■2019年11月12日

京都市立岩倉北小学校

講師:岸本文利(役員室) 参加者:小学5年生 55人
今回は、ベルリン支局での海外特派員の経験もある報道歴20年のベテラン岸本文利が「ニュースを伝える仕事」と「海外特派員時代の経験談」を話しました。
以下、講義を担当した岸本文利の感想です。

京都市左京区にある岩倉北小学校は、隣の小学校が私の母校で、今も実家が近くにあるとのことで、地元に恩返しができると勢い込んでやって来たのだが、準備を始めてまもなく、校長先生が「すみません。ちょっと外さないといけなくなりまして」と切り出された。「どうかされましたか?」と尋ねると「ちょっとクマが出たようでして」と説明される。
岩倉は洛北の山々の麓だ。私は生まれて大学を卒業するまで22年間岩倉で暮らしたが、サルは出てもクマが出た記憶はない。とうとうクマが出る様になったか、と野生動物の環境変化の深刻さを故郷を通じて改めて感じる事になった。

子どもたちにニュースが放送されるまでをまとめたDVDを視聴してもらい、さらにカメラの前で原稿を読んでもらった。
20年間の報道経験から海外取材で危険な目にあった話もした。子どもたちはクマが出た事をそれほど気にしていないようで、騒ぎになることもなく粛々と授業は終わった。
帰り際に校長先生から「クマそのものを見たという情報は結局なく大丈夫でした。ただ、こうした情報は今年2回目で、岩倉よりも都市部にある修学院でクマの目撃情報があり、近隣の2つの小学校が休校になりまして」と教えられ、ホッとすると同時に日常茶飯事のような出来事になっていた事にさらに驚かされた。
授業中「なぜ危険な場所に行って取材をするのか」など子どもたちから人生を問われるような質問を受け、「それはね・・・」と汗をかいて必死で答えながらも、窓の方をチラチラと不安げに見ていた私に子どもたちは感づいただろうか。