谷崎藍子役/高畑 淳子
パート1から5年も経つと私自身が遺品のようになってきて、遺品が遺品を整理してるみたいに見えないか心配です(笑)。シリーズ第5弾は、初めて台本を読んでもわからなかったんです。3回読んでようやくわかりました。知的レベルが高い台本なんでしょうか。矢崎さん(東京大学文学部に在籍だった)は1回読んで「すごく面白い」と言ってました。それだけ、レベルが高いんでしょうね。しかも貧困ビジネスや今の社会の抱える問題も含んでいて、仕掛けが多い作品です。でも、台本でわからないことが多い方が収録現場でも、作品が出来上がっても発見が多いんです。きっとご覧になっている方も、どんどん、「あ、そうなんだ」とわかってゆくと思います。そういう意味では、今回はより面白いです。
今回はいつもと違うパターンで、藍子が届けるのは物(遺品)じゃないんです。何を届けるかは見てのお楽しみです。犯人の意図もいつもと違う。何が目的なのかわかりにくいのがミソです。
このドラマは毎回、ロケ風景も見どころですが、今回、藍子が訪ねるのは京丹後です。緑がきれいで水がきれいでご飯が美味しくて。それもドラマの年に一度のこのドラマの楽しみです。京丹後では、過去のシーンを撮影しましたが、離れ離れになってしまった家族の過去の時代を演じる方たちとロケ地でご一緒しました。昭和の雰囲気が頭の中で駆け巡って。家族の未来を思うと辛くなりました。こんなに思い入れしちゃ、いけないんですけど。