MBS 毎日放送

2020年02月29日 07時00分 公開

お好み焼きをひっくり返す時に使う"アレ" 「コテ?」「ヘラ?」なんて呼ぶ?

以前、同じ料理なのに2つの読み方がある「豚汁」について、大阪のテレビ番組「コトノハ図鑑」(MBS)が調査し、話題となった。今回、2月23日(日)の放送では「お好み焼きのアレの名前、東西コテヘラ論争!」と題して、お好み焼きをひっくり返す時に使う道具のネーミングを徹底調査。「コテしか聞いたことがない!」と言う関西人に、「いやいや!ヘラでしょ!」と言い切る関東人。この調査の行方は…

「テコ・コテコ」

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取材するのは、MBSの関岡香アナウンサーと三ツ廣政輝アナウンサー。テーマを告げると、大阪出身の関岡アナは「コテでしょ!」といい、「いやいや!ヘラですよ!私は東京で大学時代、お好み焼き屋さんで4年間アルバイトしていました。その時はみんな『ヘラ』でした!」と息巻くのは、東京都出身の三ツ廣アナ。
この時、2人は人気お好み焼き店「ゆかり」で取材していたのだが、店の人にも聞くと答えは「テコ」だった。2人は異口同音に「あれ?テコ!?」。「大きいのはテコで、小さいテコは『コテコ』と呼んでいます」と店員。「コテコ」。なんか響きが可愛らしいではないか。
このように、同じ道具なのになぜ呼び方が違うのか。街行く人にも話を聞くと、「コテ」(大阪出身)、「ヘラ」(千葉、山形)、「テコ」(兵庫)だった。

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さらに、MBSのアナウンサー室でも同じ質問をすると、大阪出身の玉巻映美アナは「コテ」、栃木出身の近藤亨アナと東京出身の馬野雅行アナ、福岡出身の野嶋紗己子アナは「ヘラ」だった。変わったところでは、東京出身の辻沙穂里アナが「おヘラ」と呼んでいたが、そこは「ヘラ」でいいのではないか。

「そばめし発祥の地」
大阪・難波「千日前道具屋筋商店街」を訪れた関岡アナと三ツ廣アナ。お好み焼きの道具を扱っている店を調査することに。ここでは、値札などを見るとほとんどが「テコ」と書かれていた。店の人にも聞くと「ずっとテコって呼んでいますが、ヘラは大阪では言いません」だった。

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そして、次の取材場所は、「そばめし」発祥の地・兵庫県長田区。JR新長田駅前に大きな「アレ」のモニュメントがあったのだが、モニュメント説明文を見ると「新長田"コテ"モニュメント」とあった。
「コテ」だ。

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しかし、実際に「そばめし発祥の店」青森(創業1957年)の店の人に話を聞くと、「テコです。生まれた時からテコ」と答えた。「テコ」だった。
ちなみに「そばめし」は、焼きそばとご飯を一緒に炒めたもの。焼きそばの麺は食べやすく細かくしている。神戸のB級グルメ。

「関西だけ...」

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そして、次は、お好み焼きにかかせないソース会社をリサーチ。兵庫県神戸市にある「オリバーソース」では、「会社ではコテですね。特に話し合いはなく、全員の意見が『コテ』でした」。
また、広島に本社をおく「オタフクソース」にも話を聞くと、「社内ではみんな、『ヘラ』と呼んでいます」と広報部の方。さらに、オタフクソースでは、全国で"アレ"の呼び名アンケートをしたことがあるという。
結果は、関西以外は「ヘラ」だった。関西だけ「コテ」。

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そこで、日本語の語源に詳しい、京都先端科学大学の丸田博之教授に話を聞くことにした関岡アナと三ツ廣アナ。丸田教授は「似てるんでけど、コテとヘラは全然違う道具なんですよ。用途が違うのです」。

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つまり、コテは、「上から押さえて塗る作業の道具」で、ヘラは、「塗る時にも使い、剥がす時にも使う道具」。ここまでの解説でピーンときた方は、「上から押さえる作業・コテ=お好み焼」、「塗る&剥がす作業・ヘラ=もんじゃ焼き」をイメージしたのでは。丸田教授によると、「東西のソウルフードの作り方の違いが、名前の違いを生んだ」という。

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また、「ヘラ」にまつわる慣用句も解説した丸田教授。「ヘラを使う」という意味、分かるだろうか。
これは、「ヘラ」が塗る・剥がすの二刀流の道具なので「どっちつかずで優柔不断」という意味。
「ヘラヘラしたやつ(優柔不断を批判した言い回し)」なども、「ヘラ」が語源で、「コテコテの大阪弁(度が過ぎる大阪弁)」も、「『塗って、塗って上から押さえる』のコテからきている」と、丸田教授。

「ザギンでシースー」

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「コテ」と「ヘラ」。東西で呼び方が違うのは分かった。しかし、道具屋筋やお好み焼き店では、「テコ」が多かったのはなぜなのか。「コテ・テコ...。だんだんコテがテコになった。言葉をひっくり返す業界用語ですね」と丸田教授が説明すると、関岡アナが「ザギン(銀座)でシースー(寿司)!」と言っていた。言葉をひっくり返す「業界用語」は、昔のテレビ業界の人だけが使っていると思っていたが、お好み焼き業界も...。
結局はテコでもコテでもヘラでも何でもいいから、美味しくお好み焼きを食べられればよいのだ。今回の調査結果、「東西の食文化が名前の違いを生んだ」と締めくくっていたが、この番組を見た人(特に関西人)は、番組の中盤あたりからお好み焼きが無性に食べたくなったのではないだろうか。

     ◇

「コトノハ図鑑」(MBS 毎週日 あさ5時45分放送)は、MBSのアナウンサーが「コトノハ図鑑」の編集者として様々な分野の"言葉(コトノハ)"の世界を取材。「アナウンサーが言葉を学ぶこと」を通して、視聴者にも発見を届ける。"コトノハ"を深く知れば、『人生が少し豊かになる』をコンセプトに知的好奇心をくすぐる番組。

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