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【特集】「特定技能」スタートで外国人労働者は? 課題は"地域社会との共生"

2019年05月21日(火)放送

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外国人の新たな在留資格「特定技能」。この制度は今年4月にスタートしたばかりで、外食業分野の試験が行われ、5月21日に関西で初めての「特定技能」外国人の合格者が発表されました。合格者には最大5年間日本で働くことができる資格が与えられます。人手不足が深刻な日本、「特定技能」制度でどう変わるのでしょうか。

「特定技能」制度とは?

大阪・阿倍野区の焼き肉店「はや・アポロ店」。働いている人に出身地を尋ねると…

「わたしはベトナムから来ました」
「ベトナムのハノイ」

この飲食店では1年半ほど前から外国人の留学生を積極的に採用。今や、アルバイトの6割にあたる14人が外国人です。そこまで外国人に頼らざるを得ない理由が…

「(アルバイトを)募集させていただいても(日本人が)なかなか応募にお越しになられない。きついとかしんどいとか、そんなふうに思われているかもしれませんけど」(焼き肉チェーン「はや」運営会社 宮下昌史社長)

人口の減少が止まらない日本で、働き手としての外国人の需要は高まるばかり。一方で接客などの現場では、外国人は原則アルバイトしか認められていません。働ける時間も週28時間が上限など制約もあります。

この課題を解決するためにできた制度が「特定技能」です。去年12月、国会では外国人の受け入れ態勢などの議論が十分ではないとして野党は猛反対しましたが、強行採決の末、今年4月に制度が始まりました。

対象となるのは、特に人手不足が深刻な介護や建設など14の業種。幅広い業種で門戸を開き、今後5年間で最大34万人あまりの外国人労働者を受け入れるとしています。

先月、14の業種の1つ外食業の特定技能の試験が大阪で行われ、アジア圏を中心に約180人が受験しました。特定技能の学習用のテキストを見てみると…マナーや衛生面などの知識が問われていて、おじぎの角度や肉の部位など、日本人でもとっさに答えられないような内容が書かれています。これに加えて、日本語の能力が一定以上あれば特定技能の資格が与えられ、最大5年間日本人同様フルタイムで働くことが可能になります。

試験会場で待ち構える人材派遣会社の関係者

試験終了後の会場には日本のビジネスマンが待ち構えていました。実は彼らは人材派遣会社などの関係者で、特定技能への需要を見込み、いち早く有望な外国人を見つけてビジネスチャンスにつなげようとしているのです。

Q.注目はしている?
「していますね。特定技能に関しては日本の人材紹介、派遣の事業が仲介をするというのは明確に国もうたわれているので、延長線上にはビジネスとしてお手伝いできればと思っています」(「メディパス」 小田弘取締役)

飲食店では歓迎する声も。外国人アルバイトが半分以上を占める大阪・ミナミのすし店「さかえすし」では、海外からの観光客が急増し外国人労働者は今や欠かせない戦力です。

「(特定技能に)期待はしていますね。これから大阪もね、万博などで外国人が一番増えるときですから。それ(特定技能)は良いと思います」(「さかえすし」運営会社 渡邉章社長)

地域との共生が課題に 滋賀・湖南市では…

一方、外国人が増えると生活の拠点となる地域との共生が大きな課題となります。約5万5000人が暮らす滋賀県湖南市。田園が広がるのどかな町ですが、あるスーパーを覗いてみると…飛び交う言葉はポルトガル語。ブラジル料理によく使われる豆やブラジル風コロッケなど、見慣れない商品が並ぶ店内はまるで外国にいるような雰囲気です。

約30年前の法改正で、日系3世までの外国人は日本で就労可能になり、これをきっかけに工業地帯が広がる湖南市に日系ブラジル人が次々と移り住むようになりました。今、湖南市に住む外国人比率は滋賀県トップの5%あまりで、全国平均と比べても2倍以上です。

定住する外国人の多さに気づいたのは今から約15年前、外国人に関する住民からの相談がきっかけだったと湖南市の谷畑英吾市長は話します。

「例えばゴミ捨て場に対して地域のルールを守らずに捨ててしまう、夜中遅くまで大きな声をあげて歌い踊るなど、課題がかなり山積していたので、一つずつ解決していくというのが現場での対応だったと思います」(湖南市 谷畑英吾市長)

「ポルトガル語堪能な職員配置」「日本語教室」模索続ける現場

湖南市では定住する外国人と共生する道を模索し続けています。例えば、住民票などの手続きを行う市民課では、ポルトガル語が堪能な職員を配置しています。今では欠かせないサービスとなり、多い時で月400件対応することもあります。

Q.通訳してくれるのはどうですか?
「助かります」(利用者)

「住民票とか税の相談とかが多いですけど、なかには個人では解決できなくてビザのこととか、私生活の相談に来られる方も多いです」(湖南市市民課 尾崎明美さん)

湖南市では、市役所や学校などでこうした通訳を13人配置しています。

さらに、市では国際協会に補助を出して日本語教室も開催。週末になれば多くの外国人が訪れ、日本語を学びます。

(スタッフ)「『つける』というのはわかる?」
(外国人)「靴は一緒じゃない?ちょっと違う?」
(スタッフ)「『履く』なんだけど、本当は」
(外国人)「あ~…」

しかし、こうした取り組みに国からの補助はありません。この教室を支えているのは、ボランティアのスタッフ。さらにここ数年はブラジル人に加えて、技能実習生のベトナム人などが急増。通訳もおらず、新たな課題として浮上しています。

「去年からベトナム人、インドネシア人の技能実習生が増えてきていますので、新たな国籍、新たな言語への対応がこれからの課題じゃないかなと思っています」(湖南市国際協会 鶴衛正義事務局長)

対策を自治体任せにせず国も対応を

特定技能の制度が始まりさらなる外国人の増加が見込まれる中、湖南市の谷畑市長は対策を自治体任せにせずに、国もこうした課題に責任を持って対応してほしいと主張します。

「ほとんど自治体が自分のところの単独費用で対応してまいりましたので、国が外国籍の市民を受け入れるとしたにもかかわらず、自治体の財政を圧迫しているということで、地方分権の観点から言っても、問題あるのではないかと思います」(湖南市 谷畑英吾市長)

(「Newsミント!」内『特集』より)

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