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「商品の買い取りというサービスを体裁にした新手のヤミ金」専門家が問題提起する『先払い買い取り』とは?集団提訴へ

2022年10月24日(月)放送

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 去年から被害が相次いでいる『先払い買い取り』。ネット上で「商品券などを高値で買い取る」とうたい、商品の画像だけを送らせて代金を前払いして、後日「商品が届かない」として高額な違約金を請求するというものだ。こうした手口は“違法なヤミ金”にあたるのではないのか。業者を直撃してその実態に迫る。

『先払い買い取り』の実態は“違約金ありきの貸し付け”か

 (Aさん)
 「職場とか実家なんかに連絡が行っていたんじゃないかと思うとちょっとゾッとするなというところはありますね」

 大阪府内に住む会社員のAさん(44)。ギャンブルにはまって借金が膨らみ、約10年前に債務整理をした。ギャンブル依存脱却のプログラムを受けていたが、去年9月、パチンコについ手が出て貯金が底をついたという。そこで…。

 (Aさん)
 「たまたま手持ちがちょっと出費があって足りないなと思った時に、ふとネットで見かけて申し込んだのがきっかけですね」

 それが『先払い買い取り業者』。ホームページには「WEBから申込でき、面倒な手順は一切必要なし」「当日現金化」などと書かれている。
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 Aさんが利用した先払い買い取りの仕組みはこうだ。Aさんは業者に対してネットで検索して出てきた商品券の画像を送る。業者は数時間後に買い取り代金として1万円をAさんに先払いする。商品券を送る期限は給料日だったが、実際には商品券を持っていないため、業者から違約金2万円を請求されて支払った。
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 Aさんは商品券を送らず違約金を支払ったのに、業者はさらなる取り引きを持ちかけたという。

 (Aさん)
 「はじめは1万円借りて2万円返します。そうなると当然お給料は2万円減って苦しくなるんですけど、そうすると業者が『1回ちゃんとやってくれたので今度は2万円買い取りますよ』と」
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 つまり、商品券の買い取りは建前で、実際は違約金ありきの貸し付けだったというのだ。Aさんはこの先払い買い取り業者と取り引きを繰り返して、違約金が支払えなくなったため、別の業者とも取り引きを始めた。結局4か月後には7社に計約30万円の借金を抱えたという。

 (Aさん)
 「雪だるま式に膨らんでいって一気に3か月4か月でどうにもならないような状態になった。お給料の手取り分を超えるくらいの金額になっていまして。これはどうにもならんなと」

司法書士「新手のヤミ金で500%~2000%の違法な年利」

 このような先払い買い取りについて、ヤミ金問題に詳しい大阪いちょうの会の山下正悟司法書士は「売買契約を装った違法な貸金業、形を変えたヤミ金だ」と指摘する。

 (大阪いちょうの会 山下正悟司法書士)
 「商品の買い取りっていうサービスを体裁にした新手のヤミ金になっています。500%~2000%くらいの違法な年利になるので、このあたりが出資法や利息制限法に違反するという形になりますね」
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 去年から20代~40代の会社員の間で被害が相次ぎ、買い取るとうたう商品は商品券の他、スマホやゲーム機など多種にわたる。さらにその手口も巧みだという。

 (大阪いちょうの会 山下悟司法書士)
 「被害者自身も商品を送らない前提で利用している。被害者の責任も問われやすいところで契約しているのが今回の手口の巧妙なところだと思います」

業者を直撃するべく取材班は東京へ

 先払い買い取りの実態はヤミ金ではないのか。取材班がホームページなどで確認できた先払い買い取り業者は17社。話を聞くべく東京へと取材に向かった。

 まずは東京都千代田区に住所がある業者を訪ねた。

 (記者)「入れないね。レンタルオフィスで入れません」

 そこはレンタルオフィスだった。中は真っ暗で灯りはついていない。そこでホームページに書いてある番号に電話してみた。
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 (記者)「買い取りとかは実際に行っているのですか?」
 (業者)「私の方から説明するのが難しいので後ほど担当の者が来たら」
 (記者)「ヤミ金だとかそういう指摘もありますが?」
 (業者)「そういうことではないと思いますけど」
 (記者)「ヤミ金では全くない?」
 (業者)「はい」

 ヤミ金であることは否定したが、詳しくは答えず、その後、連絡は付かなくなった。
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 そして取材班は別の業者の住所を訪ねた。

 (取材に応じた人)
 「弊社がバーチャルオフィスなので、もしかしたらその会社さまに住所を貸し出しているかもしれないのですけど、実際にその企業さまがここにいらっしゃたり何か作業されたりということではなくて」

 バーチャルオフィスとは会社登記などのために住所だけを貸すサービス。ここで買い取った商品の受け取りなどをすることはないという。この業者にも電話をしてみた。
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 (業者)「取材を受けておりません」
 (記者)「どなたかご担当者さんはいませんか?」
 (業者)「取材を受けていないというふうに今お話しているんですけど」
 (記者)「業態についてどんな業態なのかとか」
 (業者)「…。(電話を切る)」

 他にも業者を回ったが実態を掴むことはできなかった。

関東の先払い買い取り業者「ヤミ金だと言われる筋合いはない」

 しかし、取材を続けると、ついに“ある関東の業者”が取材に応じた。この買い取り業者は約2年前から先払い買い取りを行っている。ヤミ金であるならば商品を買い取らないはずだが、事務所の中には山積みの商品があった。

 (関東の業者)
 「大体これで1割~2割いくかなという感じです。自分らが得意なカード類をメインに買い取らせていただいたり、あとはパソコンだったり機械類、おもちゃ、ゲーム類に関しては状態がそこまで変わらないものなので、そういうものをメインに買い取らせていただいています」
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 この業者では、利用者から商品の画像が送られると、即日査定して入金。利用者は1週間以内に商品を送る決まりだ。商品が届かなければ買い取り代金に数十%上乗せした金額を違約金として請求するという。貸金業として行っているならば年利1000%以上の違法な金利となるのではないか。
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 (関東の業者)
 「(Qヤミ金だという指摘があるが?)実際に買い取ったものを見ていただいたらわかるように、うちとしてはそもそもそういうふうに言われる筋合いはないですし、なんなら営業妨害ではないのかなと思っています」

 提供しているサービスは合法でヤミ金として利用しようとする客を排除する目的で違約金を設けていると説明した。

 (関東の業者)
 「(違約金は)抑止力として利用させていただいているんですけど、それでも平気で商品買い取り目的ではない前提で取り引きを行うような悪質なお客さまがいらっしゃるので。(商品を送らない客について)こちらとしては詐欺をやられているのではないかなという認識です」
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 では買い取ったという商品はどうしているのか。

 (関東の業者)
 「現在はAmazonやメルカリで販売しております。将来的には実店舗を構えて販売したいんですけど、やはりそこにはかなりの費用がかかってくるので、今はコストをなるべく抑えて利益を最大化して事業自体を大きくしたいなと思っております」

債務者らが近く集団提訴へ

 10月18日、ヤミ金などの多重債務者を支援する大阪いちょうの会は、先払い買い取りについて対策会議を開いた。山下司法書士は「最近はヤミ金だと発覚しないように買い取りを実際に行う業者も出てきている」と指摘した。

 (大阪いちょうの会 山下正悟司法書士)
 「僕の推測ではおそらく、ヤミ金で得た利益でリサイクル業者をほんまに買って、それを隠れ蓑にしているのかなと。実情はヤミ金で儲けているというか、あくまでヤミ金スキームで」
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 大阪いちょうの会が支援する債務者らは、今年11月にも複数の先払い買い取り業者に対して「実態はヤミ金で取り引きは無効だ」として、損害賠償を求めて大阪簡裁に集団提訴する方針だ。

 先払い買い取りは形を変えたヤミ金なのか、それとも真っ当なサービスなのか。今後、司法が判断することになる。

 ▼ヤミ金など多重債務者を支援する「大阪いちょうの会」は11月に電話相談会を実施:06ー6361ー0546

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