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井上 雅雄アナウンサーのブログ

井上雅雄のKICK OFF

更新:2006年1月6日
『2006・波乱の幕開け』
新年明けましておめでとうございます!2006年は早くもスポーツ界は波乱の年?でしょうか?
箱根駅伝で駒沢大学が5連覇を達成できなかった1月3日、
同じく花園ラグビー場でも、5連覇の期待がかかった啓光学園の花園伝説が止まりました。
81回大会から84回大会の4連覇。それに今回の85回大会の準々決勝までで、
実に1320分間花園のグラウンドで勝ち続けた啓光学園の連勝はついに「22」でストップしたのです。

私も昨年から高校ラグビーの中継に携わるようになり、
2004年・2005年と啓光学園の試合を実況させていただいています。
前回の84回大会の時、私が感じた花園ラグビー場内は「まさか高校ラグビーで4連覇はないだろう」という空気でした。
記虎監督から杉本監督にバトンが渡されたという事実。
それに当時の上田主将(現・早大)も「僕たちは昔から弱い学年だと言われてましたし、4連覇なんてとんでもないです。
僕たちは常に挑戦者なんです。」とまるで獲物に襲い掛かるような目をして挑戦者を意識していました。
そして何より他のチームが、さほど啓光学園を意識しているようには私は感じませんでした。

今年、大阪府予選の決勝前取材で啓光学園にお邪魔した時、杉本監督がこんな話をしていたのです。
「今年のチームは去年のチームより個々の能力は上ですよ」これを聞いた時、私は啓光学園5連覇?と瞬時に考えました。
しかし、杉本監督が
「ただ、去年のチームほどチャレンジャーじゃない。今年1年間ほとんどのゲームで、
相手の挑戦を正面から受けてたつような横綱ラグビーをしようとするんです。」
詳しく聞くと
「中学時代から強いと言われてきた学年でしたし、心のどこかで自分達ならなんとかなる!という余裕がでてしまうんです。
試合開始からリズムにのれない時もあるし、ここ一番の集中力が去年よりも足りないですね。
ただ土壇場に追い詰められたら強さを発揮するんですよ。」

それから一ヶ月。
今大会の花園の空気は明らかに前回とは違い、
各校が「絶対に啓光に勝つ」という殺気立った空気になっていました。
啓光学園の初戦はミスが目立つ試合展開になり、熊本の荒尾高校に15−3の僅差で勝利。
この試合を見終わった私の頭を、あの杉本監督の言葉がよぎりました。「土壇場にならないと…」
そして試合終了後、杉本監督は
「5連覇という周囲からの言葉がなければ…と思いたくなる時もあります。
でも今日の試合でマスコミも啓光5連覇と書かなくなるでしょう!」
今思えば、その時の杉本監督からこぼれた笑顔がプレッシャーを物語っていたのかもしれません。
そして1月3日…
大阪工大高校に負け、5連覇の夢がついえた後のロッカールームは
今まで幾多の挑戦者を退けてきた王者の姿ではなく、涙を抑えきれない高校生達の姿でした。
そんな彼らを見ていて私は啓光学園を取材した時の事を色々思い返していました。
4連覇後の今年、啓光学園は毎週のように招待試合というハードスケジュールの為
チームとしての調整もままならないほど。そして他校の視線(打倒啓光)を感じ続けての試合。
知らず知らずの内に選手達の中で、5連覇へのプレッシャーが日に日に大きくなっていってしまったのかもしれません。
本来なら大会期間中に多くの事を自然と吸収して強くなる啓光学園ですが、
今回は「多くの事を吸収しなきゃいけない!という思いから、自分達のラグビーを見失ってしまったかもしれない」と
選手が試合後話していたように、かなりのプレッシャーが選手達を覆っていたのかもしれません。

高校ラグビー界では「花園に魔物が潜んでいる」と言われますが、
私は今大会、信じられないミスを重ね続けた啓光学園のラグビーを見ていて、
選手達が目の前にいる対戦相手ではなく、別の大きな壁と戦っているように感じました。
もしかするとそれが花園に潜む魔物だったのかもしれません。

余談…私もかつて同志社香里高校のラグビー部員として啓光学園に敗れ続けました。
今でも啓光学園出身の選手達(二の丸友幸・田中洋平・表健二)と話す機会がありますが、
私自身心の底で、強かった啓光学園にいつまでも強いチームでいて欲しいという憧れに近い思いがあるのでしょう!


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プロフィール

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名前:井上 雅雄
生年月日:1979年8月16日
入社年:2003年
出身都道府県:大阪府
出身大学:同志社大学
趣味:ゴルフ(年間50ラウンド以上)、ゴルフショップ巡り、ゴルフ中継を見る、ゴルフ雑誌を読む、家で素振り
何でもひとこと:それぞれのお酒(ビール・焼酎・日本酒・紹興酒・ワイン)に合う、魚の美味しいお店を求めて、日々食べ歩いています。刺身・焼き魚・煮魚・ムニエル・天ぷらなどなど、酒の魚(肴)を追い求めています。美味しい魚とお酒に出会った時、それが最高の瞬間です。漁師に憧れています。

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