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【特集】記者は子ども!月に2万部発行の「子ども新聞」 人気の秘密は?

2019年06月05日(水)放送

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京都府亀岡市で発行されている大人気の新聞があります。それを作っているのは、小学生から中学生の子ども記者たちです。子どもといっても侮るなかれ、新聞の発行部数はなんと毎月2万部という大ヒット。一体どんな仕事ぶりなのか、人気の秘密に迫りました。

ド直球な質問に苦笑い

京都府亀岡市のラーメン店に子どもたちが元気よく入っていきます。でも、ラーメンを食べに来たのではありません。その目的は…

(男の子)「このお店って、ぶっちゃけ儲かっているんですか?どれくらい儲かっているんですか?」
(オーナー)「どれくらい?(笑)どれくらい…」

取材です。彼らは小学4年から中学1年までの子どもたちですが、れっきとした新聞記者なのです。この日は、地元発祥で急成長しているラーメン店の人気の秘密を探るための取材に訪れました。

(男の子)「(店は)なんで『無双心』って名前なんですか?プロレスラーの名前ですか?」
(店員)「それ武藤(敬司)!他にないっていう意味ね、他に二つとない」

子どもらしい素朴な質問に店員さんも苦笑いです。彼らが作っているのは「かめおか子ども新聞」。3年前から発行していて、亀岡市周辺のニュースを子どもたちが取材し、記事にまとめます。毎月20日に新聞と一緒に折り込まれ、発行部数はなんと月に2万部という人気ぶりなのです。インタビュー取材を終えると、お店の裏側に回り麺づくりを見学。さらにラーメンを試食して味もチェックします。徹底した取材がモットーです。

「人生に必要な学びは取材の中に」

子ども記者たちを引率しているのが編集長の竹内博士さん(38)、この中で唯一の大人です。竹内さんは以前、地元の新聞社で10年間、記者をしていました。

「マナーとか質問の力とかちゃんと人の話を聞くとか、あるいは文章を書くとか、そういうところが全部、人生に必要な学びは取材の中にあるなっていうのが、僕が10年やってきたことを振り返って思ったことなので」(竹内博士さん)

6年前に退職して研修の講師をする傍ら、地域の子どもたちを集めて月に4回、新聞づくりの教室を始めました。

「こういう経験を子どものうちにしてほしいなっていうのをすごく思っていて、最近は『知らない人には挨拶したらだめです』とか、人間関係も希薄化する中で、子どもたちの世界観ってどんどん狭くなっているような気がして。多感な時期というか小学生のうちに、近所のおっちゃんおばちゃん、お兄さんお姉さんも含めて、いろんな人に触れさせる経験をさせたいと思ったのがきっかけですね」(竹内博士さん)

取材を終えたら編集会議です。それぞれ感じたことを発表し、どんな記事にするか話し合います。

(男の子)「忙しそう」
(男の子)「忙しそうやけど、なんか楽しそう。遊んでいる感じの…いい意味で」

最後の仕上げは、竹内さんが自宅で子どもたちが書いたメモを見ながら新聞のレイアウトを整えます。編集する時に気をつけているのは、子どもらしさを損なわないようにすることだといいます。

「本当に子どもが取材しているので、子どもが楽しんでいるなっていう雰囲気が出るように。この前は原稿用紙に手書きで作文のように記事を書いて持ってきたので、そのまま載せました」(竹内博士さん)

完成したラーメン店の記事では、子どもたちが書いた表現をあえて変えずにそのまま文章にしました。

名物コーナーの“お悩み相談”

実はこの「かめおか子ども新聞」には、ある名物コーナーがあります。それが、「子ども記者相談室」。大人から寄せられた悩みや相談を子ども記者たちが真剣に考えて答えるというコーナーです。この日は読者から寄せられた2つの悩みをみんなで話し合い、回答を考えました。

【相談内容】「夏休みに彼女がUSJに行きたいっていうから行くことになりました。でも僕はジェットコースターとか絶叫マシーンが苦手なんです。どうしたらジェットコースターに乗れるようになりますか?教えてください」

(男の子)「まず男らしさをあんま出さへん方がいいと思う、出さなくっていい。嫌いなことは嫌いって正直に言った方がいい」
(男の子)「彼女と別れましょう」
(竹内さん)「どうやって別れるの?どうやって彼女に伝えるの?」
(男の子)「趣味が合わないので無理です」

手加減なしの率直な意見が次々と飛び出しますが、具体的な解決策につながることも。

【相談内容】「私は仕事がどんどん溜まってしまって、後回しになってしまってなかなか仕事が片付けられないタイプです。早く仕事をするコツを子ども記者さんに聞いてほしいんですけども」

(男の子)「大きい付箋とかあるやんか、あれにやること書き出して」
(男の子)「時間内にできたら、何か自分にご褒美やるとか」

この悩み相談が掲載されるとSNSで噂となり、「回答は容赦ないが、悩みの核心をついている」と瞬く間に拡散されました。そしてついに今年5月、この悩み相談がまとめられた本まで出版されました。

「本当に辛辣で忖度しないし、思ったことを単刀直入にという。ただそれがかえって真実だったりとか飾らないのでかえってストレートに届いたりとかして、それが思わぬ効果を呼んでいるみたいですね」(竹内博士さん)

記者活動で積極的な性格に

新聞教室の最年少記者である小学4年生の俣野淳至くん(10)は、この教室が始まった当初から兄の皓平くん(12)と一緒に教室に通い始めました。もともとは引っ込み思案だった淳至くんですが、記者活動をするうちに性格も明るく積極的になったといいます。

「好奇心がすごく旺盛になりました。最初はお兄ちゃんが前にいて、お兄ちゃんの後ろに隠れてもじもじしているっていう感じでずっと行ってたんですけども、途中から自分の意見も言えるようになったり、質問できるようになってきたりしました」(母・俣野多映子さん)

取材を通して学校では学べない様々な社会経験をする中で、淳至くんは将来のやりたいことが見つかったといいます。

Q.将来、何になりたいですか?
「生物学者です」(俣野淳至くん)
Q.どうして生物学者に?
「いろんな生き物を救いたいから」

編集長の竹内さんは、地域の子どもたちのためにこれからも新聞教室を続けていきたいとしています。

「子どものうちっていろんな体験をすることが大事じゃないですか。どんな体験をするかでその人の人格ってできていくと思うから、ちっちゃい頃に頼りにされるとか、あるいは自分が書いた記事が社会に影響を及ぼすっていうちょっと社会の一端の担うじゃないですけどね、そういう存在なんだという自信を持ってくれるっていうのがすごく嬉しいですね」(竹内博士さん)

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