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【特集】時短取得で退園通知?自治体ごとに異なる「入園制度」とは

2019年07月08日(月)放送

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子どもを入園希望者が多い認可保育園に預けようとする際、ある点数によって入園資格が決まります。それは夫婦が共働きかどうかなど家庭の状況を点数化して、この点数が高い人から入園できる仕組みです。ところが、この点数のつけ方が自治体ごとに差があるため困惑しているという夫婦を取材しました。

「育児短時間取得の場合は退園」に困惑

奈良市に住む会社員の三橋夕貴さん(28)。去年、待望の第一子となる長男・和怜(かずとき)くんが生まれました。夫の和史さんは市議会議員で夫婦共働きの家庭です。長男はいま1歳4か月。夕貴さんは今年4月から長男を近くの認可保育園に預けて職場復帰しました。

「(職場に)復帰してから1か月ちょっとですけど。だいぶ慣れました。」(夕貴さん)

育児真っ只中の夕貴さんは、会社の時短勤務制度によってフルタイムの社員より2時間短い勤務時間が認められています。ところが、長男を預け始めて約2週間後、奈良市から思いもよらない電話がかかってきたと言います。

「私の携帯に(奈良市から)電話がかかってきて、『育児短時間取得の場合は保育園に入ってもらえないので、退園をお願いするしかない』みたいなことを急に伝えられて。『退園が難しいのであれば、フルタイムで勤務してください』みたいなこともおっしゃっていたんですけど。」(夕貴さん)

なんと、せっかく入ることができた保育園を退園するか、時短勤務をやめてフルタイムで働くか、2つに1つの選択を求められたのです。原因は「保育園の入園制度」にありました。

入園希望者が定員オーバーした場合の“点数の付け方”

認可保育園は児童福祉法に基づき、入園希望者が定員をオーバーした場合、その家庭が「どれだけ保育を必要としているか」を親の就労時間や家庭環境などから点数化して、この点数が高い家庭から入園を認めるという仕組みになっています。

奈良市の場合は、両親が共働きで月160時間以上働いていれば、ひとり100点ずつ獲得できるためあわせて200点。介護が必要な家族が同居している場合は、さらに80点が加算されます。

三橋さん夫婦の場合、夫の和史さんは月160時間以上働いているため100点。妻の夕貴さんも、もともとはフルタイムで働くつもりだったので100点。あわせて200点で入園審査を通過したのですが、復職後すぐに育児短時間勤務に切り替えたため点数が90点に下がり、入園資格を満たさなくなってしまった、というのです。

「働いてへんわけじゃないし、育児短時間を取るからと言って、点数が下がるなんて思いもしていなかったので。」(夕貴さん)

夫の和史さんにとっても、まさに寝耳に水の事態です。

「市が働き方改革とか女性の活躍とか、なるべく離職防止ということで、育児短時間勤務制度を法律を改正してまで導入してきたわけですから。それとは真逆のことをやってしまっている。」(和史さん)

実は、この点数のつけ方は自治体ごとに決められているためバラつきがあります。関西では奈良市や尼崎市などが、フルタイムと時短勤務で点数に差をつけている一方、大阪市や神戸市などでは同じ点数になっているのです。

フルタイムで仕事を続けるか、辞めて専業主婦になるか

毎日、奈良市の自宅から大阪市内の会社に片道1時間以上かけて通勤している夕貴さんは、仕事を終えると大急ぎで保育園へと向かいます。この日、夕貴さんが仕事を終えて長男のお迎えに行った時間は午後5時半でした。

「一応6時半までにお迎えということになっていて。時短取っているからいけていますけど、時短なしだったら絶対間に合わないので…」(夕貴さん)

フルタイムで働くと、午後6時半のお迎えの時間に間に合わなくなってしまうため、30分ごとに450円の延長保育料が毎日かかってしまいます。夕貴さんは今、フルタイムに変更して仕事を続けるか、仕事を辞めて専業主婦になるか悩んでいます。

「(子どもと)離れて、ちょっと寂しい思いをさせて働きに行っているのに、それがまた保育料稼ぐだけになってしまうような状況っていうのはすごい悲しいなと。」(夕貴さん)

自治体で異なる「点数の付け方」

職場での女性の活躍が叫ばれているなか、奈良市はなぜこのような点数の付け方をしているのでしょうか。

「奈良市でも就労している母親の40%がパートやアルバイトといった就労形態の方で、育児短時間勤務の制度はあるけれども取得しづらいという方々が大変多いというのが実情です。正社員の方と公平性を確保するためにも奈良市は現在、実労時間というところで判断しています。(育児短時間勤務の)制度がありながら有効に活用されていないというところは、今後の課題ではあるかなというところですかね。」(奈良市保育所幼稚園課 米田由喜課長)

一方で、この4月から点数の付け方を変えた自治体があります。京都市は子どもが保育園に入園した後、1年以内にフルタイム勤務に戻すという条件付きで、時短勤務であっても減点せず、同じ点数になるようにしました。

「やはり子育てのための制度を利用しているのに、不利益な部分が出てくるのではないかというようなご意見も一部ございまして。(変更後は)安心して短時間勤務が取得できるというお声もいただいておりまして、見直させていただいてよかったなと思っています。」(京都市幼保総合支援室保育利用調整課 小西直人課長)

京都市の場合、1年以内にフルタイム勤務に戻すことが条件にはなっていますが、もしできなくても保育園を退園させられるようなことはないといいます。

自治体により評価の基準に差が出ていることについて、幼い子を持つ母親の支援を行っている専門家は…

「点数の差というのは不平等だなとは思うんですけど、どこかで差をつけないとやっぱり保育所の数も限られているし、差をつける場所がそこしかなかったのかな。(保育園の)数は3~4年前よりはだいぶよくなってきているんじゃないかなと。保育園がある程度増えていったら、差はなくなっていくんじゃないかなと。」(保育園の入園事情に詳しい 高須賀千絵さん)

「安心して預けながら仕事と家庭と両立したい」

再び、奈良市の三橋夕貴さん。今後も息子を保育園に預け続けるため、泣く泣くフルタイム勤務に戻すことを検討していると言います。

「やっぱり育児短時間を取っても保育園も入園していていいですよとなって、安心して預けながら仕事と家庭を両立していけるのが一番望ましいなと思います。」(夕貴さん)

(「Newsミント!」内『特集』より)

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