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【特集】隣地から伸びた巨木をついに「伐採」 取材から2年、時間を要した"複雑な事情"

2019年05月13日(月)放送

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大阪府高槻市で隣の敷地から巨大な木がせり出し、その木から大きな枝が落ちてきたりしたため、怯えながら暮らしているという女性の憤懣。MBSが取材を始めてからはや2年、木を伐採してほしいという女性の切なる願いは叶ったのでしょうか。

巨木を切れない“法律の壁”

大阪府高槻市に住む中野緑さん。自宅に隣接している他人の土地から大きな木の枝が伸びてきていて、家の屋根に覆いかぶさっています。巨大な枝が落ちてくるなどしたため、去年の大阪北部を襲った地震や猛烈な台風が上陸した際は、木の下にある部屋を避けて生活していたといいます。

「木の下で寝ているとリスクが高いので、いつもは寝室じゃないところで寝ました。でも北側(木の下)にあるお風呂には入れませんでした」(中野さん)

ところがこの日、中野さんの顔には少し笑顔が戻っていました。その理由はというと…

「2年以上かかりましたけど、なんとか“伐採の準備”にまでいきましたので、ちょっと今年は安心できるかな」(中野さん)

取材を始めてから約2年。ここまでたどり着くには長い道のりがありました。この家を初めて訪れたのは、2017年の夏のことでした。

「かなりの老木で。これが倒れてきた日には私はたぶん生きてないと思います」(中野さん・2017年8月)

すでに屋根の上まで木が伸びていて、ドローンカメラで見てみると、大きくせり出しているのがわかります。造園業者に見てもらうと…。

「いつ倒れてもおかしくないのは事実ですね。(Q.屋根で支えられる?)下から見た状況では、落ちてきたところは全壊する可能性はあると思いますね」(IRATA国際認定技士 田尾信一さん・2017年8月)

危険な木ならすぐに切ってしまえばいいのですが、この巨木には簡単に切り倒せない理由がありました。法律上、『隣の土地から伸びてきた木の枝は木の持ち主に切らせることができる』と定められています。しかし、当時は登記簿の不備により『木が生えている土地の持ち主がわからない状態』だったため、切ってもらうことができなかったのです。

「どなたに向かってお話しを持っていけばいいのかわからないんですね」(中野さん・2017年8月)

第2の壁は「神社との交渉」1年以上の時間を費やす

ところがその後、MBSの取材を受けて法務局が調査した結果、土地の所有者が判明します。木が生えている土地は、家の裏にある神社のものだったのです。

さっそく、神社の責任者に中野さんが困っているという状況を伝えると…

「対応は非常に簡単で、弁護士を立ててやるだけのことなんですけど。全部我々が負担すべきものなのか、過失相殺的な要素があるのか」(上宮天満宮・元宮司 森嘉和さん・2017年11月)

ようやく土地の持ち主がわかったかと思ったら、今度は「神社との交渉」という第2の壁が立ちはだかったのです。

「まあ長引くことが一番困るんですけども。精神的にも体力的にも経済的にも私にはすごく大きな負担ですね」(中野さん・2017年11月)

交渉は簡単には進まず、1年以上の時間を費やしました。

「地形の問題があって重機がクレーン車がどこからも入らないので、その分手間もお金も時間もかかると。その負担分は中野側で持っていただきたいと」(中野さん)

神社側は、「家がクレーン車などの重機が入れない場所にあること」や「中野さん側が木が大きくなるまで放置していたことにより伐採にかかる費用が増えた」などとして、費用の一部を負担してほしいと主張したのです。

「150万円は神社が持つので、20万円を中野の方で負担できないかと。それでじゃあお願いしますと申し上げました。やっぱり怖いことのリスクには代えられない」(中野さん)

紆余曲折はありましたが、ようやく「伐採」にたどり着くことができました。

待ちに待った「伐採の時」

「足場はここにバスッ組みます。木の近くまで高さを上げる」(足場業者)

早速、屋根の上の木を切るための足場の設置が始まりましたが、家の裏にはすぐ木が迫っていて、ほとんどスペースがありません。慣れない場所での作業に戸惑う作業員ですが、家を傷つけないように気をつけながら足場を組み上げていきます。丸一日かけて屋根の上の木に手が届く足場が完成しました。そして、待ちに待った「伐採の時」。

「うわっ切れちゃうよ。あぁ…。木には申し訳ないけれど、ちょっとやっぱりその数メートル下で寝ている者にとっては。やっぱり安心ですね」(中野さん)

クレーン車が使えない場所で家を傷つけずに木を切るのはかなり難しい作業。下に落ちないようにロープで縛り、少しずつ切っては下ろすという手順を何度も繰り返します。

「こんなんめったにないですからね。倒すんやったら下から全部倒すやつなんで。難易度大分高いですね。(Q.時間かかりますよね?)時間かかります」(伐採業者)

全ての作業を終えるまでに丸二日かかりました。後日、足場が取り払われると…。

(記者)「景色が変わりましたね」
(中野さん)「そうですね明るくなりましたね。ずいぶん空が広くなりました」
(記者)「真上を見上げたら木でしたよね」
(中野さん)「そうでした。ここ(屋根)まで被っていましたから、この真上まで」

長年、中野さんの頭を悩ませてきた屋根の上の大きな枝がバッサリと取り除かれ、真っ青な空が顔を出しました。

「なくなって、改めてそれだけ被っていたんだなという印象がありますね」(中野さん)

目の上のたんこぶだった巨大な枝が消え去り、これでようやく中野家に平穏な日々が戻ってきそうです。

「大変良かったです。この家にもまだもう少しは住めるかなと思えるようになってきました」(中野さん)

(「Newsミント!」内『特集』より)

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