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「このままには絶対にせえへんからな」殺害された妹...判決を前にした『兄の思い』 常連客だった被告は「死刑」を求める一方で「事件について語らず」

2022年10月19日(水)放送

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 去年6月14日にカラオケパブの店主・稲田真優子さん(当時25)が店で死亡しているのが見つかり、その後、店の常連客だった宮本浩志被告が逮捕された。この事件について今年10月20日に判決が下される。判決を前に最愛の妹を失った被害者の兄の思いを取材した。

被害者の兄は妹が暮らしていた部屋で“思い出をたどる日々”

 大阪・天満の繁華街を歩く稲田雄介さん(30)。見上げるビルの一室が最愛の妹の最期の場所となった。

 (稲田真優子さんの兄 雄介さん)
 「やっぱり思い出すと悲しくはなっちゃうんですけど。ただまあ逆を言ったら(妹が)一生懸命に頑張っていたところやし…。だからこんなことでネガティブな目では見てほしくない」
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 去年6月14日、大阪市北区のカラオケパブ「ごまちゃん」で、店主の稲田真優子さん(当時25)が床に倒れた状態で死亡しているのが見つかった。警察は、真優子さんの首や胸などに複数の刺し傷があったことなどから、殺人事件と断定して捜査。
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 遺体発見から4日後の去年6月18日、店の常連客だった宮本浩志被告(57)が殺人の疑いで逮捕された。
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 事件後、雄介さんは妹の真優子さんのことを少しでも知りたいと思い、妹が暮らしていた部屋に引っ越した。店にあった備品を預かり、当時の客から話を聞いたりしながら、思い出をたどる日々を送っている。

 (稲田真優子さんの兄 雄介さん)
 「このテーブルもこの椅子もこのメニューとかも、本当に『ごまちゃん』から引きあげてきた状態で家に置いているという感じです。この乾き物も1年半くらい前のやつなので間違っても食べてほしくないんですけど。一生捨てられないかなって思いますね。思い出一個一個かき集めて、そういう思い出がこの場所にあるので、私は逆にここにいたいなと思って」

被告「ぜひとも死刑を下していただきたい」

 事件から1年3か月が経って大阪地裁で始まった宮本被告の裁判員裁判。今年9月16日の初公判での宮本被告の発言は衝撃的だった。

 (宮本被告)
 「裁判員の方にお願いします。被害者遺族の意図をくむならぜひとも死刑を下していただきたい」 

 一方で真優子さんを殺害したのかどうかについては一切語らなかった。
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 検察側は宮本被告が真優子さんを殺害したとする動機について次のように明らかにした。

 (検察)
 「一方的に好意を抱いたが満たされずに殺害した」

被告は執拗にメッセージ送信…犯行当日も『会いに行くね』

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 それを示す重要な手がかりが真優子さんのスマホに残されていた。事件の3か月前に行われた真優子さんと宮本被告のやりとりから、真優子さんが執拗につきまとわれていたことが伺える。

 【メッセージでのやりとりの内容】
 (真優子さん)『いっぱい掛かってきて怖いんですが、何が聞きたいんですか?』
  (宮本被告)『電話出て(不在着信)』
 (真優子さん)『こんな電話が続いてよく分からないのですが、疲れているので電話はごめんなさい!』
  (宮本被告)『出ないのが、悪いでしょ。出るまでかけるよ』

 そして犯行当日。

 【メッセージでのやりとりの内容】
 (宮本被告)『今日は、中華丼を食べました~。昼を乗りきって素敵なまゆに会いに行くね』
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 店を訪れた宮本被告は、午後9時ごろに真優子さんらと写真を撮った後、店を後にした。宮本被告はその後、ビルの中に潜み、約30分後に再び店を訪れて犯行に及んだとみられている。

 (稲田真優子さんの兄 雄介さん)
 「後悔ですよね。気付いてあげられなかったっていうこと。自分もそうやし、親もやっぱり責任を感じていますし、お客さんもそれぞれ責任を感じているんですね。あの時にあと1時間いてあげたらよかった、なんとかできたんじゃないか、と」

ストーカー被害の相談件数は『コロナ禍前の5倍以上』

 執拗なストーカー被害の末に殺害されたとみられる真優子さん。今ストーカー被害に悩まされている人は少なくない。

 東京都足立区にある探偵事務所「SAVE ME」では、探偵らが主にSNSを使ってストーカー被害者の相談を無料で受け付けている。
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 相談者の許可を得て、今まさに相談を受けている事案を見せてもらった。

 【相談メッセージの内容】
 『頻度は毎日無視すると追って連絡がきます』
 『お客様がエスカレートして出待ち行為や家の近くに張る行為を行ってきています』

 マッチングアプリなどの普及で相談件数はコロナ禍前の5倍以上に増えているという。

「『まだ大丈夫かな』という余裕が最悪な結果につながったのでは」

 実は探偵事務所のスタッフ・りみこさんも、かつて元交際相手からストーカー被害にあった。

 (「SAVE ME」スタッフ りみこさん)
 「最寄り駅や自宅付近に、教えていないのに引っ越した後にだんだん(元交際相手の)姿が現れるようになってきたので、私も状況として『大丈夫なのかな』とかちょっと恐怖感があった」

 ストーカー殺人といっても過言ではない大阪の事件。りみこさんは他人事には思えないと話す。

 (「SAVE ME」スタッフ りみこさん)
 「ガールズバーであったりとか、お客様との距離が近いほど相手から寄せられる好意というのが大きくなっていってしまう。身の危険は感じていながらも、少し先延ばしにして『まだ大丈夫かな』という余裕が、この一番最悪な結果につながってしまったのではないかなと」

判決を前に…兄の思い「このままには絶対にせえへんからな」

 これまでの裁判で事件について何一つ話さない宮本被告。真優子さんの兄・雄介さんは事件後、ほとんど毎日のように墓参りして、真優子さんに裁判の報告をしている。

 (稲田真優子さんの兄 雄介さん)
 「あともうちょっとで裁判が終わるし、なんとしてでも、こんな感じで亡くなった後もないがしろにされるのはかわいそうやから、『このままには絶対にせえへんからな』ということをいつも伝えていますね」

 雄介さんは「妹が生きた年数(25年)だけ刑務所に入ってほしい」と話し、宮本被告に謝罪や反省を求めている。

 “第2第3の真優子さん”を生み出さないようにする手がかりは見つからないまま、10月20日に判決の日を迎える。

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