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【特集】突如閉鎖の"未届け"有料老人ホーム 前払い金の未返還に元入居者から怒りの声

2019年06月13日(木)放送

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京都市の有料老人ホームが去年8月に突然閉鎖し、入居者から前もって受け取っていた一時金あわせて約8000万円の返済が滞っていることがわかった。さらに、有料老人ホームは自治体への届け出が義務付けられているが、この老人ホームは「未届け」営業だった。

ある日突然「出ていって」と

京都市西京区の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」。80歳の松山耕三さんは5年前にこの老人ホームに妻の壽子さん(88)と2人で入居した。入居費用の約1000万円は市内にあった自宅を売却して工面したという。

「自分たちが売った家の代金ですから。最後の住みかとして皆さん最後までそこで(面倒を)見ていただこうと思って、なけなしの金を払って住んだ。なのに突然、ある日突然ですよ、出ていってくださいと。年寄りに対するごまかしですわ、よくある詐欺」(元入居者 松山耕三さん)

有料老人ホームは、老人福祉法に基づき高齢者に食事や入浴、排泄の補助などの介護サービスを提供する民間高齢者施設だ。ところが去年6月、運営会社の代表の女性が経営不振を理由に突然、施設を閉鎖することを決め、入居者19人全員に一斉退去を求めたという。半ば追い出される形となった松山さんは、今は新たにマンションを借りて暮らしている。

「突然言ってきたんですよ。私がちょうど部屋に1人でいるときに入ってきて、『耕三さんちょっとえらいことになってしまって、もうダメなんや』と、そのひと言ですよね。私何のことかと思った、最初。まさかそんなここを出てくれというような事態に…」(松山耕三さん)

前払い金が返ってこない!

松山さんが入居する際に運営会社と交わした契約書によると、毎月の食費とは別に入居一時金としておおむね8年分の家賃や管理費2人分あわせて1280万円を前払いした。運営会社側の都合で施設を閉鎖をする場合には、まだ使っていない前払い金を入居者に返金する契約となっているが、金は一切返ってきていないという。

「我々だってせっかく自分たちが積み上げてきた財産ですから、それは返してほしいと言えば返してほしい。返してもらうのも当たり前の話ですよね」(松山耕三さん)

市の聴き取りに対して代表は、未返金があるのは8人であわせて約3000万円と説明したというが、松山さんが退去させられた他の入居者を調べたところ、未返金があるのは17人であわせて8000万円に上るという。

施設の問題は未返金だけにとどまらない。有料老人ホームは自治体への届け出が義務付けられているが、この老人ホームは届け出を怠っていたのだ。京都市は7年前からこの施設が未届けであることを把握していたというが…

「少なくとも年に1回は届け出に向けた指導を行っており、28年からはその回数を増やしていった。ただ結果として前払い金の返還がなされなかったということについて、指導の回数であったり内容がどうであったかということについては反省すべき点であったかと考えております」(京都市介護ケア推進課 北垣政治施設支援・指定担当課長)

運営会社側「やりくりができなかった」

今年5月、運営会社の代表が未返金について元入居者たちに説明する場が設けられた。

(被害者)「みんなから預かったお金、返ってないやない。それをどないして使ったんやって。どこやったん?」
(会社代表)「毎月の支払いに使いました。本当に本当にすみません。本当にやりくりができなかったんです」

代表は「預かった金は全て施設の運営費に充てた」と釈明した。

(松山さん)「切実に迫っていることや」
(会社代表)「わかります、私、本当に謝って済むことじゃないのはよくわかっているんです。ただ、あの…できる限りのことはさせてもらいたいなと思うんですけど」
(被害者)「何を根拠にそれができる?みんな年いってるよ。何を根拠にそれだけの金額が稼げるかって」
(会社代表)「すみません、(根拠は)あると思います。今すぐは…なんていうのかな、1年2年の間は難しいです」
(松山さん)「待っていられる年齢じゃないんだわ、はっきり言って。2年とか3年とか。返す額は全部でだいたい6000万か7000万でしょ」
(会社代表)「やっぱりその…このまま終わりたくないんで。このまま『はい、払えませんでした』っていうことはできないんで」
(被害者)「できないって言ったって現実そうなってるやん、悪いけど。払います払いますって言ったって、もう私ら出ていってからほぼ10か月経っているわけ」

会社は老人ホームを閉鎖した後に土地と建物を2億円で売却したが、その金も銀行などに借入金を返済した結果、ほとんど残らなかったと説明したという。

返済計画はあるのか?

集まりの後、取材班が改めて代表を直撃した。

「私が迷惑かけたんです、だから申し訳ないと思ってます。でもすみません、今私返そうとして一生懸命頑張って…」(会社代表)
Q.実際に返済する計画とかは立てているんですか?
「…今、被害者さんと喋ってるんで」

返金するとは言うものの、具体的な返済計画については何も語らない代表。元入居者たちはこのまま泣き寝入りするしかないのだろうか。

「よくあるのは事業者側が破産してしまうという場合です。だいたいそういう手続きになると、もともと破綻してやっていけないような会社なので、こういう場合にはごくごくわずかな返金しかされなくなってしまうということがあると思います」(御池総合法律事務所 増田朋記弁護士)

今、全国各地に点在する未届けの有料老人ホームでトラブルが相次いでいるという。

「高齢者が多くなってきていろんなサービスのニーズが出てきていて、未届けでも入れるところがあるならないよりマシだと入る人はいるわけですよね。問題があるものだけど、ある意味“必要悪”みたいなふうに捉えてそれを放置してしまっているっていうことが、高齢者の関係には(背景として)あるんじゃないかな」(御池総合法律事務所 増田朋記弁護士)

安心して余生を過ごすために選んだ終の住みかを追われたお年寄りたち。今もやりきれない思いを募らせている。

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