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田丸 一男アナウンサーのブログ

田丸一男のことばエッセイ

「梅雨入り」と「入梅」の違いは?

更新:2011年5月26日
きょう午後、気象庁は近畿、四国、中国地方が梅雨入りしたと見られると発表しました。各地の梅雨入りは、平年と比べて四国で10日、中国地方と近畿で12日、それぞれ早く、去年と比べるといずれも18日も早くなっています。梅雨といえば6月のイメージです。びっくりした方多いんではないでしょうか。過去30年の平均を「平年」といって比較に出すんですが、近畿の梅雨入りの平年日は6月7日です。梅雨明けは7月21日ですから、今年はかなり長い期間、雨に悩まされそうです。ところで「梅雨入り」と「入梅」の違い、ご存知ですか?

★中国や韓国にもある梅雨

今年の梅雨入りはここまでのところ平年より10日前後も早い傾向です。沖縄・奄美地方は4月30日、九州南部は5月23日ごろ、そして近畿はきょう梅雨入りしたとみられると発表されました。きょうの私の疑問は「梅雨入り」と「入梅」の違いです。梅雨って日本独特のものかと思っていましたら、中国の長江下流域や韓国の南部でも、見られるんだそうです。中国では元々湿度が高く黴(かび)が生えやすい時期の雨という意味で「黴雨(ばいう)」と呼んでいました。しかしカビでは語感が良くないため、同じ読みの「梅」をあてて「梅雨」になった、という説が有力です。中国から伝わった「梅雨」という言葉を、日本語で「つゆ」と読むようになった理由もよくわかっていません。

★立春から数えて135日目 

「梅雨入り」「梅雨明け」と区別が付かないのが「入梅(にゅうばい)」です。梅雨入りや梅雨明けは地域によって毎年によって変わるんですが、「入梅」は固定されていて暦の上では立春から135日目なんだそうです。難しくいうと 太陽が黄経80度の点を通過する瞬間。グレゴリオ暦(現行暦) では6月11日だそうです。一方、梅雨入り梅雨明けは気象庁がおこっなっていて梅雨入りの条件は梅雨前線が南から北上し停滞。曇りや雨の日が1週間以上続く見込みと予想される場合に梅雨入り発表となります。明確な基準はないそうですよ。

「近畿」と「関西」の呼び方の違いは何?

更新:2011年5月24日
大阪から伝えるニュースは「関西のニュース」か「近畿のニュース」か。そもそもこの違いは何なんでしょうか。関東に「近畿」に相当する呼び名はあるんでしょうか?

★古代に都が置かれていた奈良、大阪、京都が畿内

辞典を紐解くと「近畿」とは「都に近い国々の意」とあります。近畿の「畿」は都を意味するんですね。つまり近畿とは都周辺ということ。古代の都は奈良にあったこともあれば大阪や京都にも移りました。だから畿内といえばこの3府県のことで、近畿とはその周辺の滋賀県、和歌山県、兵庫県を指すのかもしれません。
一方「関西」の「関(かん)は関所(せきしょ)を意味します。都のあった「畿内」を守るために東海道の鈴鹿の関(伊勢)、東山道の不破(ふわ)関(関が原)、北陸道の愛発関(あらちのせき)(敦賀市あたり)よりも西を「関西、東を「関東」と呼んだのです。

★NHKは「関西」を採用?

現在、NHK大阪放送局から伝えるローカルニュースでは「関西のニュース」ですと呼ぶアナウンサーが多い気がします。数年前までは「近畿のニュース」が多数派でした。関西というと西日本全域のイメージがあり私には違和感があるのです。広島や岡山からのニュースは「中国地方のニュース」ですし香川や徳島からのローカルニュースは「四国地方のニュース」といっていますから関西地方=兵庫、大阪、京都、奈良、和歌山ということなんでしょうね。

★なぜ「近畿弁」「関西南部」とはいわないのか?

ただ、不思議なことがあります「関西弁」「関西文化」「関西風味」とはいいますが「近畿弁」「近畿文化」「近畿風味」とはあまり言いませんよね。「近畿南部」「北近畿」とはいいますが「関西南部」「北関西」とはいいません。ここから考えると近畿は都のあった3都市、地域限定の呼び名なんではないでしょうか。関西は2府4県を広域で指すことばなんではないでしょうか。近畿2府4県という言い方もどうかなという気がします。ですから大阪から伝えるときは「関西のニュース」がいいかも。ちなみに「近畿」に相当する東京での呼び方は「首都圏」だそうです。

もともとは梅雨の晴れ間をさす言葉「五月晴れ」

更新:2011年5月20日
「列島各地で五月晴れ!強い日差しで夏の暑さ」こんな見出しが見られるようになりました。何気なく使っている、この「五月晴れ(さつきばれ)」ということば。5月の初夏、新緑の頃に使うのは間違っているって本当でしょうか?

★誤用が主流になりつつあることば

「五月(さつき)」は陰暦で、今でいう6月を指します。6月といえば梅雨の時期なので、もともと「五月晴れ」は「梅雨の晴れ間」「梅雨の合間の晴天」を指すのです。ただ多くの人は「新暦の5月の晴れ」の意味でも使い始めていて、いわば誤用が定着してきているのです。「広辞苑」で調べてみると次のように記されています。

【五月晴れ】(さつきばれ)
 1.さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間。 
 2.5月の空の晴れわたること。   

現在の5月といえば「初夏の清々しい青空の広がる季節です。やがてこの新暦の5月の青空が「五月晴れ」と呼ばれても、誤用とされることのない時代が来ると思います。ただ本来の意味を知った上で使えれば理想ですね。

★秋の季語=さわやか 抵抗感じますか?

同じように5月の初夏、新緑の美しい時期に良く使う言葉に「さわやか」があります。実はこの言葉は「秋の季語」なんだそうです。今でも初夏に「さわやかな」と使うと抵抗を感じる人がいるといいます。「すがすがしい」「気持ちの良い」「心地よい」「胸がすくような」などなど他にも豊かな表現はありますからうまく言い換えて使いたいものです。

「3階」の読み方は「サンガイ?」「サンカイ?」

更新:2011年5月10日
建物の3階。みなさんは「さんがい」と読みますか?「さんかい」でしょうか。私は「濁る」と習ったのですが、最近は「さんかい」と読む人が増えているそうです。先日、エレベーターの音声ガイダンスで「さんかいです」と聞こえてきました。1階、2階、4階、5階・・・といずれも濁らないのに、なぜ3階だけが濁るのでしょうか?不思議な数字です「3」

★「さんがい」と読む人は減ってきている!

NHKの「ことばの揺れ調査」によりますと「さんかい」と濁らないと回答した割合は3割あまり。年々、増える傾向にあるそうです。まだ「さんがい」と濁るという人が多数派ですが、確かに揺れてきているそうです。日本語では「ん」」などの後が濁音になることを「連濁」といいます。「さん」+「かい」も「さんがい」となるのが連濁です。ただ、不思議なのが「4階」です。「ん」が前についているにもかかわらず連濁にならず「よんかい」なんです。

★むかしは「4階=しかい」と呼んでいた名残

NHKの放送文化研究所の資料によりますと、古い日本語では、「1階、2階、3階、4階」は[イッカイ、ニカイ、サンガイ、シカイ]と言っていたそうです。ところが、「シ」は「死」に通じる、という発想(忌みことば)から、「シカイ」の「シ」を「ヨン」に取り替えて[ヨンカイ]と言うようになりました。「シ」を「ヨン」にそのまま替えただけですから、[ヨンガイ]にはならなかったといいます。4階だけは特別の例外だったというわけです。
言葉は時代と共に変わっていきます、それは受け入れるべきですが、なるべく変わらないように努力しないと、「文化の継承」は難しくなります。ちなみにパソコンに「さんかい」と入力してもすぐには「三階」は出てきません。「さんがい」と入力するとまず出てきますから、これを利用してみるのも手かもしれません。

「ゴールデンウィーク」「大型連休」

更新:2011年5月2日
世の中、ゴールデンウィーク真っ只中。ゴールデンウィークは5月の連休を表わす言葉として日本で定着しています。今年は3連休が2回、有給休暇を使えば7連休、最大10連休になります。本来は4月29日の昭和の日から5月5日のこどもの日までの7日間を指しますが、直前、直後に土曜日、日曜日、振り替え休日がある場合それも含めて言います。一般的になった表現ですが、なぜかNHKはかたくなに「大型連休」と表現しています。

★ゴールデンウィークは映画業界が造った和製英語

「ゴールデンウィーク」の由来はいくつかあります。ひとつは日本の映画界が造った和製英語なんだという説。1951年(昭和26)、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画が、正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、多くの人に映画を見てもらおうと、当時の映画会社の専務が作った造語で、和製英語なんだといいます。小説家、獅子文六(しし ぶんろく)が原作の「自由学校」が当時の最高の売り上げを記録したそうです。当時、唯一の娯楽といえた映画がみんなが休みのこの期間が一年で一番儲かる(動員のある)期間でした。もう1つはラジオの「ゴールデンタイム」からきたという説です。大型連休の期間が最もラジオの聴取率の高い時間帯だったため「黄金週間」といわれていましたが、インパクトに欠けることから「ゴールデンウィーク」になったという説です。どちらの説もはっきりとした確証はなく、はっきりとした由来は分かっていません。映画業界は秋に11月の文化の日を中心とした休日の期間に「シルバーウィーク」を設けたんですがこちらは定着せずに消えていきました。「ゴールデンウィーク」の表現は新聞、テレビ、ラジオでも使われ、一般化していますがNHKだけは「大型連休」を使っています。特定企業の商標ではないのですが、業界の宣伝になってしまうということから当初から使用を控えているといいます。



プロフィール

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名前:田丸 一男
生年月日:1960年9月11日
入社年:1991年
出身都道府県:大阪府
出身大学:関西学院大学
趣味:ワインとイタリアン、クラシック音楽鑑賞、日本美術と印象派絵画
何でもひとこと:寝起きの良さが強み、朝一番からしっかり声が出せます。ナレーションにはこだわりがあって、硬派から軟派までOK。
もう9年、チェロ演奏が趣味。クラシック音楽が頭に常に流れていますし、庭の草むしりをしながらモーツァルトを口ずさみます。アイロン掛けや料理など家事が好きで、妻からは重宝がられていると思います。

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