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レアアース"脱中国"の動き 回収法にまさかの「パン酵母」?大阪発の取り組みとは

2019年07月02日(火)放送

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中国が世界の8割を支配しているといわれる「レアアース」。スマートフォンや電気自動車の生産に必要で、時折、外交の切り札として政治利用されることも。しかし今、脱中国の動きが広がっています。

ハイブリッド車などから「レアアース」を回収

「三重県鈴鹿市にやってきました。貴重なレアアースを中国に頼らないためのある取り組みが、すでに始まっていました」(辻憲太郎解説委員)

自動車のリサイクルを手掛ける「マーク・コーポレーション」。使用済みの車から、再利用できるパーツや鉄や銅、アルミなどを回収し、再資源化しています。5年ほど前、持ち込みが増えてきたハイブリッド車に使われているレアアースの回収に目をつけました。

Q.レアアースはハイブリッドカーに使われている?(辻解説委員)
「使われています。(ハイブリットカーの)ミッションにモータの部分がくっついておりまして、モーターの中のロータに、レアアースが入っております」(「マーク・コーポレーション」 松原佳代センター長)

ハイブリッド車によく使われる強力な磁石の原料となる「ネオジム」。モーターの駆動力を高め、小型化に必要とされる貴重な金属です。今回、実際に回収しているところを特別に取材させてもらいました。リサイクル工場の一番奥がレアアースの回収スペースです。

Q.レアアースが使われている部分?
「そうですね」(「マーク・コーポレーション」 柘植丈典さん)

Q. どこに使われているんですか?
「中心のロータの隙間に」
Q.この板ですか?
「そうです。この黒いのが全てネオジム磁石」
Q.ハイブリッドカーやEVにとって、レアアースが使われている部品は重要な役割を持っている?
「これがタイヤを動かす動力になるので、より強力な磁石で電気を与えて(タイヤを)回転させる」

この状態ではまだ、強力な磁力を帯びています。その威力は…

Q.これ自身はまだ磁石?
「磁石です」

鉄のところに近づけると…

「うわー!!これがレアアースですね!!」(辻解説委員)

簡単には離れないほどくっつきました。強力な磁力を帯びたままだと、レアアースを回収することができないため、電気炉に入れその磁力をなくします。ローターからの取り出しには人の手による作業が必要で、手間もかかりますが、1台のハイブリッド車から、約700グラムが回収できるといいます。

この会社で、今までに回収したレアアースは約3トン。まだ販売はしていませんが、今後、使用済みの車が増えれば、事業化も考えているそうです。

Q.レアアース回収の技術は将来的に役立つ?(辻解説委員)
「(使用済みハイブリッド車の)回収ルートが確立して解体の数が増えていけば、非常に強みにはなる」(松原佳代センター長)
Q.技術のニーズは?
「中国の動きとかで(レアアースが)多く出てくることはないと思いますから、おそらく(回収の)ニーズはあるんじゃないかなと、思っています」

レアアースは今後、電気自動車の普及にともない、ますます需要が高まるとみられ、既存の製品に含まれるものは「都市鉱山」とも呼ばれています。

「パン酵母」使ってレアアースを回収できる?!

そんな中、驚きの方法でレアアースを効率良く回収することを研究している、大阪市立大学大学院工学研究科の東雅之教授を取材しました。

Q.中国に頼らないレアアース対策が注目されている?
「世の中全体が“都市鉱山”からどうやってレアアースを回収していくかを国をあげて研究している」(大阪市立大学大学院工学研究科 東雅之教授)

東教授らのグループは今年、ある食材を使ってレアアースを回収する手法を開発しました。その食材を使ったおなじみの食べ物は…なんと「パン」です!

「市販のパン酵母。パン酵母にトリメタリン酸ナトリウム(食品添加物)。この2つの食材を混ぜ合わせて、できたのが『リン酸化酵母』。これが非常に金属イオンを効率的に吸着できる」(大阪市立大学大学院工学研究科 尾島由紘講師)
Q.水分中のレアアースにパン酵母と食品添加物をまぶせば、吸着する?
「そういうことになりますね」

コバルトという金属を溶かした溶液。これにパン酵母と食品添加物から作った「リン酸化酵母」を加えると、ピンク色のコバルトだけを吸着し沈殿します。この手法は、レアアースにも応用できるそうです。

「実際に都市鉱山からレアアースを回収する際には、多くの場合は、酸で溶かした状態にして回収する。溶液の状態からいかにレアアースを効率よく回収するかがポイントになってくる」(尾島由紘講師)

日常的に口にしているパン酵母と食品添加物を使ったレアアースの新たな回収方法。この手法は環境にも優しく、簡単に作れることなどから、大阪市立大学では数年先の実用化を目指して研究を続けています。多くの国が中国からの輸入に依存しているレアアース。その安定供給のため世界中が大阪発の技術を使うことになるかもしれません。

(『辻憲のちょいサキ!』より)

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