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森本 栄浩アナウンサーのブログ

森本栄浩の青春甲子園

更新:2003年1月21日
新年おめでとうございます。年が改まったかと思えば、31日の選考委員会まであとわずか。先日、出場校の地区別学校数も正式発表され、21世紀枠候補の9校も承認されました。朗報が届くのももうすぐですね。
年末年始は高校ラグビーで花園通いでしたが、高校サッカー、アメフトのライスボウル(高校スポーツではありませんが)など興味深いスポーツイベントが多く、連日、楽しませていただきました。そこで、今回は高校野球とは全然関係ない(関連はありますが)話題でお茶を濁したい?と思います。
高校ラグビーは大阪の啓光学園が連覇を果たしましたね。高校ラグビーでは、地域レベル差がかなりあり、毎年上位にくる学校はほとんど同じです。それでは、以下に高校ラグビー上位進出校16校をふたつのグループに分けます。

A−東福岡、伏見工、国学院久我山、佐賀工、青森北、天理、東海大翔洋、日川、秋田工、報徳学園
B−啓光学園、大阪工大高、流経大柏、大分舞鶴、清真学園、四日市農芸

どういう基準で分けたか、おわかりですか。
答えは、「A」は甲子園出場経験校。「B」は未経験校です。ちなみに伏見工は、昭和28年のセンバツに「伏見」として。東海大翔洋は東海大一と東海大工が合併した高校で、いずれも甲子園を経験しています。
さらに、「A」のなかでも、いわゆる甲子園常連校といえるのは天理、報徳、最近で東福岡といったところでしょうか。
そこでわたしが一体何を言いたいか、というと、それは「ラグビーの優勝校の校歌を演奏してほしい」ということです。高校野球に校歌はつきもので、今では出場すれば必ず甲子園で校歌をきくことができます。高校サッカーも勝者に校歌のプレゼントがあり、(PK勝ちはないようです)、春高バレーも優勝校だけ校歌を演奏してくれるそうです。(見たことはありませんが)
わたしは昭和48年の夏、江川投手の作新学院を破った銚子商の実に短い校歌が好きで、以来、多くの高校の校歌を知っています。しかし、ことラグビーの強豪といわれる高校の校歌はほとんどといっていいほど知りません。啓光学園、大阪工大高、伏見工、大分舞鶴、盛岡工、北見北斗、西陵商、埼工大深谷、関商工、八幡工、山口大津、長崎北などなど。
なにも全試合とは言いません。優勝校だけでいいです。表彰式の前に、1、2分もあれば大丈夫でしょう。校歌は音楽的にはクエスチョンマークのつくものが多いと思いますが、その学校の関係者にとっては特別なものがあるはずです。
甲子園の校歌演奏はオリンピックの国歌演奏、国旗掲揚から生まれたアイデアだそうですが、高校ラグビー日本一にもそんな粋なはからいがあってもいいと思うのですが。
脱線ついでに、校歌のお話を続けましょう。高校野球では春夏とも勝者を称える校歌演奏がありますが、(71回センバツから2回の攻撃前に両校校歌を流すようになりました)春と夏、少しだけ違いがあります。
校歌をきく智弁和歌山。これは西京極球場ですが、甲子園でこの光景を夢見て練習に励んでいることでしょう。
さて、この校歌演奏、春と夏、どちらが先にやったかご存知ですか。正解は春です。昭和4年の第6回大会といいますから70年以上前のこと。夏の校歌は昭和32年の39回大会からです。春は、試合終了と同時に3塁内野スタンドとアルプススタンドの間から楽団が登場し、文字通り勝利校の校歌を演奏していました。この方式は昭和49年限りで終わったようです。というのもわたしの記憶が定かでなく、春は生演奏だったのにいつからかテープに変わったということしか覚えていないからです。まだ子どもでしたから仕方ないのですが、今、その光景を目の当たりにできたら感激するだろうな、と思ってしまいます。
それほど校歌演奏、校旗掲揚は素晴らしい儀式です。
もうひとつ、「テープ」といいましたが、そのテープはどうしているのかというと、春は学校から提出されたものを使用。夏は演奏に歌をのせてテープに仕込んでいます。春の校歌は、毎日新聞社に提出された学校オリジナルのテープを、わが毎日放送のスタジオで整音し、別のテープに再録音して甲子園で使用しています。実はこの作業、結構大変で、音そのものが悪かったり、伴奏が途中で切れていて雑音が入っていたりすると、作業をする同僚が骨を折らないといけません。わたしも立ち会ったことがありますが、30校以上の校歌を仕上げるのに一日では足りないくらいです。このとき、「この音が甲子園で響くんだ」と気持ちを奮い立たせた同僚がいましたが、まさに甲子園の偉大さはだれにも共通ですね。
強豪・天理はこのところ苦戦。ちなみに天理が甲子園でうたう校歌は実は校歌ではありません。「天理教青年会歌」が正式名称です。甲子園のファンにもおなじみの「校歌」。次にきかれるのはいつでしょうか。
夏は予選が終了するとすぐに校歌の譜面を朝日新聞社が集めます。49代表と校数も多いため、短期間に編曲、伴奏、歌唱とすさまじい作業になることは容易に想像がつきます。49校のうち、初出場と久しぶり出場で以前の校歌が少し古くなってしまった学校の20数校分作っているようです。夏の校歌は演奏するミュージシャンも一流で、歌もうまいのですが、欠点もあります。それは、同じパターンでつくっているため、オリジナリティーが失われている、ということです。学校側からすれば、他人まかせにしているため、不本意な歌を流されてしまったと抗議した学校もありました。そんなときは作り直しを強いられるわけですから、主催者サイドも大変です。
夏の校歌演奏にまつわる珍事をふたつ。昭和56年、初出場を果たした秋田経大付(現経法大付)は初戦で興南に快勝。待ちに待った校歌演奏が始まりました。しかし、整列した選手たちはききなれない歌にキョトンとしています。なんと、あろうことか親元の秋田経済大の校歌だったのです。学校関係者が誤って、大学の譜面を送ってしまったのだそうです。2回戦も勝利した経大付ナインは、今度こそ母校の校歌を高らかに歌い上げることができました。
もうひとつは、昭和62年、徳山に勝った東海大山形。ご存知の人もいると思いますが、東海大系列の各高校は、校歌のメロディーが同じです。それが仇になってしまいました。作り手側が、「ちょっと違う雰囲気にしょう」と余計な気を使ってしまい、おちついたテンポをアップテンポにしてしまったのです。
わたしも、全く別の歌かと思うほどの感覚でした。案の定、学校が抗議して作り直す羽目に。2回戦でも勝った東海大山形は今度は「普通の」校歌をききました。このときは、東海大甲府の伴奏に歌唱だけ新しくしたようです。
ほかにも、校歌が長いことで知られる福岡の東筑が、最後のサビの部分をカットされたり、同じく長い京都成章が半分しか出なかったりとトラブルもあったようですが、当事者にとっては大事な大事な母校の校歌ですから、春を担当するわれわれも含めて、細心の注意と心配りが必要ですね。
今年の春も、初めて甲子園の土を踏むであろう高校がどんな気持ちで選考の日を待っていることでしょう。そして、初出場の学校も、「確実に」甲子園で校歌が流れるのです。




プロフィール

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名前:森本 栄浩
生年月日:1961年10月4日
入社年:1985年
出身都道府県:滋賀県
出身大学:関西学院大学
趣味:商店街めぐり
何でもひとこと:高校野球の事なら何でも答えられます。甲子園常連校の校歌が歌えます。

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