忙しくても“耳が空いている”

現在、月に数百本以上も製作され急成長しているオーディオブック。しかし、配信している企業「オトバンク」が参入したのは、実は12年前のことです。

「もともと私の祖父が緑内障で失明していたのが大きなきっかけでして。目が不自由な人のためにって最初は思ってたんですけれども、身の周りの方がオススメしないとオーディオブックがあると気づかないんですね。なので、目が見える人に向けてまずはオーディオブックのサービスを始めるというところからスタートしてます」(オトバンク 上田渉会長)

サービスを始めて10年あまり。それが去年、月額750円(税込み)で約1万冊が聞き放題のプランを作ったところ、爆発的に利用者が増えたといいます。

「去年の段階で会員数が30万人くらいだったんですね。それがこの1年で80万人まで来ていて、急速に伸びている。忙しすぎて本が読めない、本が読みたいけど読めない人が結構いらっしゃって、そういう人がなんとか時間をひねり出せないかなと思ったときに耳が空いていると」(上田渉会長)

「倍速」で“読書”するユーザー

家事や通勤の最中でも意外と「耳」が空いている、そんな発見をしたのが、利用歴3年のやつづかえりさんです。やつづかさんはもともと、月に5冊文庫本を読むほどの読書好きでした。

「会社員を辞めたのが2010年なんですけど、通勤しなくなって(読書時間が)減った。子育てしているとなかなか読めなくなって減ってましたね」(やつづかえりさん)

育児のさなか出会ったのがオーディオブックだったそうです。

Q.一番の利点は?
「やっぱり何かをしながら聞けることですね。電車の場合は、駅まで行くときか電車に乗ったとき。あとは家事をしながら。最近はペースが速くて(月に)3冊くらい”読んで”ますね」(やつづかえりさん)

毎日1時間ほどは聞いているという、やつづかさん。今では、ある変わった聞き方で“読書”を進めています。

「だいたい1.7倍速で聞いてます」
Q.それはなぜ?
「普通の速さだとちょっと遅いなと思うので」

実は、本を耳で聞いているユーザーの多くは時間短縮のため、再生スピードを速めて聞いているそうです。配信会社の分析では、人が本を読むとき、目で読んだあと頭で音声に変換してから理解していて、読まずに「聞く」ことで変換の負担を減らせるといいます。それは絵本の読み聞かせに慣れ親しんでいる子どもたちも同じのようです。

「『モモ』(著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり)は子どもと一緒に聞いている途中です。読んであげるのともテレビを見るのとも違って、一緒に物語を聞くのが楽しいですね」(やつづかえりさん)

ネット通販大手も参入

他にも、活字で読むと難しい内容の本でも理解がしやすいというオーディオブック。本が売れていない中、出版社にとってダブルパンチにならないのでしょうか?

「オーディオブックを使っている方も、聞いて『ものすごく良かった』って本を買う人がいるんですよ。出版社からはオーディオブックに期待する声が高い。普通に本を読むのと電子書籍(のマーケット)があって、オーディオブックという3つ目の本に関するマーケットができている。オーディオブック文化・市場が広がっていって、いろんな方の役に立つことが期待されています」(オトバンク 上田渉会長)

出版社には料金が支払われ、作者には印税が入るというオーディオブック。ネット通販大手「アマゾン」が参入するなど市場は拡大を続けています。

(MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のちょいサキ!』より)

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