MBS 毎日放送

2019年05月10日 10時30分 公開

'80年代に流行った「夜露死苦」から 漱石が考えた意外なあて字を徹底調査!

 「夜露死苦」「来夢来人」「母恵夢」。『この3つの「あて字」はなんて読むのかわかるだろうか?』と書こうとしたが、なんと…“よろしく”とパソコンに打ち込むと「夜露死苦」、“らいむらいと”は「来夢来人」に、“ぽえむ”は「母恵夢」と普通に変換できた。つまり、このような“凝った”あて字でも世の中に浸透しているのがわかったのだが、5月5日(日)の朝に放送した「コトノハ図鑑」(MBS)では「言葉の見方が変わるかも!? ~あて字のルーツを探る~」と題し、意外な「あて字」に焦点をあてた。取材はMBSの来栖正之アナウンサーと古川圭子アナウンサー。「これもあて字だったの!?」という意外なあて字とは?

「気魔愚麗」「異奈津魔」・・・なんて読む?

 共に1980年代に学生時代を過ごしたという入社31年目の来栖アナと入社27年目の古川アナは、その時代に流行った文字などを「刺繍」してくれる大阪・堺市にある「翔企画」を訪れた。先に出た「夜露死苦」や「愛羅武勇(アイラブユー)」「愛死天流(アイシテル)」は80年代、少しやんちゃをしていた、いわゆる"ヤンキー・ツッパリ"だった人らが考案したといわれている「あて字」。学ランの裏地や特攻服などに刺繍していたという。当時は「横浜銀蝿」というバンドの人気もあり、これらの「あて字」は一世を風靡した。
 アナウンサーという職業になるような方々は、このような世界からほど遠い学生時代を過ごしていたと想像するが、この店の取材で古川アナが「私、スカートを巻き上げて短くしてましたけど」と明かした。アナウンサーの中でも「夜露死苦!」の雰囲気が全くない古川アナだけに少々意外だ。続けて『※「気魔愚麗」や「異奈津魔」「仏恥義理」はなんて読むでしょうか?』の問いにも2人はスラスラと答えていた。

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また、難題の「羯徒毘」もすぐに「カットビ!」と即答。ちなみに、この言葉の意味は「かっ飛ばす=激しい勢いで物を飛ばすこと」が派生して「かっ飛び」になったという。
※正解は「キマグレ」「イナズマ」「ブッチギリ」

万葉集「余能奈可波(よのなかは)」

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 日本人が「あて字」に出会ったのは、弥生時代。明治大学あて字研究家の田島優教授は「卑弥呼(ヒミコ)、邪馬台国(ヤマタイコク)などの言葉は、中国人が日本人の発音を聞いてあて字にしました」と解説。もともと文字を持たなかった日本人は、口頭でしか物事を伝えられなかったが中国からやってきた漢字を日本語にあてたことが「あて字」の始まりになったという。こうして書かれたのが「万葉集」。この中の一節に「余能奈可波(よのなかは)」など、漢字そのものには意味がないが言葉の響きであて字にした言葉もある。それから漢字がめんどうになり、後にひらがなが誕生したといわれている。

意外!「時計」はあて字だった

 次に「これあて字だったの!?」という言葉を紹介した。かなり意外だったのは「時計」。よくよく考えると「ジケイ」「ときはかり」としか読めない。時は「と」と読むのは「時計(とけい)」だけだ。もとは、緯度を計測する道具の「土圭(トケイ)」を同じ仕組みの時を計るもの=「土圭」と呼んでいたが、江戸時代にヨーロッパから機械時計が輸入されたため「土圭」ではイメージが合わなくなり、あて字で「時計」となったのだ。広辞苑にも「時計はあて字」を記載されている。
次に紹介されたのは「普段」。意味は、絶えない間の無いことで「不断」と書く。今では「普段着」「普段使い」などで浸透しているが、辞書によっては「『普段』を認めない『不断』と記載しているところもあります」と田島教授は解説した。

あて字のスペシャリスト・夏目漱石

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 日本で一番売れている文庫本は夏目漱石の「こころ」。漱石は「あて字のスペシャリスト」といわれ、今では普通に使っている「浪漫(ロマン)」も漱石が考えたあて字。江戸時代に生まれ大正5年に亡くなった漱石の時代はまだ漢字表記に現在のように固定されてなく、それぞれ作家が「あて字」を駆使して作品を書いていた。そこで、「夏目漱石のあて字読めますか?」クイズを街行く人々に出題した。
まず「馬尻」。正解は「バケツ」。漱石の作品「門」「それから」「三四郎」などに登場する。次は「空手」。もちろん「カラテ」ではない。正解は「手ぶら」。次に「急勝」はなんて読むか分かるだろうか。答えは「せっかち」。街の人は「言われたら分かる!」と納得していた。最後の問題は「御切買」。クイズに挑戦した街の人からは正解者が続出したのだが...。正解は「おせっかい」。「彼岸過迄」に登場する。

「アナウンサー」をあて字で書くと?

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 このVTRは、取材した2人と山中真アナ、玉巻映美アナと三ツ廣政輝アナの5人で見ていた。そこで、5人に出題されたのは「アナウンサーをあて字で書くと?」。古川アナは「秒単位話手」、来栖アナは「響音者」。「阿ノ吽者」と書いた山中アナは、「アナウンサーの読みを合わせました。また、阿吽(あうん)という言葉も入れて...。何かそれっぽいでしょ」と。玉巻アナは「的確音声化人」。そして、三ツ廣アナはちょっと分かりにくい「照明人」と書いたため全員から「照明さん!?」と総ツッコミが。三ツ廣アナは「分かりづらいところに照明を当てる人という意味です!」と得意げに説明するが、「それが余計に分かりにくいよ!」と来栖アナに言われていた。
また、この5人以外にMBSのアナウンサーにも同じ質問をしその中から選りすぐりを紹介した。古川アナの夫・亀井希生アナの「伝事人」や福島暢啓アナの「有無云喋」などを取り上げた。中でもウケを狙って書いたのか真剣なのか分からない松井愛アナの「口先三寸放送人」は、言い得て妙。松井アナらしくもあって、1番しっくりした。

「コトノハ図鑑」(MBS 毎週日 あさ5時45分放送)は、MBSのアナウンサーが「コトノハ図鑑」の編集者として様々な分野の"言葉(コトノハ)"の世界を取材。「アナウンサーが言葉を学ぶこと」を通して、視聴者にも発見を届ける。"コトノハ"を深く知れば、『人生が少し豊かになる』をコンセプトに知的好奇心をくすぐる番組。

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