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【特集】神戸中3女子自殺 隠され続けた「いじめを示すメモ」...真実を知りたかった母親の想いは

2019年04月18日(木)放送

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3年前、神戸市で中学3年の女子生徒が自殺した問題で、4月16日、再調査委員会が、いじめが自殺の要因だったとする報告書をまとめました。最初に調査を行った第三者委員会は「自殺との因果関係は不明」という結論でしたが、これを覆す内容となりました。3年近くにわたって娘を死に至らしめた真実にたどり着きたいと願ってきた母親の想いとは…

「辛かったが、知りたい」

「(描かれたのは)中2やと思うんです。2、3歳の頃から絵を描くのが大好きで」(女子生徒の母親)

やさしく微笑む少女の絵、中学2年生の時に描かれた自画像だ。少女はこの絵を描いた翌年、自ら命を絶った。2016年10月6日、神戸市垂水区の川で市立中学3年の女子生徒が遺体で見つかった。

「何回も校長先生とか担任の先生とかに聞いたんですが、何もわからない、気づかなかったと。話を生徒の方から聞かせてもらったり、娘の辛かった学校生活の話を聞くことは本当に辛かったですし、でもそれでも知りたかった」(女子生徒の母親)

自殺の4日後、母親は仲が良かった複数の同級生から「学校でいじめがあった」と伝えられた。

「悪口を広められる、服装が気持ち悪いとか顔面凶器なんていうあだ名とか、それを聞こえるように男子生徒が言っていたと」(女子生徒の母親)

このあと、神戸市教育委員会はいじめを調査する第三者委員会を設置したが、そのメンバーは教育委員会の付属機関から集められ、いわば身内で作られた組織だった。そして自殺から10か月後のおととし8月、第三者委員会は、いじめがあったことは認めたものの、「自殺の直接の要因ではない」と結論付けた。この報告書を受け取った母親は…

「この報告書を受け入れられないです。多くの同級生が聞き取りに応じてくれたりしたのに、それがちゃんといかされてない」(女子生徒の母親 ※当時)

隠蔽されたメモ 市教委幹部が当時の校長に指示

ところがその後、あってはならない事実が判明する。実は学校も自殺の直後、複数の同級生から聞き取ったメモを作成していた。メモにはいじめに関する内容が記されていたが、学校側はこのメモの存在を隠蔽するため、開示を求める母親に対して「メモは破棄した」と嘘をついていたことがわかったのだ。

「ご遺族に対しまして『メモが存在しない』という虚偽の報告説明をしていた。メモの存在を隠蔽したものとして非難を免れない」(神戸市教育委員会 長田淳教育長/去年6月)

調査した弁護士の報告書によると、教育委員会の幹部である首席指導主事が当時の校長に対し、メモの存在を遺族に告げないよう指示したという。

「そのようなメモを今さら出すことはできない。先生、腹くくって下さい」(隠蔽問題を調査した報告書より)

首席指導主事は市教委の窓口として母親と向き合っていた人物だ。なぜ隠蔽を指示したのか、不祥事が発覚した直後に本人を直撃した。

Q.メモの件なんですが、せめてひと言、遺族と亡くなられた生徒にひと言いただけませんか?
「…」(首席指導主事/去年6月)

何度問いかけても答えは返ってこなかった。首席指導主事は今年1月に停職3か月の処分を受けたが、4月から復職しているという。

いじめの内容が詳細に記されていたが…

では、隠されたメモには何が記されていたのか?取材班はそのメモを独自入手した。それによると、1年の頃には「ネット上でのトラブル」、2年になると「ハブリ(仲間外れ)」「悪口」「ツイッター上でブロック」「直接的ないじめ」、3年になると「中心グループからのいじめ」。メモには誰がどんないじめをしていたか実名入りのチャート図で詳細に記されていた。破棄されたはずのメモは、実は理科室のロッカーに保管されていた。その情報は、おととし8月に第三者委員会が報告書をまとめた直後、1人の教員から新任の校長に伝えられていた。事実を知った校長が教育委員会に報告を上げた際の通話記録によると…

【神戸市が開示した電話記録】
(校長)「実際にメモの一部は学校に存在している。誤った情報については訂正をする必要があるだろう」
(学校教育課長)「すでに、遺族説明も終わっており報告書は固まっている」

メモの存在は教育長にも伝えられ、教育長はすぐに確認するよう部下に指示を出したというが、その後の対応について教育委員会に聞いてみると…

「当時の学校教育部長と学校教育課長が校長のところに聞き合わせに行った。学校の状況や保護者への対応、その辺のどうも話に終始してしまった。結果として、肝心なメモの存否にかかる確認を忘れてしまった」(神戸市教育委員会 後藤徹也教育次長)

怠慢の結果、メモの存在は自殺から1年8か月にわたって隠蔽され続けた。

再調査委「いじめが自殺の要因」受け取った母親は…

メモの隠蔽が発覚した後、市は外部のメンバーによる再調査委員会を設置。4月16日、その報告書が市長に手渡された。

「無視をするとか仲間はずれにするとか絵がきもいとか、一番大事にしているものを否定されるといったような、こういう行為がなければ当該生徒は自死せずにすんだ」(再調査委員会 春日井敏之委員)

再調査委員会の報告書は以前の調査結果を覆し、いじめが自殺の要因と結論づけた。最初の第三者委員会による調査結果は一体なんだったのか。

「(第三者委員会は)どうしても教育委員会に対しての配慮というか忖度、そういうものが生まれる土壌はあったんだろうなと。(隠蔽された)メモを見ていれば、こういった観点から聞き取り調査ができると、そういうヒントを得られるので、初動の違いに影響した気はする」(再調査委員会 曽我智史委員)

新たな調査結果を受け取った母親は…

「素直によかったと思いました。認められてよかったと思いました。気がついたら2年半も経っていたんです。今になってやっと娘がいなくなったことを実感しているんです。本当に私にとっては大事に育ててきた娘なので、これからも一緒にいろんなことを経験したかったです」(女子生徒の母親)

真相を究明すべき市教委による背信行為。その不可解な対応についても新たな検証が必要なのではないだろうか。

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