 それほど遠くない未来。沖縄近くのある架空の島、無論島。米軍基地が撤退したばかりのこの島に、東京から一人の男がやってくるところから物語りは始まる。経済学者・玉野は、幼少時代を過ごした“無論島”へと帰島した。全ては、基地の撤退と共にたくさんの失業者が溢れてしまった島の経済を立て直すためだ。しかし、基地に依存する経済に馴れてしまった島民達は、誰も玉野の話に耳を傾けようとはせず、米軍基地の跡地に自衛隊の誘致をするか、原発の建設をするかで島を二分した抗争をするばかり。 そんな時、一人の老人を連れた紳士が現れ、島民にこう告げる。 「この島には、入るだけで不老不死になる温泉が眠っている」と。 彼こそ、一代で巨万の富を築き、“現代の錬金術師”と呼ばれる、ジョー・福西だった。 温泉発掘の報酬として支払われる札束を前に、二分していた島民たちが一致団結して温泉を掘り始めた。 まもなく噴出した“不老不死温泉”はジョーの先導の下、無論島に巨万の富をもたらしていく・・・。 しかし、玉野はどうしてもジョーを信用できずにいた。何かがおかしい。何かが腑に落ちない。悪い予感ばかりが玉野の心をよぎる。島の人々に警告をするが、ジョーに心酔する彼等に玉野の言葉は届かない。 やがて、その予感をも超えた最悪の事態に無論島は巻き込まれようとしていた・・・。 |