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【特集】高潮被害を受けた「堤外地」 防潮堤の外側エリアに企業が集まる神戸の事情

2019年05月09日(木)放送

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去年9月の台風21号による高潮で、神戸の臨海部ではコンテナが流出するなど大きな被害が出た。中でも、とりわけ大きな被害が出たのが防潮堤の外側にある「堤外地」と呼ばれる場所だ。一体なぜ、浸水対策がとられていない場所に多くの民間企業が集まっているのだろうか。

台風で浸水 中古車輸出業者は大損害

神戸市東灘区の人工島・六甲アイランドは、島全体が防潮堤の外側に広がる土地「堤外地」にあたる。堤外地はもともと浸水対策などが取られていない土地だが、倉庫が立ち並び、さまざまな民間事業者が進出している。地図で見てみると、陸地に築かれた防潮堤の外側に人工島がつくられるなど広大な土地が広がっている。

「去年の台風では、防潮堤の扉が閉まったことで、堤防よりも内側には浸水被害がほとんどありませんでした。一方で、防潮堤の外側の堤外地では多くの浸水被害がありました」(記者リポート)

去年9月の台風21号によって、神戸港の最高潮位は233センチを記録。高潮にまともにさらされた堤外地では、未だ立ち直ることができない事業者も多い。

六甲アイランドで中古車輸出業を営む澤田好史さんの場合、駐車場に停めてあった中古車約300台が水に浸かり、1億5000万円もの損害が出たという。

「いやこれ、どうしよかなと。商品車ですので出荷の予定も決まっている車両ばかりでしたので、これは困ったなぁという感じでしたね」(中古車輸出業 澤田好史さん)

六甲アイランドではほかにも、大量のコンテナが海上に流出したり火災が発生するなど大きな被害が出た。しかし、神戸市の担当者は「堤外地が浸水するのは想定の範囲内だ」と話す。

「堤外地自体は高潮で浸かる場所というのは大前提の場所。ある程度の高潮では被害が出るというのはわかっていた」(神戸市海岸防災課 鈴木朗係長)

震災をきっかけにした企業の誘致

では一体なぜ、浸水することがわかっている場所で様々な民間事業者が営業しているのだろうか。

「ここはもともと震災で神戸の港が使えなくなって、荷物が大阪に行ったんですよ。それを戻そうということで、僕らは誘致された」(澤田好史さん)

今から58年前に日本列島を襲った第二室戸台風では、高潮が住宅地まで流入し甚大な被害が出た。これをきっかけに、国と自治体は防潮堤の建設を進め、その結果、堤外地が生まれたが、船の着岸や船荷のあげおろしに適しているため、物流や港湾管理をする企業が集まり、神戸経済の土台を支えてきた。ところが、神戸港は1995年の阪神・淡路大震災で港湾機能がまひし、コンテナの取扱量が発生前の半分に落ち込んだ。苦境にあえぐ中、市は倉庫と海運業者に限定していた堤外地の利用規制を緩和し、さまざまな企業の誘致を行ってきたのだ。

神戸港の復興に貢献してきた堤外地の民間活用。市は大震災の時のように神戸からの撤退が始まらないよう、高潮被害を受けた企業に対して1つの敷地につき最大1000万円の補助金を支給する支援策を表明したが、中古車輸出業を営む澤田さんは「焼け石に水だ」と吐き捨てる。

Q.1000万円で対策できる?
「できないです、できないです。ここの土地のかさを上げるという対策しかできないですけど、やっぱり1億円か2億円はかかるでしょうね」(澤田好史さん)

これに対して市の担当者は…

「堤外地は浸かってしまうのが前提の場所なので、事業活動している私有財産といわれるようなものに対しては、各所有者や企業が対策を打っていただくというのが基本」(神戸市海岸防災課 鈴木朗係長)

「堤外地と言えども守っていかないといけない」

被害を重く見た国は高潮対策検討委員会を立ち上げ、今年3月、堤外地でもこれまで施されてこなかった浸水対策を導入する方針を発表。港湾管理者である自治体や民間事業者に対して集積地のかさ上げや擁壁を整備するよう求めた。

「沿岸域、堤防の外の経済活動が膨れ上がって大きなものになっている。それを守っていかないと、堤内地は守れても経済損失が大きすぎて復興ができないといった大きな落ち込みになってしまうということになってはいけない。堤外地と言えども守っていかないといけない」(高潮対策検討委員会 青木伸一委員長)

業者は、行政の支援がなければ抜本的な対策をとることは不可能だと話す。

「台風シーズンの前までに、少しでも不安がなくなるような対策を神戸市さんにぜひ行ってほしい。早く決めないと、待ってくれないので」(澤田好史さん)

堤外地の企業はほとんどが海上貨物を取り扱っているため、土地のかさ上げなどは経済活動に支障をきたす可能性も大きい。費用負担の問題も含め、さらなる検討が必要だ。

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