藪原検校
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ストーリー
南米のとある村、人々の集まる場所に瀕死の老人が運ばれてくる。見るとその背中には羽根が生えている。息も絶え絶えに老人はある女の名を呼ぶ・・・「エレンディラ」。その瞬間 老人は天高く舞い上がり、若かりし頃の美しい姿に戻っている。村人の見守る中、彼は、自分の人生を狂わせたファム・ファタール、エレンディラの話を始める。

少女エレンディラは両親を亡くし祖母に育てられている。この鬼子母神のごとき祖母は美しかった自分の過去の栄光の幻影に生き、幼い孫を小間使いのように扱って家事全てを孫におしつけている。ある日、エレンディラは過労から居眠りをしてろうそくを倒し、家を全焼させてしまう。祖母は、その損失は自分で稼いで返してもらう、とばかりに年端もいかぬ彼女を娼婦にして、一日に何人も客をとらせて大もうけ。国中をベッドと共にさまよう流浪の高級娼婦のもとには長蛇の列が。
ある日彼女は、本当の愛を誓う美青年ウリセスに出会う。ウリセスは密輸商人の息子で、彼らはオレンジ商人を装っているがその中にはダイヤモンドが埋め込まれているのだ。目を開けたまま眠り、過去の美しかった自分を巡る求婚者たちの思い出を夢見ている祖母の傍らで、エレンディラはウリセスと愛を交し合う。砂漠で出会った伝道僧の集団が、売春を厳しくとがめて、祖母からエレンディラを奪い去る。修道院の中で、かつてなく平穏な生活を送り、祈りにあけくれるエレンディラ。しかし修道院がインディオたちを西欧的婚姻制度にはめこむべく集団結婚させようとしており、自分も花嫁にされそうになるに至って、修道院を出て祖母と砂漠を行くことを選ぶ。
さて、恋の力は神聖で、ウリセスの触れるものは全てが美しい色に変わってしまう。不思議な力に満ちたこの青年は、ダイヤモンド入りのオレンジをにぎりしめ、エレンディラの行方を捜し求める。
一方祖母は、ますますはぶりよく商売を続けている。今やエレンディラのキャラバンは、露天、写真屋、楽隊などを豪勢につれ歩き、砂漠一番の語り草だ。やっとめぐり合えたエレンディラとウリセスは、祖母からの脱出を試みて、戦争地帯に紛れ込んでしまう。軍隊に応援を頼んだ祖母はあっさり2人に追いつき、彼らの駆け落ちは失敗に終わる。
再び祖母のもとで春をひさぐエレンディラ。彼女たちのキャラバンは砂漠を越えて海を臨む場所に着く。生まれて初めて海を見たエレンディラの心に何かが芽生え、気がつくと祖母を殺そうとしている。しかしどうしても自分ではできず、助けを求めて彼女はウリセスの名を叫ぶ。その声を聞いた彼は、それだけを頼りに彼女を探しあてる。ウリセスは彼女のため、祖母を殺そうとする。しかし毒入りケーキを食べさせても、ピアノが爆発しても何故か祖母は絶対に死なない。不死身の祖母だが、最後にはあたりをうろつく死神の力を借りた青年の決死の刃のもと遂に息絶える。祖母が本当に事切れたのを確かめるや、エレンディラは呆然自失のウリセスを残し、ひとり走り出す。

これはこのあたりに語り継がれる物語だ。そしてこの村に住む著名な作家がそれを小説に描いた。しかし、作家には疑問があった。なぜエレンディラはウリセスを残し、一人旅立ったのか?その秘密が、今解き明かされる・・・。
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