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【特集】独占された市営球場 不公平な利用実態、その背景は?

2019年04月25日(木)放送

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市民の共有財産である市営の野球場をある民間の少年野球チームが独占的に利用しているという疑惑が浮上し、取材を進めていくと、チームは行政から数々の“特別扱い”を受けていたことがわかりました。背景には、いったい何があるのでしょうか?

東大阪市の球場を独占利用か

大阪市西区にある市営球場。市民であれば誰でも無料で使うことができるが、利用するためには大きな“苦労”があるという。

「少年野球4チーム、サッカー3チームそれぞれがみんな集まって抽選する」(少年野球チームの代表)
Q.(抽選に)外れると練習なし?
「仲間の少年野球チームで当たったところの端の方を使わせてもらったり」

この日も、野球チームとサッカーチームがグラウンドを分け合って練習していた。

そんな中、「市営球場を独占利用しているチームがある」という情報が取材班のもとに寄せられた。それは東大阪市の市営球場で、市の担当者にグラウンドを案内してもらった。

「広さは8000平方メートルくらい。1塁側と3塁側にスタンドがあって、50名程度が見られるという環境」(青少年センター・館長)

ピッチングマシンなども整備されたこの球場は今から34年前、同和対策事業の一環として地域の子どもの健康増進を目的に造られた。併設されている控室には、ソファやエアコンなどさまざまな設備が揃えられているが、これらも全て無料で利用できる。

市のホームページを見てみると…

「『現地にて申し込み』と記載され、利用者を広く募集しているように見えます」(記者リポート)

球場へ行って申請すれば誰でも使えると書かれているが、本当に独占しているチームがあるのだろうか。近くの住民に聞いた。

「毎日、同じ子どもたちが使っている。同じ帽子かぶって」(近所の住民)
Q.1つのチームが使っている?
「そうですね、そんなにいろんなところが使っている印象はない。違うチームが来れば練習の仕方も違うと思うし、人数も違うと思うので」

取材班は、球場の様子を観察してみることにした。

「全員が同じロゴの入ったヘルメットをかぶっています」(記者リポート・今年2月)

チームのロゴだろうか、お揃いのマークが入ったヘルメットをかぶり、子どもたちが練習に励んでいた。別の日も見に行ってみたが、やはり1つのチームだけが練習しているように見えた。

“野球教室”だが1つのチームが利用

取材班が東大阪市に開示請求した球場の使用申請書と許可書は過去5年分で合わせて約5000枚あり、毎日のように申請が出されている。ところが、詳しく見てみると不可解な点が浮かび上がってきた。5000枚全ての申請者が同じ「青少年センターの館長」となっているのだ。いったいどういうことなのか、市に聞いた。

「青少年センターの事業の1つで野球教室というのがある。所管しているのはセンターの館長なので、そういった意味で申請者は館長」(東大阪市・社会教育部長)

市の説明はこうだ。市は“野球教室”を開いていて、担当部署である青少年センターの館長が球場の責任者である「場長」に対して使用申請を出していた。この場長も市の職員で、誰に許可を出すか決める権限を持っているという。しかし、取材班が見たものは野球教室ではなく、特定のチームが練習する姿だった。この矛盾を市にぶつけると…

Q.いろんなチームの子が集まって教えを乞うのが野球教室という認識なのだが?
「いえ、あの…募集の仕方はいろいろ問題はあると思うんですけど」(東大阪市・社会教育部長)
Q.野球教室として練習している子たちは1つのチームだということ?
「そうですね。1つのチームの形もとっているということです」
Q.あそこを独占的に使用しているチームというのは認める?
「今のところ見た目も事実もその通り、1チームで使用していると」

結局、市は特定のチームが独占利用していることを認めた。東大阪市は21年前から市営球場などの予約システム「オーパス」を導入していて、会員登録して予約するとコンピュータの抽選で利用者が決まる。休日はどこも予約で埋まっているが、問題の球場はこのシステムに組み込まれていない。

チームの監督が球場の利用者を決める市職員

問題の球場をホームグラウンドとしている野球チームのホームページを見ると、メンバーから月会費を集めるなどごく普通の民間チームのようだが、このチームの監督は球場の「場長」を務める市の職員と同一人物だということがわかった。利用者を決定する権限を持つ「場長」がチームの監督、つまり市は民間チームの監督に使用申請を出し、監督自身が許可を出すという奇妙な構図になっていた。改めて市の見解を問いただすと…

「その論法にはなかなか気がつかなくて、改めなければならない部分については当然私どもも検討しながらやっていかなければならない」(東大阪市・社会教育部長)

球場の電気代などを負担し、夏休みには公費で外部の指導員も招いているという。この異常ともいえる好待遇は、なぜ続いてきたのだろうか。

「同和対策事業特別措置法と地対財特法の理念に基づいて、人権意識の向上ということで(球場を)設立した」(東大阪市・社会教育部長)
Q.同和対策事業特措法も終了し、時代錯誤かと思うが?
「特措法がなくなったりいろんな法律が消えたからといって、何もかも全てが『はい終わり、もう何もなしね』とはなかなか、教育委員会としてはまだまだいろんな問題が残っている」

チーム代表者「独占では使っていない」

取材班は場長本人にも取材を申し込んだが、「体調不良」を理由に応じることはなかった。そこで、チームの代表者の男性を直撃した。ちなみにこの人物も市の職員だ。

「野球教室をチーム登録しないとボーイズリーグに所属できないので、所属していないと対外試合ができない」(チーム代表者)

対外試合をするためにチームの形をとっていると弁解した。では、独占利用については…

「独占では使っていない、グラウンドもソフト(ボール)や軟式チームに貸したりとかいうのをやっているので、優先的には昔からの流れで使っているとは聞いてますけど」(チーム代表者)
Q.それは別におかしいと思わない?
「昔からの経過がわからないので、何とも言えない。その流れに沿って代表としてやっているだけの話なので」

月に1日~2日は他のチームに貸し出しているため「独占利用ではない」と主張したが、市は「『また貸し』にあたるため、正しく申請するよう指導していきたい」とコメントした。独占状態が続く球場、不公平な運用を改める時が来ているのではないだろうか。

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