
来栖 正之アナウンサーのブログ

- 更新:2009年11月27日
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ランフランコ・デットーリ
ジャパンカップの実況に東京に行く
今年はコンデュイットというヨーロッパでも大活躍した馬が出走するので楽しみにしているのだが、 来年から日本で種牡馬になることが決まっているのでジャパンカップに出走しに来るのであって、も しそうでなければ、ホントに日本まで来たかと考えると首をひねりたくなってしまう。
ジャパンカップに外国の大物が来なくなったのは、長距離の輸送で馬に負担がかかることや、ジャパ ンカップに勝利したからといって、あまり評価されなくなったこと、さらにアメリカのブリーダーズ カップから日数が無いことやドバイワールドカップなど高額賞金のレースができたことなど、いろい ろ理由はあるだろう。
もちろん日本馬のレベルアップもあると思う。調整レベルの外国馬では簡単に勝てなくなったのも事 実である。
わたしもジャパンカップは数あるG1レースの中で最も多く実況してきたレースである。それだけに 思い入れもあるのだが、なかでも96年のシングスピールと02年ファルブラヴは強烈に覚えている いずれもデットーリ騎手が騎乗していた。
はじめてデットーリジョッキーを東京競馬場の検量室前で見た時は、めっちゃ男前でおしゃれな印象 が強く、スマートな騎乗をするのではないかという雰囲気が漂っていた。それがレースになると圧倒 的な力強さに圧倒され、『すごい!』という言葉ばかり連発してしまった思い出がある。
シングスピールもファルブラヴもデットーリでなければ勝てなかったような気もしている。
サンデーサイレンス参駒の活躍で日本馬のレベルもあがったが、デットーリのような騎手は日本には なかなか出てこないと感じたのもこのときがはじめてである。
今年はどの騎手が魅せてくれるのか。JCは私も大好きなレースのひとつである
- 更新:2009年11月20日
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思い出のマイルチャンピオン
今年の秋のG1レースはホントに荒れますね。21世紀になって秋のG1で1番人気の馬がここまで勝ててないのは今年が初めてのようですよ。
22日に京都競馬場で行われるマイルチャンピオンシップも難しいでしょう。天皇賞を勝ったカンパニーが一番人気に支持されるでしょうがどうなるんでしょうか?
近年のこのレースは人気の馬が1,2着にくることが多く、比較的堅い結果になっています。しかしながら私が実況した中で最も印象深い優勝馬は2000年のアグネスデジタルです。
13番人気で優勝しただけでもすごいのですが、レースリプレイを見るとゴール前で一度行く手を阻まれて完全にブレーキをかけながら、もう一度伸びて差し切ったレースです。
今週の栗東トレセンで、アグネスデジタルを管理されていました白井調教師に振り返ってもらいました。
「デビューして(マイルチャンピオンまでに)5勝してたんだけど、いずれもダートのレースで芝では良い結果が残せてくてね。今思えば本格化していなかったんだろうね」
確かにダート戦でデビューし(2着)2戦目で初勝利を挙げ、3戦目に芝でレースをするが、勝ち馬から1.2秒遅れの8着。その後、ニュージーランドトロフィーやNHKマイルカップにも出走するが良積は無かった。
「秋になって調教助手が『走りが春とはちがって大きくなっています』というんで、それなら芝でもレースできるだろうと思ってマイルチャンピオンに出走させたんだけど、正直半信半疑だったよ!具合が良かったのは感じていたけど勝てるなんて思ってもいなかった」
これは正直は気持ちだろう。ダートでは良い走りは常に見せてきていたが、芝では3着が最高の成績。単勝オッズ55倍という数字にも白井さんは仕方ないと思っていたと言う。
「人気が無いのは仕方ないよ。実績が無いんだもの。それより走りが変わってきたというところをどこかで見せて欲しかったんだよ」
マイルチャンピオンのレース道中は後方から、4コーナーでも後ろから3,4頭目だった。それからがすごかった外を回って、ぐんぐん上がろうとする。しかし、前にいた馬が邪魔になり、普通ならそこで完全にあきらめざるをえないぐらいの急ブレーキを掛けることになる。
「あのときは『あ〜あ』と思ったね。よし行け!と思った瞬間だったから」
けれど、ここからがすごかった!デジタルは態勢を立て直し、外に出すと、そこから驚異的なスピードで追い上げ、前にいた10数頭を一気に交わし、先頭でゴールしたのである。
「一度あきらめかけただけに信じられなかったね!外から差し切った時には体が震えたよ」
13番人気のアグネスデジタルの勝利だった。その後の活躍は皆さんもご存知通りである
外国産馬は早熟な馬が多いように感じてるのだが、デジタルは違った。
「普通はセリで、ある程度完成された外国産馬を買って来るのだけど、この馬は生まれてしばらくしてから買ってゆっくりと大事に育てたんだ。だから7歳までがんばってくれたんだよ」
今ではデジタルの子供たちが競馬場を沸かせている。
「3歳の時点では今のデジタルは考えられんかったけどね。でもこんな予想外は大歓迎や」
笑顔の優しい白井調教師である
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プロフィール

- 名前:来栖 正之
- 生年月日:1964年5月29日
- 入社年:1989年
- 出身都道府県:茨城県
- 出身大学:千葉大学
- 趣味:落語
- 何でもひとこと:今年50歳になります。そば打ち、山登り、ボルダリングなど、やりたいことばかり。今年はアクティブに!そして痩せます。
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