田丸 一男Photo

田丸 一男アナウンサーのブログ

田丸一男のことばエッセイ

「第九」はなぜ師走の風物詩となったのか

更新:2014年12月26日
1983年に始まった「サントリー1万人の第九」。その名の通り、毎年12月に1万人がベートーヴェンの「第九」を大合唱する巨大スケールのコンサートです。今年32回目。今や、ドイツ語圏以外で、この曲を原語で歌える人が最も多いのが日本と言われています。なぜ日本では「歓喜の歌」が師走の風物詩となったのでしょうか?

★「第九」が持つスケールの大きさ 

年末にベートーヴェンの交響曲第9番を演奏するのが恒例になっているのは日本だけ。ヨーロッパでは、通称「ハレルヤコーラス」で有名なヘンデル作曲の『メサイア』がよく演奏されます。「第九」は、ドイツでは祝祭時に演奏され、第4楽章の「歓喜の歌」の主題はEU(ヨーロッパ連合)の賛歌となっています。

日本でこの曲が初演されたのは1918年のこと。徳島県の捕虜収容所で第一次世界大戦のドイツ人捕虜たちが演奏したというのは良く知られた話です。

そんな第九が年末になると演奏される理由。それはオーケストラが儲かるからだという説があります。敗戦後、どのオーケストラも財政難で経営が大変でした。第九には合唱があります。演奏会には合唱団のメンバーの知人、友人がチケットを買って聞きにきてくれる。その結果、客席が一杯になって収益があがるのです。

日本では12月に入ると各地で演奏されます。年末に演奏され始めたのは1940年代後半。当時、第二次世界大戦直後だったために日本はとても貧しく、多くの人が苦労をしていました。そんな中、『歓喜の歌』の名前でも親しまれる前向きなイメージの第九のメロディが魅力だったといわれます。

さらに「第九」には作品としての大きさがあります。カラヤンの指揮で66分。演奏する側も、聴く側も、何か大変なものを演奏した、とか聴いたという満足感がこの一曲で得られることに魅力があるのだと思います。その満足感で年を越したいという気持ちが年末にぴったりなんでしょう。

クリスマスイブはいつのこと

更新:2014年12月25日
クリスマスは25日、クリスマスイブはその前日24日。23日をイブイブなどという人もいます。でも本来は24日の夜が「聖夜」なんです。25日の夜はクリスマスではないって知っていましたか?

★25日の夜はクリスマスではない!

国語辞典(三省堂・新明解国語辞典)でクリスマスを調べると

クリスマス…「キリストの降誕を祝う祭日」(12月25日)聖誕祭。
クリスマス・イブ…クリスマスの前夜 とあります。

Silent Night, Holy Night…聖夜=クリスマスの夜というと25日の夜と思っていませんか?

クリスマスイブのイブは、“evening”と同じ意味で、「夕方」「晩」の意味で、本来はクリスマスイブというのは「クリスマス前夜」ということではなく「クリスマスの晩(夕)」という意味です。クリスマスの“前日”の夜ではなく、“クリスマスの”夜。クリスマスそのもの、ということです。

★1日の始まりの違い

そして25日の夜は、もうクリスマスではありません。

なぜかというと、現在1日の始まりは午前0時からですが、当時の1日の始まりは日没(夕方・晩=evening)からだったからです。

旧約聖書の最初の書である『創世記』に「“夕べがあり、朝があった”」1日は日没から始まり日没で終わっていたのです。クリスマスの夜(聖夜)というのは、24日の晩〜(クリスマスイブ)であって、25日の夜ではないのです。

現在では、1日の始まりは午前0時です。そのため、24日の晩(クリスマスイブ)は、25日(クリスマス)の前日前夜、という認識が強くなってしまったのです。しかし、ユダヤ暦や教会暦では、1日の終りと始まりは日没です。それらの暦を採用する教会では、クリスマスイブからがクリスマスとなっています。採用していないカトリック教会などは、25日0時からをクリスマスとしていますが、重要な祭日の前ということで「晩の祈り」「前夜ミサ」が行われます。

「先の(衆議院選挙)」のアクセント

更新:2014年12月24日
今朝、衆議院選挙で当選した議員たちが国会に登院しました。ラジオのニュースで「先の衆議院選挙で当選した議員たち」という表現が何度も出てきて、この「先の」のアクセントを迷ったためにNHKのアクセント辞典にあったアクセント(低・高・高)で読んだんですが、間違いでした。

★NHKアクセント辞典に掲載のない言葉もある!

日本国語大辞典(小学館)を見ますと「先(さき)」には

●時間的にそれより前、そのときよりも前
●時間的にそれより後、そのときよりも後 のようにまったく逆の意味があります。

NHK日本語アクセント辞典(NHK出版)で「先の(さきの)」を調べると

「左記の(さきの)」のアクセントは「高・低・低」
「先の(さきの)」のアクセントは「低・高・高」と掲載されています。

実は単純にこれを見て「低・高・高」のとアナウンスしましたら、同僚アナウンサーに指摘されました。

「先の(さきの)」で「低・高・高」というアクセントで読む場合は「時間的にそれより後、そのときよりも後」の意味で使う場合で、「時間的にそれより前、そのときよりも前」の意味では「高・低・低」と発音すべきだというのです。NHKの辞典にはこの意味のアクセントは掲載されていなかったのです。

そこで、もうひとつのアクセント辞典、「新明解日本語アクセント辞典」(三省堂)で調べると…掲載されていました。

先(先に行く)…「低・高」
前(=以前、〜の関白)…「高・低」

冬至になぜ「かぼちゃ」と「ゆず湯」?

更新:2014年12月22日
きょうは「冬至」、1年最後の二十四節気です。一年で一番昼間の時間が短い日に、かぼちゃを食べたり、ゆず湯に入るのはどんな意味があるのでしょうか?

★冬至には滋養のあるものを食べる習慣

毎年、12月22日前後にあたる冬至は、北半球では太陽がもっとも低い一日です。太陽の力が弱くなり、生まれ変わると言われている日でもあります。

冬至が来ると人々は寒さに対する準備をしなければなりません。そこで、この日は出来るだけ珍しいものを食べる習慣が生まれました。とくに冬に向かって体力をつけるために滋養のあるものを食べる必要がありました。地方によっては小豆粥を炊いて食べます。また、コンニャクを食べる習慣もあります。

さらに、京都などでは、「ン」が重なる食べ物、ニンジン、レンコン、インゲン、キンカン(甘露煮風)、ギンナン(炒ってゆでる)、ナンキン(かぼちゃの別名)、カンテン(流し箱で固めて切りる)の7種を味噌仕立てにして「運汁」を作ります。これは「運」「鈍」「根」につながることから、縁起がよいといわれています。

昔は保存できる食べ物が多く無かった中で、長期保存出来て、栄養も多く含まれるかぼちゃが食べられていたことからの由来のようです。

★風邪予防にいい柚子

むかしは毎日お風呂に入る習慣はありませんでした。そこで冬至に邪気を払ってリフレッシュという意味で香りが強いゆずが選ばれました。ゆずには血行促進、冷え性防止、美肌効果、リラックス効果なんかがあるんです。

寿命が長く病気にも強い柚子の木にならって、ゆず風呂に入って無病息災を祈る風習になったと言われています。実際ゆず湯は風邪予防にも効果が高いようですよ。

「チラシ」「ビラ」「フライヤー」の違い

更新:2014年12月19日
年末になると各地でベートーヴェンの「第九」演奏会が開かれます。演奏会のチラシをみると「第九」ばかり。このチラシのことを、人によってはビラとかフライヤーとも呼びます。どう違うんでしょうか?

★撒くのが「チラシ」 貼り出すのが「ビラ」 

「チラシ」は日本語の「散らすもの」→「散らし」が語源です。「ビラ」は日本語で、紙片の片を「びら(ひら)」とも言うことから。また、擬態語「びらびら」が語源だとも言われます。この二つの言葉はすでに江戸時代には使われていました。一方、「フライヤー」は英語のflyerが語源で、かつて飛行機やヘリコプターを用いて、空からチラシをばら撒いて配る方法がとられていたことから「飛ぶもの」をあらわす言葉が当てられました。

さて、違いについて印刷業者の知り合いに尋ねると「境目は曖昧」になってきているそうですが、次のように教えてくれました。

「チラシ」は撒くもの。A4サイズ以上の大きなものが多く、たとえば新聞広告のように新聞の折り込みに入れたりする。

「ビラ」はあちこちに貼り出す=掲示するもの。ポスター。

「フライヤー」は街頭などで配りやすい1枚物のA4程度までの小ぶりのサイズのもので、イベントやショップの宣伝に用いる場合が多い。デザイナーがこの言葉をよく使う。

爆弾低気圧

更新:2014年12月18日
台風並みに発達した「爆弾低気圧」。各地に記録的な暴風雪が吹き荒れています。今回の低気圧、24時間で中心気圧が58ヘクトパスカル下がりました。ここ数年、予報やニュースで使われ始め、浸透してきたかに思える「爆弾低気圧」という表現。気象庁は「使用を控えたほうがいい用語」としています。

★戦争を連想させる表現なので気象庁は使わない

気象庁のお天気相談所に尋ねました。爆弾低気圧の定義は「北緯60度域で、中心気圧が24時間で24ヘクトパスカル以上低下する温帯低気圧」です。緯度が変われば、気圧下降の数値も変わります。

ただこの言葉、「ゲリラ豪雨」と同じく戦争を連想させる表現なので、気象庁の予報文では使用を控える表現として分類されています。一般の方から「不快だ」との指摘が実際にあったそうです。

爆弾低気圧とよく似た表現に「台風並みに発達した低気圧」とありますが、気象庁は「台風は最大風速が秒速17.8メートル以上であるため、『台風並みに』を低気圧に用いても発達程度を適切に表現することはできない」として「発達した低気圧」のほうが望ましいとしています。

TBSの気象キャスター、森田正光さんによりますと「爆弾低気圧」を、最初に日本に紹介したのは気象学者の小倉義光さんで、今から15年以上前に、雑誌「気象」(現在は廃刊)でアメリカの「爆弾低気圧」の事例を書かれていたといいます。

台風は熱帯低気圧が発達したもの、爆弾低気圧は温帯低気圧が発達したもの。多くの視聴者には「台風より強い低気圧がある」という認識はまだ少ないので、猛烈な低気圧について「急速に発達した低気圧」と言うより「爆弾低気圧」と表現したほうがインパクトはあるかもしれません。

囲碁の七大タイトル

更新:2014年12月17日
前回の将棋に続き、きょうは囲碁です。『囲碁の第62期王座戦五番勝負の第5局があり、挑戦者の村川大介七段(24)が井山裕太(いやま ゆうた)王座(25)に249手で白番一目半勝ちし、3勝2敗で新王座に就きました。これで六冠を保持していた井山さんはおよそ1年2か月ぶりに5冠に後退しました。このニュースを理解するために調べました。

★囲碁のタイトル 勝者の称号で格高いのは七つ

将棋は「相手の『王』を取ること」が目的ですが、囲碁は「相手よりも地を多く取ること」です。囲碁のプロは棋士(きし)と呼ばれ、男性には「七大タイトル」、女性には「女流四大タイトル」があります。

きのうまでは東大阪出身の井山裕太さん(25)が、囲碁界史上初の六冠を保持していましたが、若い棋士に負けためにタイトルをひとつ失って五冠になったのです。

囲碁の競技会のことは棋戦(きせん)といい、優勝者には称号などが与えられます。それがタイトルです。

プロ棋士が争うタイトルは日本国内だけでも約20あります。なかでも格が高いものを七大タイトルといいます。
棋聖(きせい)、名人(めいじん)、本因坊(ほんいんぼう)、天元(てんげん)、王座(おうざ)、碁聖(ごせい)、十段(じゅうだん)です。

この七つは、長い期間にわたるトーナメントやリーグ戦で挑戦者が決まり、年に1度、タイトル保持者と挑戦者が対決します。勝者は1年間タイトルを保持し、翌年の防衛戦に出場するという仕組みです。

七大タイトル戦は、日本の囲碁団体の日本棋院(にほんきいん)か関西棋院(かんさいきいん)に所属する400人以上のプロ全員に出場権があります。七大タイトルがそろったのは1977年。最も歴史が長いのは41年から続く本因坊です。この名前は、江戸時代に四つあった囲碁の家元の名の一つから取ったもの。

七大タイトル戦は、新聞社や通信社、またはその集合体が主催。賞金順に序列が付けられ、賞金額の順位が変われば、序列も変わります。賞金4500万円の棋聖が序列1位。毎年開かれる囲碁のタイトル戦としては世界最高額とされます。

棋士のタイトル「竜王」

更新:2014年12月16日
将棋の第27期竜王戦・七番勝負で現役大学院生の糸谷(いとたに)哲郎さん(26)が初タイトルとなる「竜王(りゅうおう)位」を獲得しました。大阪大学・大学院で哲学を専攻する現役大学院生。将棋の世界では初の異色のタイトルホルダーで、ニックネームは「怪物君」だそう。いわゆる3強を破っての竜王はまさに快挙です。将棋のタイトル「竜王位」について調べます。

★将棋の最高位のタイトル戦「竜王戦」

将棋のプロは棋士(きし)と呼ばれ、日本将棋連盟に所属します。プロ将棋界には7つのタイトル戦と、6つの女流タイトル戦があります。7つあるタイトル戦は、竜王戦・名人戦・棋聖(きせい)戦・王位戦・王座戦・棋王(きおう)戦・王将戦と、それぞれ新聞社が主催していて、中でも「竜王戦」は最高峰とされます。

「竜王戦」の仕組みです。
すべての棋士が参加してトーナメント戦をし、その上位11人で挑戦者決定トーナメントの末、挑戦者を決めます。そして毎年10月から12月にかけて竜王と挑戦者が七番勝負を行います。(4勝したほうが勝ち)

段位や年齢に関係なく竜王になれることが特長で、これまで、羽生(はぶ)善治さん(44)、森内俊之さん(44)、渡辺 明さん(30)が「三強」と呼ばれ、7つあるタイトルの全てを独占している状態が続いていました。

しかし、今回、関西期待の星、若手の糸谷(いとたに)哲郎さん(26)がその一角を崩し、初めての「現役大学院生竜王」が誕生したことで、多くの将棋ファンから驚きの声があがっています。

どぶ板選挙

更新:2014年12月15日
衆議院選挙が終わりました。選挙報道には独特のことばがあります。「落下傘候補」「どぶ板選挙」「アナウンス効果」「惜敗率」などなど。今回注目するのは「どぶ板選挙」。なんとなくはわかっていましたが由来までは知りませでした。

★「どぶ板」を踏むように、路地裏まで入り込んで票を得ようと奔走する地道な選挙活動

「どぶ板選挙」は国語辞典にも載っていません。選挙独特の業界用語です。あまりいい言葉ではありません。

昔、下水管が普及していない時代、家の前や裏には側溝がありました。家からの排水や道路の下水が流れていました。それが「どぶ」で、庶民の家では玄関から道路へ出る所のどぶに「板」が渡してありました。それが「どぶ板」です。そのどぶ板を渡って一軒一軒回る様から地道な選挙活動をどぶ板選挙といいます。ただ、公職選挙法では戸別訪問は禁止されているので、地道な選挙活動という意味で使います。表通りを選挙カーで走り、支持団体の力に頼るのではなく「地縁優先型の近隣愛」に頼る方法です。

ただ、今回の選挙でも「組織」でないとなかなか勝てないのがよくわかります。「どぶ板」選挙はある意味、パフォーマンスでしかないような気がします。

「ボウリング」と「ボーリング」

更新:2014年12月12日
後輩のアナウンサーに質問されました。10本のピンを倒す球技は「ボウリング」か「ボーリング」か。もともと、どういう語源なんでしょうか。さっそく調べてみました。

★同じ「bowl」でも語源が全く違う

ピンを倒す競技は「ボウリング」です。「ボーリング」という表記では「穴を掘ること」という意味になります。文部科学省の国語審議会で「球技」を意味する場合は「ボウリング」と表記する、という凡例が出されています。

英語表記にすると、ボーリングは「boring」で、「bore」は「穴をあける」という動詞です。一方、ボウリングは「bowling」と表記し、アメリカンフットボールの「甲子園ボウル」も同様に「bowl」の表記を用います。しかし、ここが言語の複雑なところで、ボウリングの「bowl」とスーパーボウルの「bowl」とでは、同じ「bowl」でも語源が全く違うのです。

スーパーボウルの「bowl」は、いわゆる調理器具のボウルのことを指し、「丸い形をしたつぼみ」という意味のゲルマン語に由来しているそうです。試合が行われるスタジアムの形がお椀型(ボウル型)だったために、「bowl」という名前が使用されるようになったそうです。

一方、ボウリングの「bowl」は、「球」という意味のフランス語「boule(ブール)」が由来で、お菓子の「タマゴボーロ」や「丸ぼうろ」などの「ボーロ」も同じ語源だそうです。 同じ「bowl」でも語源は全く異なるんですね。

★外来語の「長音」は長音符号を付けて書く

日本語の決まりのひとつに「外来語の表記」があります。これは、片仮名で外国語や外来語を書く時のルールです。そこでは、ア・イ・ウ・エ・オの長音を、長音符号(「ー」:明治期には「棒引き」とも言いました。)をつけて書く、と決めています。

言葉の表記の決まりとしては、別に「現代仮名遣い」があります。これは、日本語を平仮名で書く時の決まりです。そこにある用例を見ると、外国語や外来語は含まず、和語と漢語だけが挙げられています。そこでは、オ列の長音だけは「う」と書くとあります。

「お父さん」のような和語でも、「学校」のような漢語でも、「おとおさん」でも「おとーさん」でもなく、「おとうさん」と書く、「がっこお」でも「がっこー」でもなく「がっこう」と書く、という決まりです。

このルールはあくまで和語と漢語だけのようです。ボールは本当はボウルなんでしょうが、外来語なので長音符号を使うようです。

「却下」と「棄却」

更新:2014年12月11日
きのう伝えた裁判のニュース。集団的自衛権・行使容認の閣議決定は憲法違反だとして、広島市の会社員が、閣議決定の無効確認を求めた訴訟の判決で、広島地方裁判所は、訴えを『却下』しました。「却下」と「棄却」は違うのでしょうか?

★法律用語では「却下」は門前払い 「棄却」は審議した結果、認めない

広辞苑第6版(岩波書店)で調べました。一般的な「却下」「棄却」の意味では、よく似ていますが、法律用語としては、使われ方が違い「却下」と「棄却」の意味は異なります。

●却下(きゃっか)
訴訟等において、主として手続き上の申し立てを排斥(はいせき)すること。「忌避申し立て―」「保釈請求―」
棄却と区別して用いるときは、申し立ての内容について、その当否を判断することなく、申し立てそのものを不適法として門前払いすること「控訴―」

●棄却(ききゃく)
裁判所、その他の裁決機関が、申し立てについて審理の上、理由がないとして排斥(はいせき)すること。「請求―」「控訴―」

裁判所が受理した訴訟について、審理の結果、提訴に理由がないとして請求などを退けるのが棄却。申し立て自体が不適法であるとして、理由の有無を判断しないで、門前払いをするのが却下です。

今回の裁判では、「閣議決定は国民の権利義務などに直接影響を与えるものではない」と指摘し、審理もされずに門前払いされた形です。

ボディ・マス指数 BMI

更新:2014年12月10日
やせている女性の割合が12.3%、これまでで最も高くなりました。特に20代や30代の若い世代で高くなっていることが厚生労働省の調査でわかりました。この調査の基になったのが「BMI」という指数。標準体重は「身長(メートル)×身長×22」、美容体重は「身長(メートル)×身長×20」などいろいろ言われますが、世界標準のBMIとはどんなものなんでしょうか?

★やせている女性の割合 過去最高に

厚生労働省は国民の健康状態などについて毎年、調査を行っていて、肥満の程度を示す指数「BMI」の数字を取っています。肥満の判定基準は世界中、まちまちですがWHO(世界保健機関)やアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランスではBMIが採用されています。

BMIはボディー・マス・インデックスの略で、一般に「ボディ・マス指数」とも言います。ベルギーの数学者・統計学者が開発しました。1994年にWHOが肥満判定の国際基準としたことから日本でも健康診断で使うようになりました。「体重(キログラム)÷[身長(メートル)×身長(メートル)]」で求められ、身長と体重を入力すれば、BMIが計算できます。

18.5未満を「低体重」、18.5以上25.0未満を「標準」、25.0以上30.0未満を「肥満(1度)」、30.0以上35.0未満を「肥満(2度)」、35.0以上40.0未満を「肥満(3度)」、40.0以上を「肥満(4度)」としています。

18.5未満のやせている人の割合は、去年は12.3%と前の年より0.9ポイント増えて統計を取り始めて以降最も高くなりました。年代別に見ますと、やせている人の割合が最も高いのは20代の女性で21.5%、次いで30代が17.6%、40代が11%でした。一方、男性では、BMIが25以上の肥満の人の割合は28.6%で、この10年間は比較的高い割合で推移しています。

日本肥満学会によりますと、男性は太りすぎに注意ですが、女性は痩せすぎに注意しなければいけません。体重だけを減らしても、モデルのようなプロポーションにはなりません。体重ばかりでなく、健康的でメリハリのあるボディーラインを目指すべきだとしています。

年賀状「料額印面」の12年越しのドラマ

更新:2014年12月9日
きのうまでに年賀状を書きあげました。といってもパソコンを使いますので、宛先や図柄、挨拶などは印刷し、最後にひとことメッセージを書き込むだけです。来年2015年の年賀はがき、料金を示す「料額印面(りょうがくいんめん)」にドラマがあることはご存知ですか?

★郵便料金を示す証票「料額印面」

最近では、ネットやメールの普及で年賀状を出す人が減っていて、発行枚数が下がり続けています。我が家の子どもたちもほとんど出しません。届いた人にだけ返信しています。実にけしからんと思います。我が家に届く年賀状の7割ぐらいは、パソコンのはがき作成ソフトによる自作、残りは印刷会社に頼んでいるもので、完全な手書きはありません。

来年は未(ひつじ)年です。郵便局で販売している「年賀はがき」は、切手を貼らなくてもそのまま出せます。切手貼るところにすでに「郵便料金を示す証票」が印刷されていますが、この部分を「料額印面(りょうがくいんめん)」といいます。

年賀はがきの料額印面は、来年の干支(えと)がデザインされてます。そこに12年越しのドラマがあることが話題になっています。12年前の2003年の未(ひつじ)年の料額印面は、編み物をする羊がデザインされていました。今回、2015年分では、完成したマフラーを首に巻き、編み棒を持っています。なかなか粋で感動です。年賀状を書く際、ちょっと気にして見てください。

冬場の「注意報」

更新:2014年12月8日
四国山間部の大雪で徳島県の一部地域で孤立する世帯が出ています。近畿各地にも「大雪注意報」の他に「着雪注意報」が出ました。雪の少ない京阪神ではあまり馴染みがないのですが、気象庁が発表する冬場の注意報について調べました。「着雪注意報」「着氷注意報」「融雪注意報」はそれぞれどんな注意をすべきなのでしょうか?

◆着雪注意報

送電線や電話線に雪が付くと、電線を芯にして筒状に雪が覆います。太いときには20ミリほどの直径になるそう。電線が重くなったり、着雪が落ちた時の反動の電線の跳ね上がりで断線したり、酷い時には電柱が倒れることも。列車着雪も大変です。風に巻き上げられた雪が車体に付いたり、床下に付き列車の窓ガラスが割れることもあります。レールの隙間に入り込んで分岐できなくなることも。大雪警報とセットで出ることが多いそうです。

大阪府の発表基準は、「24時間の降雪の深さが平地で20センチ以上、山地で40センチ以上。気温が氷点下2度〜プラスの2度」となっています。

◆着氷注意報

木に氷が付いて枝や幹が曲がったり折れたりするほか、車や建物の窓に付着して見通しが悪くなる。地面に付着するとスリップが起こり、線路や電線にも被害をもたらします。

◆融雪注意報

雪が溶けることにより、洪水や浸水、土砂災害などが起こるおそれがあるときに発表される注意報です。積雪があり、24時間雨量や融雪量、日平均気温、風速があらかじめ定められた基準値に達すると予想されるときに発表されます。

着雪や着氷の注意報は電力会社や私鉄やJRなどの交通機関への注意喚起という意味合いが強いのかもしれません。

「突沸(とっぷつ)」に注意

更新:2014年12月5日
国民生活センターが「突沸(とっぷつ)」でやけどをする事故が増えていると注意を呼びかけています。飲み物などを温めた際に、突然、沸騰が起き、中身が飛び出す現象です。冬場は、電子レンジなどで飲み物を温めるケースが増えますから要注意です。

★レンジでチン 急に噴き出す

味噌汁やコーヒーなどを電子レンジで温めた際に、急に沸騰して噴き上がる現象、それが「突沸(とっぷつ)」です。液体の飲み物を加熱したときに、うまく対流しないことなどが原因で、沸点に達しても水蒸気の泡が出ないことがあります。

その状態で振動を与えたり加熱を続けると、突然、泡が噴き出して中身が飛び散ることがあるのです。これが「突沸(とっぷつ)」です。調味料を加えたときなど、小さなきっかけでも起こり得ます。味噌汁やカレー、スープなどとろみのある食品が要注意です。

国民生活センターに寄せられた具体的な事例では、『電子レンジで豆乳を加熱した際、外に出してのぞきこむと、突沸が起こり顔にやけどをした』などほとんどが顔に被害を受けるそうで、1か月以上のけがが8件、危険な事例が多いといいます。

「突沸(とっぷつ)」はガスコンロやIHクッキングヒーターでも起きる可能性があります。急激な沸騰を防ぐために、とろみのあるもの(味噌汁やカレー、スープ)を温め直す際には、かき混ぜながら温めたり、電子レンジで「オート機能」を使って温め過ぎたりしないよう、注意を呼びかけています。ポイントは温めすぎないことです。

命に別条はありませんでした

更新:2014年12月4日
きょうラジオのニュースで読んだ原稿で「襲われた3人は命に別条はない模様です」という表現がありました。決まり文句のように出てきますが「別条」はどういう語源でしょう。「別状」とはどう違うのでしょうか?

★新聞は「別条」で統一 国語辞典は「別状」が多い

この日の共同通信の原稿では「別条」と書かれていました。この表記、実は国語辞典で見ても「別状」と書かれているものが目立ちます。インターネットで検索すると「別状」40万4000件 「別条」22万9000件と「別状」が倍ほど多くなっています。

NHKの新用字用語辞典(NHK出版)でも「別状」(命に〜ない)と書かれていますが、日本新聞協会の「新聞用語集」(2007年版)には「別条」で統一する旨、書かれています。新聞では「別条」で統一されているようですが、放送はまちまちなのでしょうか。

主な国語辞典で調べてみると「別条」「別状」分かれています。

●日本語新辞典(小学館)
別状・別条…これという変わったこと。また普通とは特に違って問題となるような状態
「別条なくくらす」「命に別条はない」→新聞では「別条」を用いる

●新明解国語辞典(三省堂)
べつじょう「別条」取り立てて言うべき事情「命に―[=さしさわり]はない」(別状とも書く)

●広辞苑(岩波書店)第四版
別条…ほかとかわった事柄、普通と違った事柄「―なく毎日を過ごす」
別状…普通と違った様子。かわったありさま。「命に―はない」

●大辞林(三省堂)
別条…変わった事柄。「―なく過ごす」
別状…普通とは変わっている状態。異状。「命に―はなさそうだ」

●日本国語大辞典第二版(小学館)
別条…他とかわったこと。普通と異なった事柄。またとりたてたこと。
別状…普通とかわった状態。かわった有様。異状。「命に別状はありませんでした」

一丁目一番地

更新:2014年12月3日
政治家が良く口にする「一丁目一番地」。国語辞典を引いても掲載されていません。ここ数年、選挙のニュースではよく耳にするようになりました。どこから来たことばなのでしょうか?

★最初に実施すべき最重要な事柄 最優先課題

報道局の記者に教えてもらいました。政治の世界では、国会の本会議場で当選回数の若い議員ほど前に座る慣習があり、演壇に近い前列の席を「一丁目一番地」と呼び習わしてきたそうです。また霞ヶ関でも、旧通商産業省などで『予算で前面に押し出す目玉政策』を指して「一丁目一番地」と表すのだそうです。

それが、2009年ごろから民主党政権が「最優先課題」という意味で盛んに使い、この言葉が広まったようです。

ちなみに東京の皇居の住所が「千代田区千代田1−1」、また「千代田区永田町1の1」には日本の測量の基準となる「日本水準原点」があり、「一丁目一番地」には重要なもの、原点というイメージがあるのかもしれません。

調べていたら、1957年から1964年に放送された、NHKの人気ラジオドラマに「一丁目一番地」がありました。東京のサラリーマン家庭の日常を描いたドラマです。これは関係ないですが。

国債格付けの読み方

更新:2014年12月2日
アメリカの格付け会社・ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本の国債の格付けをこれまでの「Aa3」から、上から5番目の「A1」に一段階引き下げました。これらのランキング、どうアナウンスすればいいのでしょうか?

★アルファベットや数字を使った記号

国債の格付けは、政府が借金をきちんと返済できるかという信用力を示し、アルファベットや数字を使った記号で示します。アメリカ系のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)やムーディーズ・インベスターズ・サービス、ヨーロッパ系のフィッチ・レーティングス、この3社が大手の格付け会社とされます。

ムーディーズ社の格付けは21段階あります。

一番上がAaa(トリプルA)で、アメリカやドイツ、シンガポールなど8か国、債務履行の確実性が最も高いとされます。
2番目がAa1(ダブルAワン)でイギリス、フランス、
3番目がAa2(ダブルAツー)でクェート、アラブ首長国連邦。
4番目がAa3(ダブルAスリー)で中国、韓国、サウジアラビアです。
そして今回、上から5番目に日本がランキング、A1(Aワン)です。オマーンやチェコ、イスラエルと並びました。
6番目がA2(Aツー)、7番目がA3(Aスリー)となります。

以下Bに9段階、Baa1(Bダブルエーワン)、Baa2(Bダブルエーツー)、Baa3(Bダブルエースリー)、Ba1(Bエーワン)、Ba2(Bエーツー)、Ba3(Bエースリー)、B1(Bワン)、B2(Bツー)、B3(Bスリー)、

そしてCに5段階です。Caa1(Cダブルエーワン)、Caa2(Cダブルエーツー)、Caa3(Cダブルエースリー)、Ca(Cエー)、C(シングルC)

「停留場」の定義

更新:2014年12月1日
阪堺(はんかい)電気軌道は、きょう12月1日から停留場「南霞町(みなみかすみちょう)」を「新今宮駅前」に変更しました。他の路線との兼ね合いや増え続ける外国人観光客への配慮が狙いです。ところで「停留場」は「駅」とは違うのでしょうか?

★ポイントや信号がない電停のこと

阪堺電気軌道は天王寺と堺との間を繋ぐ大阪で唯一の路面電車です。今回の駅名の変更は、南霞町の由来となった「霞町」の地名が1970年代に消滅していたうえ、JRの新今宮駅や大阪市営地下鉄の動物園前駅との乗換駅にもかかわらず、停留場名が違うことで利用者から分かりにくいとの指摘が多かったことからです。

さて「停留場」を国語辞典(大辞林)で調べると、「バス・路面電車などが客の乗降のためにとまる一定の場所」とあります。公益財団法人・鉄道総合技術研究所の「鉄道技術用語辞典」によりますと、『停留場』は「路面電車停留場」のことで「電停」とも呼ばれます。路面電車が停車して客が乗り降りする施設です。駅=停車場のうち転てつ機(ポイント)がなく、出発信号、場内信号もないものを停留場というそうです。

ちなみにバスの場合は「バス停留所」(バス停)といいますが、停留場と停留所の違いは、ポイントをさす場合は「所」、エリアをさす場合は「場」と使い分けているそうです。



プロフィール

田丸 一男Photo
名前:田丸 一男
生年月日:1960年9月11日
入社年:1991年
出身都道府県:大阪府
出身大学:関西学院大学
趣味:ワインとイタリアン、クラシック音楽鑑賞、日本美術と印象派絵画
何でもひとこと:寝起きの良さが強み、朝一番からしっかり声が出せます。ナレーションにはこだわりがあって、硬派から軟派までOK。
もう9年、チェロ演奏が趣味。クラシック音楽が頭に常に流れていますし、庭の草むしりをしながらモーツァルトを口ずさみます。アイロン掛けや料理など家事が好きで、妻からは重宝がられていると思います。

担当番組


田丸 一男アナが千葉 猛アナを30秒で紹介します!