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特命取材班 スクープ

秘密の投資話『エヴァンゲリオン自転車』企業側は"全否定"...勧誘する人物と会社に迫る

2021年07月21日(水)放送

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人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』と自転車メーカー『バンムーフ』の「コラボ商品」。Mと名乗る人物が「発売前にコラボ商品に投資すれば絶対に儲かる」と取材班に対して語った。M氏によると「一緒にアニメグッズを作りませんか?」「100万円投資すれば120万円になる」ただし「口外しないでほしい」…。これは本当なのか?追跡取材で虚偽の実態に迫る。

アニメとコラボしたスマートフォンに1人100万円ずつ投資

【録音データより】
(M氏)「“版権”なんです。“版権”っていうのが、今回僕らが今取得中で。“版権”を手にするためにグッズを」

この音声を記録していた会社員の井上公太さん(30代・仮名)。今年4月、友人の森山順二さん(30代・仮名)と共に、Mと名乗る男性からある「投資話」を持ち掛けられ、1人100万円ずつをM氏が所属するF社に振り込んだという。

(井上公太さん)
「アニメの“版権”の話を聞いて、権利を持っているのでグッズを出すと。グッズを出すので、その売り上げに応じて、投資した金額に応じて、バックがあると聞いて、投資した」
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2人が投資したのはアニメ“K”とコラボしたスマートフォンだった。スマートフォンの売り上げに応じてマージンが得られるというもので、100万円投資すれば最大で130万円になるなどと説明を受けたという。スマートフォンは6月に発売され、6月30日には配当金が支払われるはずだった。
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【録音データより】
(井上さん)「6月30日にはお金は入ってくるんですかね?」
(M氏)「それの発売自体が7月の頭になりそう。公式ページが発表しないと何とも言えなくて」

『スマートフォンの発売が延期された』とM氏は話した。

新世紀エヴァンゲリオンとコラボ自転車に投資先を変更

そんな中、突然こんな話をしてきた。

【録音データより】
(M氏)「“エヴァ”の方に参加していただいた。なので、今は『エヴァに200万円』って形になってます」
(井上さん)「エヴァに200万円?」
(M氏)「はい」

『別のアニメの商品に投資先を変えた』というのだ。M氏が話す「エヴァ」とは、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」。M氏によると、エヴァンゲリオンとオランダの自転車メーカー「バンムーフ」がコラボした電動自転車が発売されるという。資料には「100万円投資すれば30台分の枠が確保できて、リターンは1台につき4万円。全て売れれば120万円になる」などと記載されている。販売開始は7月、井上さんに届いたM氏からのLINEには…。
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(M氏が井上さんに送ったLINEより一部抜粋)
「参加できた方はラッキーです。エヴァのプロダクトは、一瞬で終了するかもしれません」

記者が身分を伏せてM氏の説明を直接聞いた

突如、持ち掛けられた人気アニメ商品への投資話。本当にこんな“うまい話”はあるのか?井上さんにM氏を呼び出してもらい、記者が身分を伏せた上で投資話の詳細を聞いてみることにした。

今年5月、M氏との待ち合わせ場所は大阪・梅田の「HEP前」。すると1人の男性が近づいてきた。現れたM氏。年齢は30代ぐらいに見える。

(M氏)「元々アニメ関係の仕事に携わっている。その辺からですね。アンパンマンとかコナンとかルパンとかを作ってる会社の仕事をうちが今。制作会社が描いたものをうちが最後処理をする」

M氏は東京に本社があるF社の役員で、描かれたアニメの絵1枚1枚をつなぎ合わせて映像を一本化する業務を請け負っていたという。

(M氏)「成りあがった感じですね、“版権元”まで。みんなと一緒にグッズを作ったりしませんか?と言えるような立場になった。グッズみないなもの、基本的には株みたいなものなんですよ」

早速、M氏は記者にあの投資話を持ち掛けてきた。

(M氏)「だから“エヴァチャリ”は世界中でうちしか作れないんですよ。企画を通すとお金が要るんです。その金額の一部を皆さんと共有する。ブランドの自転車なんですよ、『バンムーフ』。新色をうちが出すんですね“エヴァカラー”として」

「エヴァチャリ」への投資話。すでに投資している人もいるという。
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(M氏)「エヴァチャリは今月はこの手数料が上乗せされるんです。7月に発売して10月に戻します。600万円以上の方にはチャリをプレゼントするんです。だからやっぱり600万円以上を選ばれる方がいるんだと思います」
(記者)「版権を持っていると証明するものとかってあるんですか?」
(M氏)「どこの誰かわからない初対面の人にコピーなんか転送するかって話」
(記者)「そんな虫のいい話があるのか?」
(M氏)「あるんです。詐欺だったら僕らすぐ捕まります」

話は2時間にわたって続き、最後には…。

(M氏)「ここに契約書があるんです。『秘密保持』。要するに口外しないでくださいねっていうこと」
(記者)「秘密保持?」
(M氏)「秘密保持契約書」

メーカーなどに問い合わせしないように釘を刺してきた。

「一切ない」自転車メーカー側はコラボ話を否定

取材班はM氏の説明が本当なのかを確かめるために「バンムーフ」に電話をかけた。

(記者)「エヴァンゲリオンとバンムーフのコラボの自転車が販売されると?」
(バンムーフの担当者)「そのようなことは一切ありません」
(記者)「一切ない?」
(バンムーフの担当者)「一切ありません」
(記者)「M氏という方は知っていますか?」
(バンムーフの担当者)「もちろん知りません。ちょっと驚いてしまって、どういうことなのか教えていただきたい」

取材班は事情を直接伝えるため、東京にある「バンムーフ」を訪ねた。カメラ撮影はNGだったが、日本のマーケティングマネージャーを務めるフランス人の男性に事情を説明した。
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(記者)「エヴァンゲリオンとのコラボ話は本当ですか?」
(バンムーフ・マーケティングMG)「そのようなことは一切ありません。F社やM氏のことももちろん知りません。ちょっとびっくりしています」
(記者)「M氏は6000台売るつもりだと言っていましたが?」
(バンムーフ・マーケティングMG)「そんな数を作れるわけがない」

バンムーフ側は取材の後、公式ホームページに注意喚起する文書を掲載している。今回の投資話は罪に問われることはないのか?詐欺事件に詳しい松尾善紀弁護士に話を聞いた。
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(松尾善紀弁護士)
「そもそも出資の対象となるビジネス自体が現在まったく進行もしておらず、単なる企画・商談前の段階で、実現の可能性が非常に低いビジネスですよね。それをあたかも、もうすでに決まっていると、ウソを言ってお金を出させようというところになるので、やっぱり詐欺になってくる可能性が十分あると思いますよね」

F社の回答は?

M氏とは直接話を聞いて以降、連絡が途絶えた。取材班はM氏が所属すると話していたF社に電話をかけた。

(記者)「M氏がいらっしゃると思うんですが?」
(F社・代表)「はい、在籍しております」
(記者)「きょういらっしゃいますか?」
(F社・代表)「申し訳ございません。Mは営業なので、ほとんど出社は致しませんので、ほぼ外出ですね」

別の担当役員にエヴァンゲリオン自転車の件について聞いた。

(F社・担当役員)「いま、それ止めてますよ。“守秘義務”撒いている状態でやっていたのに、(バンムーフに)電話がいっちゃったもんで、それで一旦ご破算になっちゃっているんで」
(記者)「すでにお金を入れてしまっている人もいると思うが、何人くらい?」
(F社・担当役員)「エヴァンゲリオンに関してはいないですよ。被害が出てもいないのに被害者ヅラされても困るんですよね」
(記者)「エヴァのお金だと理解している人がいるんですけれども」
(F社・担当役員)「その人が逆にどなたなんですか?」
(記者)「『100万円入れたら120万円になりますよ』って」
(F社・担当役員)「それはちょっとあれですね。説明の仕方が悪いですね。それは問題ありですね」
(記者)「(M氏から)リスクに関する説明はほぼなかったなと」
(F社・担当役員)「Mがどういう説明をしたかっていうのは、これは当然のことながら、そこで“虚偽”ある意味“膨らました話”をしたというところがあったのであれば返金対応ですね」
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取材班はエヴァンゲリオンの権利を運用する会社にも問い合わせたが「そもそもそういった話はない」と回答している。M氏の投資話は何だったのか。未だ井上さんらに返金はされていない。

(7月21日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)

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