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◆第1話「父さんの殺人」

脚本 江頭美智留
監督 北川敬一
出演 佐野史郎、松田悟志、小野真弓 ほか
先立たれてしまった妻の代わりに、精巧なラブドールを愛していた吾郎(佐野史郎)。娘夫婦との同居を機に、ラブドールを処分しようと試みるが、娘夫婦に殺人および死体処理をしていると勘違いされてしまう。

佐野史郎さんインタビュー


Q1今作で演じられた“大島吾郎”は、佐野さんから見てどんな男性でしたか?また、吾郎の気持ちに共感出来る部分、出来ない部分がありましたらお聞かせください。

謎ですよね。監督ともお話ししながら作りましたが、実体が見えない。
ただ、僕としては、家族再生の物語として、あのリアルドールは、生きている妻と「人形ごっこ」をして、娘たちの幸せを祈る儀式を行っていたと解釈しています。
もしかしたら、妻を殺して、人形だと見せかけ、愛人関係にあったリアルドールを派遣した女性と共謀したのかもしれないし、本当に、ただのリアルドールだったのかもしれない。
最後に人形が目を閉じたのも、夢だったかもしれませんしね・・・。
まったく、何を考えているのかわからない男です。
でも、それを演じたのは、僕なので、おおいに共感しています。
最後に「海に行こうか」と妻に語りかけたのは、ゆったりとした休暇をも想わせるし、二人が死を決意しているようにも思え、ますます、謎が深まります。


Q2サナエの“リアルドール”は239万4千円というとても高額な商品でしたが、佐野さんがもしも“リアルドール”をオーダーするとしたらどんな人形を作りたいですか?また、いくらまで人形にお金をかけられますか?

え?安いでしょう!?
Q1でもお答えしたように、あれは、人形ではないと思っています。
先輩の四谷シモンの人形の値段が相場かな?
人形は、書いて字の通り、「ヒトガタ」。
自分という「ヒトガタ」にいくらかけるかということでしょうし、高けりゃ良いってもんじゃないでしょうしね。
娘にかけている金額を計算したことはありませんが、金額だけでは計れないでしょう。
愛情を金額に換算しなければ愛の重さを共通認識できない、現在の日本、メディアの認識に、絶望するばかりです!
まあでも、あきらめずに、こうして生きて行こうとは決意をあらたにしているところです。


Q3陳内さん演じる“佐伯”から見たら「こんなモンに240万もバカじゃないっすか?」というようなリアルドールでしたが、人から見たら同じことを言われそうな買い物を佐野さんはしたことがありますか?

本や、レコード、CD、ギター等々、興味のない人にとっては価値のないものに、ずいぶん費やしてきましたが、無駄だとは思ってないですよね・・・。
他人から見たら、バカバカしいと思われるものでも、本当に大切ならば、大切にすればいいとは思うのですが・・・何故、自分の価値観より、
多くの人が価値を認めるものに、依存しようとするのでしょうかね?自戒をこめて…。

Q4娘夫婦に離婚の危機が訪れたところで物語は終了しましたが、佐野さんは娘夫婦はその後どうなったと思いますか?また、その理由は何ですか?

諦めて、自分の主張を押し通すことより、相手の想いを受け止めるように努力しながら、家庭を再構築して行っていると思います。
「私」「成長した自分」「勇気をもらう」といった要求をする、「自分」というものが初めからあって、その「自分」の理想とする「夢」が、どこか
「自分以外」にあり、その報酬を待ち受けている様な態度では、不毛だと、親夫婦が演じた猿芝居から教わったと、信じたいから。

Q5佐野さんご自身の“あり得ない”経験がありましたらお聞かせください。

まあ、こうして、生きている事自体ですよね。奇蹟だと、あらゆる存在、現象に感謝しています。月並みですが、家族、友人、仲間、祖先、宇宙の始まりに感謝!!

Q6最後に視聴者の皆さんに見所を合わせて一言お願いします。

さて、いったい、リアルドールと呼ばれていた物体は、本当に人形だったのでしょうか!?それとも、殺された妻の死体?人形を演じていた妻だったのか・・・?よ〜く、ごらんください!!!
あと、個人的に気になったのは、娘役の小野真弓さんかな?
こういっちゃ失礼かもしれないけど、もっともっと評価されていい女優さんだと思います。失われた色香、情愛を感じさせる、昭和の香り、銀幕の女優さんの香りがするのですが・・・いかがでしょう?要チェック!!

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