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田丸 一男アナウンサーのブログ

田丸一男のことばエッセイ

31日ない月の語呂合わせ「西向く侍」

更新:2011年11月28日
1年の中で31日ない月(2月、4月、6月、9月)の覚え方・語呂合わせを「西向く侍」と小学校低学年で教わりました。「に」(2月)「し」(4月)「む」(6月)「く」(9月)「さむらい」(11月)と頭文字を並べたものですが、なぜ11月は「さむらい」というかご存知ですか?

★11月は「十」と「一」を縦に並べた「士」(さむらい)

太陽暦には「大の月」(31日で終わる月)と「小の月」(30日で終わる月)があって「西向く侍」は「小の月」の2月、4月、6月、9月、11月を指しています。これを覚えやすいように「にしむくさくらい」と読んだんです。便利な覚え方で今でも使っています。若い同僚に聞いても知らない人も多いので、これを知るのは、ある年代以上の方だけのようです。11月がなぜ「侍」なのか?「武士」の「士」の字は漢字の「十」と「一」を縦に重ねた形に似ているからです。漢和辞典で調べると「士」という字は一字で「武士」のことで「さむらい」とも読むんだそうです。これは知りませんでした。

「やせ我慢」の「やせ」って?

更新:2011年11月17日
朝晩は寒い日が多くなりました。私はスーツ姿で出社しているのですが、家族からは「寒いのに『やせ我慢』しないほうがいい」と言われました。春秋物のスーツは薄着に見えたんでしょう。そこに長女が「お父さんは太っているから『ふと我慢』ちゃうの?」と突っ込んできました。デブの我慢も「やせ我慢」と言うのでしょうか?

★我慢して、平気な顔をしてみせること

「武士は食わねど高楊枝」という「いろはがるた」があります。「高楊枝(たかようじ)」は、食後ゆうゆうと爪楊枝を使うこと。名誉を重んじた武士は、貧しくて食事がとれない時でも満腹を装って爪楊枝を使うことから「見栄を張る」ことをいいます。「やせ我慢」もこれに近い言葉のようです。
大辞林 第二版で調べると「苦しいのを我慢して、平気な顔をしてみせること」とあります。ということは太っていても痩せていても関係ないようすが、何も食べるものがなくて痩せてしまっていても「なんともないよ」というふりをして平然としてみせる・・・ということでしょう。痩せた人が我慢するより、太った人が(貧乏で食べられず痩せてまで)我慢するのが近いかも知れません。

ちょうどこれからが小春日和

更新:2011年11月9日
立冬も過ぎ、ようやく風が冷たく感じられるようになってきました。これから日に日に寒さが増してきます。こんな初冬の時期に、高気圧におおわれて、すきっと晴れ、春のような陽気になることを小春日和(こはるびより)といいます。「小春」と聞くと春をイメージする人もいるかもしれません。

★旧暦10月の異称「小春」

「小春」というのは旧暦(太陰暦)を使っていた頃の10月のこと。現在の暦(太陽暦)では11月になります。ちょうど今頃から12月初めにかけての「春のような陽気」を小春日和といいます。国語辞典を見てみると、小春日和のことは「小春空」、小春のときの静かな海のことを「小春凪(なぎ)」というそうです。低気圧が過ぎ去ったあとに大陸の高気圧が張りだしてきて日本をおおって何日も晴れた日が続くことも珍しくありません。イチョウの黄色く色づいた落ち葉の絨毯を踏みしめたり、ベンチで読書したりとゆったりした時間を過ごすのに最適の陽気です。

★外国でも様々な呼び方が!

海外でもこのような陽気を指す言葉がいろいろとあります。特に有名なのがアメリカの「インディアンサマー」です。日本では「小春日和」と春の陽気を指すのですが、アメリカでは夏の陽気をあらわします。これはアメリカの夏が日本のような湿度の多い夏ではなく、さらりと陽気な暑さだからかもしれません。アメリカ以外の中緯度にある国々では、ドイツは「おばあちゃんの夏」、ロシアは「女の夏」となぜか女性なんですね。イギリスは「聖ルカ祭の夏」と呼び、隣国の中国は「こはるのようき」と日本とよく似た表現です。
こうしてみていると同じ陽気に対して、日本では「春」を当てるのに、欧米では「夏」を当てるところが面白いと思いま日本では厳しい冬の後の「春」に喜びを感じるのが一般的ですが、緯度が高い欧米では春は短く、すぐにやってくる「夏」に人気が集中しているようです。そういえば「ジューン・ブライド」も日本では梅雨のジメジメの時期ですが、あちらでは一年でもっとも良い季節だからこそある言葉です。

助数詞「人」と「名」の区別は?

更新:2011年11月4日
人数を数えるときの「人」(にん)と「名」(めい)。ともに人の数を表す助数詞です。「3人」も「3名」も実質的な数に差はありません。放送で使う場合には、話し言葉に近いという理由から「人」を使うようにしていますが、一般にはどのように使い分けているのでしょうか。ひょっとして、放送でも「名」のほうがふさわしい場合があるのでしょうか?

★「名」は「人」よりも丁寧な言い方

「〜名」と「〜人」という言い方を比較すると、「〜名」の方が改まった印象があります。「大辞林」をみると「名」の項に「『人』よりは丁寧な言い方」と書かれています。逆に丁寧に言う必要の無い場合、例えば、外部に対して身内の話をする場合や、自分の同僚や後輩のことをいう場合、反社会的なことをいう場合は「人」でしょう。「犯人は3名」ですとはいいません。

★定員、定数のある場合は「名」

「新明解国語辞典」には「特に定員のあるものや定数のある場合のほか、改まった表現をしようとする際は、『人』よりも『名』を使うことが多い」とありました。参加者数、定員数、合格者数、卒業者数などリストとして名前を書き出すことができる人数は「名」で数えるということで、一人ひとりが特定できる場合は「名」がふさわしいということでしょう。ただ、慣用的に使う言葉もあります。出前は4人前、(4名前とはいわない)、車は5人乗り(5名乗りとはいわない)です。「名」か「人」どちらを使っても構わないのでしょうが、その場、その場に合わせて使い分ければいいということでしょうか。

★不特定多数の人間の数を示す「人」

MBSでは「人」は不特定多数の人間の数を示す、「名」は特定できる数を表す、と区別しています。「100人乗りの飛行機」「7人乗りワゴン車」などは定員を指し、誰が乗るのかを指してはいません。「隊長以下6名、着任しました」という報告は、そこに名簿が存在し個人が特定できるものです。そこで例えば放送上で募集をする場合、「10人の皆様をご招待いたします」(不特定で定員を指す助数詞を使用)、「私ども3名がお連れします」(引率する人間が特定されている)と区別する。従って『わたくしども3名がお連れする今回のツアーに10人の皆様を募集します』と区別してはどうかと提案しています。



プロフィール

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名前:田丸 一男
生年月日:1960年9月11日
入社年:1991年
出身都道府県:大阪府
出身大学:関西学院大学
趣味:ワインとイタリアン、クラシック音楽鑑賞、日本美術と印象派絵画
何でもひとこと:寝起きの良さが強み、朝一番からしっかり声が出せます。ナレーションにはこだわりがあって、硬派から軟派までOK。
もう9年、チェロ演奏が趣味。クラシック音楽が頭に常に流れていますし、庭の草むしりをしながらモーツァルトを口ずさみます。アイロン掛けや料理など家事が好きで、妻からは重宝がられていると思います。

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