ホスピスとは、治療の当てがなく余命わずかな患者が、納得できる最後を迎えるために、患者の肉体的・精神的苦痛を和らげ、少しでもよい状態を保てるよう、患者とともに家族の心のケアなども総合的に行なうところです。そこでは、ひとりひとりの人生の最期の日々が、精一杯の希望に満たされ明るく輝いています。
日本のホスピスの草分けといわれる大阪にある淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)。そこで主任看護課長を務める田村恵子さんは、日本におけるがん看護の先駆者として、「どんな時も、人は希望を持っている。人にはそれを見つけ出す力がある」という信念のもと、常に患者に寄り添うサポートを目指し続けています。
ドラマは、この田村さんが経験したエピソードなどをもとにしたオリジナルストーリー。真矢みき扮する看護師のチームリーダー田辺礼子が、「いのち」というタイムリミットに向き合うホスピス病棟の患者ひとりひとりの「心の声」に耳を傾け、どんな時も笑顔を絶やさず、最後まで希望を持って生ききることを支える姿を、外科病棟から転属した若い看護師の目線から描いていきます。幼い息子に自分の運命をどう告げればいいのか悩む30代のシングルマザー、生活保護を受け、身よりもなく自暴自棄気味な40代の肝臓がんの男性、離婚で引き裂かれた娘と会えないまま生涯を閉じようとする50代のキャリアウーマン…。残されたわずかな時間の中で患者たちに起こる”奇跡”とは…!?
『ホスピスの現場がドラマになることに正直とても驚くと同時に、感謝しています。「死をみつめる」ということは誰にとっても大変なことで、世の中はそんなことがまるでないかのように過ぎていきます。ついそこを見ないようにしてしまう人が殆どです。でも。ホスピスという場所は単に死に向かっているわけではなく、亡くなるまでを「生ききる場所」だということを、ドラマを通して少しでも知ってもらえたらうれしいですね。また、がんに悩む患者さんやご家族の方への何らかの導きになればいいなと思います。』
田村恵子さんプロフィール 1957年和歌山県生まれ。 聖路加看護大学大学院前期博士課程修了。大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。がん看護専門看護師。1987年から淀川キリスト教病院勤務。現在、ホスピス主任看護課長。がん患者、家族へのホスピスケアに精力的に取り組み続けている。著書に「また逢えるといいねホスピスナースのひとりごと」(学研)、「余命18日をどう生きるか」(朝日新聞出版)がある