MBS 毎日放送

2021年12月09日 11時30分 公開

宮前 徳弘のスポーツコラム Vol.54 観客の"チカラ"~Vリーグ~  

 ヴィクトリーナ姫路が、産声を上げたのは、2016年、ロンドン五輪で、日本女子バレーボールを銅メダルに導いた名将、眞鍋政義氏が、「本当の意味で日本が強くなるには、プロチームが絶対に必要だ」という信念のもと、出身地である姫路にチームを立ち上げた。最初は、わずか選手3人のスタートだったが、バレーボールに対する情熱、地元播磨地域に対する純粋な思いが、周囲を巻き込んでいく。

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 「出来ることなら、毎試合ホームで戦いたい。」
 2021年11月、V1リーグに昇格してから、初めての連勝を飾った、女子バレーボール、ヴィクトリーナ姫路の中谷宏大監督は、勝利後のインタビューでこう答える。前日、フルセットの激戦を繰り広げた相手に、この日は、1セットも許さずストレート勝ち。粘り強さが身上の岡山シーガルズに対し、どのセットも終盤の競り合いを制しての価値ある一勝に、思わず顔をほころばせた。

 その原動力となったのは、何だったのか?勿論、効果的なサーブやコンビネーション抜群の攻撃といった戦術面の成果も大きい。ただそれ以上に、選手たちの背中を押していたのは、詰めかけた大勢のファンがつくりだす会場の空気だった。チームカラーでもあるピンクに染まったアリーナ全体が、競り合いの中で、選手たちに自信と安心感を与えていたのだ。

 ヴィクトリーナ姫路が、産声を上げたのは、2016年、ロンドン五輪で、日本女子バレーボールを銅メダルに導いた名将、眞鍋政義氏が、「本当の意味で日本が強くなるには、プロチームが絶対に必要だ」という信念のもと、出身地である姫路にチームを立ち上げた。最初は、わずか選手3人のスタートだったが、バレーボールに対する情熱、地元播磨地域に対する純粋な思いが、周囲を巻き込んでいく。全日本でセッターを務めた竹下佳江監督のもと、最短の3年でトップカテゴリーであるV1リーグに駆け上がった。

 しかし、勝負の世界は、そこまであまくない。V1リーグに上がると、全日本選手や有力外国人プレイヤーを有する強豪が立ちはだかる。一つ勝つのも精一杯という状態で、2年連続の最下位争いを余儀なくされる。

 そんな状況を打破したのも、姫路をはじめとする地元播磨の人々のチカラだった。コロナ禍の苦しい状況の中、チームのサポートを継続、新たなスポンサーも加わって、チーム強化に必要な体制を整えていったのだ。

 JリーグやBリーグに押されて注目度が下がりつつあったVリーグも、ようやく昨年度の大会から、ホームゲーム制度を導入、地域密着を念頭に改革に乗り出している。地元に愛されるヴィクトリーナ姫路は、ある意味、これからのVリーグの可能性を象徴している存在だ。だから、そのチャレンジには大きな意義がある。

 東京五輪の低迷をうけて、再び全日本女子バレーボールのタクトをふる決意を固めた眞鍋氏。「姫路から世界へ」の言葉とともに、チームは勿論、日本バレーボール界全体の新たな挑戦が、成就することを願わずにはいられない。

MBS制作スポーツ局 宮前 徳弘

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