MBS 毎日放送

2020年03月28日 11時00分 公開

「しぶちん」「いけず」「ちょける」... なぜ、関西弁は「罵詈雑言」が多いか?

「大阪に引っ越ししてきて2年経ちますが、正直…何言っているのか分からないことがあります」と明かしたのは、MBS入社2年目の東京出身・辻沙穂里アナウンサー。そこで、3月22日(日)放送の「コトノハ図鑑」(MBS)では、「豊富なバリエーション!? 関西弁の罵詈雑言」と題して、関西人と接することが多くなる辻アナのために「関西人の罵詈雑言」を特集した。

「松井アナ先生」

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「罵詈雑言」とは、汚い言葉を並び立て罵る(ののしる)こと。今回、「関西弁の罵詈雑言」の"先生"を担当するのは、生まれも育ちも大阪の松井愛アナウンサー。「MBSのアナウンサー室で1番罵詈雑言を使っているのは誰かな?と考えた時、愛さんしか思いつかなかったです」と辻アナ。おそらく、関西人は大きくうなずいただろう。松井アナ以上の適任者はいないはずだ。

Lesson1・・・「何にでも口をはさむ」という意味の関西弁の罵詈雑言とは。辻アナは「口出ししてくるやん」と関西弁のイントネーションで答えたが、不正解。
正解は「いっちょかみ」。
漢字で書くと「一丁噛み」。「一丁」は、ひとつ・一枚。そして、「噛む・噛み」は、物事に関係をもつという意味があり、「一丁噛み」は、紙を一枚噛む程度にちょっとだけ関係をもつ。おせっかいという意味が強い。「関西人は、全員いっちょかみと思ってください」と言い切った松井アナ先生。その通りかも。

Lesson2・・・「根性が悪い」という意味の関西弁の罵詈雑言とは。松井アナは「私は1日に35回くらい使っています」とコメントし、答えを聞いた辻アナは「これは、私も聞いたことがあります!でも、そんな嫌な意味があったんですね...」と言っていた。分かるだろうか。
正解は「いけず」。今回、松井アナの"助手"をした京都先端科学大学の丸田博之教授が「室町時代に広まった言葉でして、『器量が悪いとお嫁にいけない』がルーツ(諸説あり)」と補足した。「器量が悪いから嫁にいけず」の「いけず」とは。かなり辛辣で「いけず」な罵詈雑言ではないか。

「しぶちん」

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「関西は1つの言葉でも違うバリエーションがあるのが、関西の罵詈雑言の特徴といえます」と丸田教授。例えば「ケチな人」。これは、関西弁では「がめつい・しぶちん・せこい・こすい」の4つの言葉がある。これを辻アナは、厳しくて本気度が高い順に「しぶちん>こすい>せこい>がめつい」と並べた。
「しぶちん」。この言葉は「渋る」に軽い軽蔑の意味がある「ちん」を足したもの。この「しぶちん」が、1番本気度が高く、厳しめに言う時に使う言葉ではないかと辻アナは予想した。しかし、街行く人にも話を聞くと「しぶちんは、本気度は低く、冗談ぽく使う」との意見が多かった。
この時、辻アナは「『しぶちん』なんて聞いたことがないです...」と言っていた。また、「私、お金出すのを渋る男性が嫌いです!」との発言も。そんな嫌いな関西の男性が現れたら、関西では「しぶちん」ではあまり刺さらないので、「せこい」「こすい」などの言葉を使ってみては。

「たれ・しい」

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次は「たれ」と「しい」の独特な語尾について。丸田教授は「『たれ』は『垂れる』の略で、バカたれ、貧乏たれなどがありますが、(罵詈雑言では)柔らかさがあります」と説明。松井アナも「愛情が残っています」と。そして、「しい」にいたっては「ええかっこうしい」を例に出し、「ええかっこうする」→名詞化「ええかっこうし」→長音化「ええかっこうしい」に変化したと解説。
このあと、これらの語尾を「つけるorつけない」を芝居仕立てで検証したのだが、確かに「しい」や「たれ」を語尾につけるだけで、柔らかい表現になっていた。

「ちょける・いちびる...」

このほか、「調子に乗る」という意味で使われる言葉に「ちょける」「いちびる」「いきる」「ほたえる」がある。松井アナは「私は、一番『いきる』『イキってんな』が言われたくない」とコメント。VTRを見ていた兵庫出身の清水麻椰アナウンサーも「『いきり』は、けっこう厳しめの言葉です」と同意していた。「いちびる」については、響きは可愛らしいが「私は、『お前ら、いちびるなよ!』と後輩を牽制する時に使うイメージがあります」と清水アナ。「いきる」の次に厳しめの言葉だ。この時、東京出身の三ツ廣政輝アナウンサーが「俺、いちびっちゃった」と発言すると、松井アナが素早く「本人が言うたら、『いてもうたろか!』よ。ボッコボコにしたろかよ!」と反応。NGワードだった。自分で言う時は「ちょけちゃった」の方がいいそうだ。

「罵詈雑言の女王 未知やすえ」に学ぶ

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「おい、コラ!お前、さっきから何ガタガタガタガタもの言わしとんねん!しょーもないことばっかし言いやがってよ!なんやねん!おたふくみたいな顔(辻アナのこと)しやがってよ!」と巻き舌で罵詈雑言まくしたて、最後に可愛らしく「怖かった...」と落として、笑いをとる「罵詈雑言の女王」吉本新喜劇の未知やすえ。このように、お笑い文化の根強い関西では、人を罵るだけではなく、「ボケ」や「ツッコミ」など人々を楽しませる「罵詈雑言」。コミュニケーションが円滑になる言葉として市民にも広がった。
特別ゲストの未知は、登場後、このくだりを披露してくれた。最後の「怖かった...」のオチでは、松井アナは"コケる"まで完璧にしていたが、辻アナはキョトンと棒立ちだった。後に「あの時は怖すぎて足がガクガクでした...」とコメントしていたが、次回、未知の「怖かった...」に参加(?)遭遇(?)することがあれば、ぜひ"コケる"までしてほしい。そんな辻アナを見てみたい。

     ◇

「コトノハ図鑑」(MBS 毎週日 あさ5時45分放送)は、MBSのアナウンサーが「コトノハ図鑑」の編集者として様々な分野の"言葉(コトノハ)"の世界を取材。「アナウンサーが言葉を学ぶこと」を通して、視聴者にも発見を届ける。"コトノハ"を深く知れば、『人生が少し豊かになる』をコンセプトに知的好奇心をくすぐる番組。

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