矢野和美役/石田 ひかり
台本を読んで最初はこんがらがりました。何度も読んで、だんだん理解できてきました。自作自演があったり、どんでん返しがあったり、完成したら面白いものになると思っています。私の演じる和美は想像を越える体験をしてますよね。だから…なかなか言葉としては思い浮かびませんが、ほんとうに大変な人生を送ってきたんだろうなあ、と。でも、根底に残り続けているのが“恨み”というのが気の毒だなあと思いますね。犯罪に巻き込まれて、だまされて、別れたままの父親をどんな手を使っても捜そうという気持ちはわかります。でも和美と同じ行動(殺人)をとるかというと…決してそうではないはず。人生の中で許せない人がいるということはとっても悲しいことですが、そこが人間臭いところでもあると思います。本当に犯人はひどい人ですからね。

犯人役はこれまでやったことはないと思います。サスペンスでも犯人を追う方でした。和美はずっとウソをついている役ですが、お客さんはわかっているから、白々しく芝居っぽくならないよう、あくまで素人が懸命に芝居をしているように見えるよう、工夫していました。見る方がうまくだまされてくれるとうれしいと思います。ドラマでは過去と現在がひんぱんに行き来します。それを結ぶ点がいっぱいあって、繋がっていくところが面白いんじゃないかと思います。